不登校になる8つの原因
子供の不登校の原因が分からないと、親としてはどのように対処していいか判断できず不安になるものです。しかし、不登校の原因について、子供自身が語るケースはあまり多くありません。不登校の原因は多岐にわたりますが、ここでは文部科学省が行った調査結果を元に大きく分類していきます。
いじめ・学校での人間関係
不登校の原因として最も多いとされるのが、学校での人間関係によるものです。人間関係のトラブルと聞くと、真っ先にいじめを連想しがちですが、文部科学省の調査では以下のような結果となりました。
不登校になったきっかけと考えられる状況(学校内の人間関係によるものを抜粋)
いじめ | 2.1% |
いじめを除く友人関係をめぐる問題 | 14.8% |
教職員との関係をめぐる問題 | 1.8% |
(平成24年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果について,P52|文部科学省初等中等教育局児童生徒課より筆者作成)
これによると、いじめよりも友人間のトラブルが不登校のきっかけとなりやすいようです。
学業不振
不登校のきっかけとして「学業不振」と答えたのは、9.1%にのぼり、「いじめ」よりも多い結果となりました。『不登校Q&A』(くろしお出版)では以下のように記されています。
勉強についていけなくなって不登校になる子どもは結構います。本人は自覚していないので、なかなか気づきにくいのですが。このような子どもの場合、夏休みの宿題にてこずり、
2学期から急に休み始めることがあります。
(引用元:下島かほる・辰巳裕介(2016年3月)『不登校Q&A』,P22くろしお出版)
遊びや非行
友人との遊びに夢中になり、無断欠席や遅刻、早退を繰り返して不登校になるケースです。
小学生ではあまり見られず、中学生で多く現れるのが特徴です。不登校のきっかけとして、9.5%と決して少なくない数字を集めています。
遊びや非行に走る原因はさまざまですが、以下のようなことが一例として考えられます。
- 仲の良い友人に誘われて行動を共にするうちに、楽しくなった
- 家庭内に居場所を見つけられなかった
- 将来に対する不安からの逃避
無気力
不登校のきっかけを「無気力」とする子供は、全体の25.9%と高い割合を占めました。無気力タイプの子供は、学校内で明確な問題や、人間関係のトラブルを抱えていることは、少ないようです。子供によって無気力の理由は異なりますが、以下のようなことが一例として考えられます。
- 受験勉強や部活動の大会などで燃え尽きてしまった
- 学校生活が想像や理想と違った
- 頑張りすぎて疲れてしまった
ストレス・心身の疲労
周囲からの期待に応えようと努力した結果、心身の疲労を増大させてしまう子供もいます。無気力タイプとの違いは、身体の症状があることです。学校に行く時間になると、「お腹が痛い」と苦しむ子供が該当します。病院の診察では問題が見つからないのに、症状が出るのが特徴です。そのほか、一例として以下のような症状が考えられます。
- 病気ではないが、身体の不調(頭痛、腹痛、胃痛など)がある
- 朝、起きられない
- 漠然とした不安を感じている
親への甘え・依存
内面が未熟な子供は、テストやマラソン大会といった嫌なことがあると、学校を休みたがる傾向にあります。これは甘やかされて育った場合に比較的多く見られる特徴です。我慢したり、自分の要求をうまく伝えられなかったりするために、集団になじめない場合があります。クラスの輪にうまく入っていけずに、学校へ行けなくなる子供もいるでしょう。
家庭環境が不安定
家庭環境に問題を抱える子供は、その不安から学校に行けなくなることがあります。文部科学省の調査でも、不登校のきっかけとして家庭内にまつわることを原因とする回答は多く見られました。
不登校になったきっかけと考えられる状況(家庭内にまつわるものを抜粋)
家庭の生活環境の急激な変化 | 5.6% |
親子関係をめぐる問題 | 11.1% |
家庭内の不和 | 4.0% |
(合計)20.7% |
(平成24年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果について,P52|文部科学省初等中等教育局児童生徒課より筆者作成)
家庭内にまつわるトラブルの詳細については、以下が一例として考えられます。
- 両親の不仲
- 親子間のトラブル
- 兄弟・姉妹間でのトラブル
- 経済的困難
- 引っ越し
意図的な拒否
自分なりのポリシーや意思によって、学校に行かないことを決めるケースです。このタイプの子供は、自分なりの考えやビジョンをしっかり持っているのが特徴です。「学校に行く意味が見つからないから、行かない」と、はっきり拒否をするため、周囲としては登校を促しづらいかもしれません。