大学校とは?大学との違いや教育内容・全国の大学校について徹底解説 - cocoiro career (ココイロ・キャリア) - Page 3

主な大学校一覧

主な大学校一覧
今までは大学校を、設置者別、あるいは学位取得の可否、給料支給の可否で分けて説明してきましたが、高卒新卒者の進路として考える場合は、設置者別+入学対象者を考える必要があります。特に、「主に高校新卒者を対象」という場合、過年度生(浪人)など年齢の高い人は入学することができないところもありますので、注意が必要です。

国が設置する大学校

国(省庁)が設置する大学校のうち、主に高校新卒者を対象とするものは以下の通りです。

  • 防衛大学校
  • 防衛医科大学校(防衛省)
  • 海上保安大学校(海上保安庁)
  • 気象大学校(気象庁)
  • 航空保安大学校(国土交通省)

個別の大学校については、以下の項で説明します。

防衛大学校

防衛省が設置し、将来の自衛隊の幹部自衛官を養成する大学校です。本科卒業生には学位(学士)が授与されます。卒業後は、陸海空の各自衛隊の曹長に任官された後、幹部候補学校に入校し、1年後3等陸・海・空尉に昇任します。入学金、授業料はいらないだけでなく、入学後は毎月、114,300円(平成30年4月現在)と年2回の手当てが支給されます。ただし、卒業後6年を満たないで離職する場合は、授業料等の返還が必要です。

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防衛医科大学校

防衛省が設置し、将来の医師である幹部自衛官(医師、保健師、看護師)となるものを養成する大学校です。医学科(6年)と看護科(4年)があります。入学金、授業料はいらないだけでなく、入学後は毎月、113,000円(平成29年2月1日現在)と年2回の手当てが支給されます。卒業生には学士または博士の学位が授与されます。卒業後は、医科幹部候補生(曹長)となり、約6週間の幹部自衛官としての教育訓練の後、医師国家試験に合格した者には医師免許が与えられ、幹部自衛官(2尉)に任官されます。ただし、卒業後9年を満たないで離職する場合は、卒業までの経費の返還が必要です。

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航空保安大学校

国土交通省の航空局の航空保安要員を養成する大学校です。「航空情報科」「航空電子科」があり、期間は2年間。卒業後は、全国の航空官署に配属され、所定の研修後、航空管制情報官、航空管制通信官、航空管制技術館に任命されます。航空管制官になるためには大学卒業程度の人対象の「航空管制官基礎研修過程」(1年)を受けなければなりません。入学金、授業料はいらないだけでなく、入学後は毎月の給料とボーナスと各種手当てが支給されます。卒業しても学位は取得できません。

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気象大学校

気象庁が設置し、将来の気象庁の中核となる職員を養成する大学校です。大学部(4年)と研修部(1年)があります。入学後は、気象庁職員として国家公務員になります。卒業後は学士(理学)の学位が授与されます。入学金、授業料はいらないだけでなく、入学後は毎月の給料と年2回の期末勤勉手当、諸手当が支給されます。

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海上保安大学校

海上保安庁が設置し、将来の海上保安庁の幹部職員を養成する大学校です。期間は、本科4年専攻科6か月4年6ヶ月です。専攻科では、世界一周の航海実習や犯罪捜査、海難救助業務に直結した実務を学びます。卒業後は、海上保安官に任官され、学士(海上保安)の学位も授与されます。入学金、授業料はいらないだけでなく、入学後は毎月の給与とボーナスが支給されます。

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独立行政法人が設置する大学校

独立行政法人とは、政府の事業のうち、大学、博物館、病院など、独立した方が効率的な部門を分離独立させたもので、国立大学などもこれにあたります。その独立行政法人が設置する大学校もさまざまなものがあります。

水産大学校

国立研究開発法人水産研究・教育機構が設置する大学校です。専門学科(4年)、上級の専攻科(1年)、研究科(2年)で構成されています。卒業後は、全学科で学位(水産学)が授与され、大学院などへの入学資格もあります。それぞれの学科で各種免許(教員免許など)が取得できたり、各種資格試験(技術士など)の1次試験が免除されたりします。授業料は必要です。

航空大学校

航空大学校は、独立行政法人航空大学校が設立した、唯一の公的な操縦士教育訓練機関として、その長い歴史と伝統を誇り、4000名を超える卒業生を送り出しています。卒業後は、航空会社の定期路線を中心にエアラインパイロットとして活躍しています。受験資格は、身長が158㎝以上必要で、4年制大学に2年以上在籍、または62単位以上取得した者、高専、短大を卒業した者などです。受験時の年齢制限もあります。入学料、授業料とも必要です。入学後は全員入寮します。高卒新卒では受験できませんのでご注意ください。

国立看護大学校

国立看護大学校は、国立研究開発法人国立国際医療研究センターが設置しています。修業年限は4年間で、学士(看護学)が授与されます。看護師、助産師の国家試験受験資格が得られます。入学金、授業料とも必要です。学生寮はないので、自宅または近隣のアパート等からの通学となります。

職業能力開発総合大学校

職業能力開発総合大学校は、独立行政法人高齢・障害者・求職者支援機構が設置しています。学士(工学)、修士(工学)が取得できるコースは2011年を持って廃止になりました。2012年より総合過程(学士【生産技術】)が小平キャンパスに開設されました。卒業生は、職業訓練指導員や国や都道府県の行政官や技官、民間企業へ就職しています。入学金、授業料とも必要です。

大学校の注意点

大学校のなかには、税務大学校や労働大学校があります。税務大学校は、国家公務員として採用された税務職員に対して必要な研修を行う機関で、労働大学校は、労働行政運営の中核となる行政職員を対象に、求められる資質及び業務遂行能力の向上と能率の増進を目指して各種研修を実施する機関です。受験資格や対象者が異なりますので、注意しましょう。

専門学校

大学校という名前がついていますが、今まで述べてきた国や省庁が設置した大学校とは違って、県、民間企業、一般社団法人、学校法人などが設置している大学校という名の専門学校があります。各県には、〇〇県農業大学校というものがあります。各校それぞれ特色を持っていますので、各校のHPなどで詳細を確認しましょう。

大学校の種類、特徴をしっかり確認しましょう。

大学校の種類、特徴をしっかり確認しましょう。
高校卒業後の進路の1つとして、大学校を考えている人もいるでしょう。大学校と言っても、国や省庁が設置し、学位を取得できたり、大卒資格が取れたり、給料さえもらえる大学校もあります。偏差値や倍率も高いところがあるため、十分な情報集めと入試対策が必要です。自分がやりたいこと、将来就きたい職業などを十分考え、それにふさわしい大学校を選びましょう。大学校での勉強は、きっとあなたの夢が実現に近づくための手助けとなります。

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cocoiro編集部

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