コマ回し
コマ回しは中国の唐から伝わった遊びだといわれています。奈良時代にお祭りの余興として親しまれていたものが、徐々に子供の遊びとして浸透してきました。コマはまっすぐに芯が通っていて、くるくると回るものです。このことから「頭が回るようになる」「お金が回るようになる」と考えられ、縁起の良い遊びとしてお正月遊びに取り入れられるようになりました。
遊び方
コマ回しの遊び方には2通りの方法があります。- 一斉にコマを回し一番長く回ることを競う
- コマとコマをぶつけ合いはじかせながら相手のコマの動きを止める
本来は1の遊び方が主流でした。また手のひらなどでコマを回したりする曲芸なども人気があったため、いかに長い時間コマを回すことができるかという遊び方が親しまれていました。
木のコマだけではなく、鉄製の「ベーゴマ」と呼ばれるものもあります。平成に入ってからは室内で遊べるベーゴマ「ベイブレード」が人気を博していますが、このベイブレードの遊び方は2の方法です。近年保育園や幼稚園では木のコマ回しを教えることが増えてきています。日本古来の伝統的な遊びを見直す機会になっています。
メリット
コマを回すのは意外と難しいものです。きっちりと縄を巻かなければいけないこと、まっすぐに投げなければいけないことなどが要求されます。縄を巻くという動作は普段なかなかしない動きなので、できない子供も多くいます。
コマを上手に回すためには、手先の器用さと縄を引くタイミングのバランス感覚が不可欠なので、自然と手先の動きやバランス感覚を養えるというメリットがあります。
福笑い
福笑いがお正月遊びとして定着したのは明治時代からとされていますが、由来や起源ははっきりとは分かっていません。福笑いをしたときに変な顔になることで、家族みんなが笑うことから「笑う門には福来る」ということわざに合わせて、福を招く遊びとしてお正月遊びの1つになったと考えられています。
遊び方
福笑いをするときには用意するものがあります。- おかめやひょっとこなどの顔の輪郭を描いた紙
- 目・鼻・口・眉毛などの顔のパーツ
- 目隠しをする布
目隠しをした人が顔を作り上げていく遊びですが、ルールはさまざまです。
- 正しい配置にできた人が勝ち
- よりおもしろい顔にできた人の勝ち
- 早くできた人の勝ち
など、家族でルールを決めて行うことができます。
メリット
福笑いのメリットは、室内で遊べることです。お正月は寒い時期でもありますから、お部屋で楽しめるのはとてもうれしいことです。顔を作るときには空間認識能力が必要になるので、目を閉じたときの空間把握と記憶力のトレーニングにもつながります。何よりも老若男女問わず、家族全員で楽しめるというのも大きなメリットといえるでしょう。
福笑いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
かるた
かるたは江戸時代後期に、子供が生活習慣やことわざ、ひらがななどを覚えることができるようにという目的で考案された遊びです。かるたにはさまざまな種類がありますが、ほとんどのかるたには「読み札」と「絵札」があり、読み手が読んだものの絵を探して、絵札を取るというのが一般的です。
遊び方
かるたは「読み札」と「絵札」に分かれています。「読み札」にはことわざやひらがなにまつわる事柄が書かれており、「絵札」には読み札にまつわる絵とひらがなが書かれています。ルールは非常に簡単で、1人の読み手に対し複数のプレーヤーが何枚獲得できたかという枚数で勝敗を競います。近年では地方にまつわるかるたや、子供の好きなキャラクターのかるたなど、さまざまな種類があるので、子供の成長に合わせて選ぶことができます。
メリット
かるたのメリットは、使用されていることわざを覚えられることにあります。「犬も歩けば棒にあたる」「良薬は口に苦し」など、子供にとってはあまり馴染みのないものですが、どういう意味なのかという点を大人が解説してあげることで、自然にことわざを覚えることができます。またどこにどの絵札があるかという記憶力も鍛えられるので、頭を使う遊びの1つといえるでしょう。
凧揚げ
凧揚げはお正月遊びの代表的なものですが、古来の中国では占いや戦術の道具として使われていたものです。一般庶民の遊びとして浸透したのは江戸時代のことで、もともとは年の初めに男子の出生を祝い、健やかな成長を祈る儀式として行われていました。
子供にとっては願い事を凧に乗せて、天に届けるという意味合いも含まれていたといわれています。
遊び方
- 凧の滞空時間や揚がった高さを競う
- 凧同士をぶつけ合い糸を絡めて切る
一般的なのは1の遊び方で、風のある日であれば、高くまで凧を揚げることができます。
凧にはさまざなな種類があり、連凧・角凧・立体凧・鳥凧・六角凧など、揚げ方も異なります。いつもの凧とは違う凧を揚げてみるのも楽しみ方の1つです。
メリット
凧を揚げるのに必要なのは、広いスペースと風です。凧を軌道に乗せるまでは、走らなければいけません。凧を揚げるまでに自然と運動量を確保できるメリットがあります。
また凧糸を出したり引いたりして、凧を揚げる微調整も必要になるので、創意工夫を考える力も養われます。
凧揚げについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
羽根つき
羽根つきは、厄をはねのけるという語呂合わせから、女の子のすこやかな成長を願う遊びとして室町時代に日本へ伝来したものだといわれています。羽根つきでは羽を打ちそこなうと、顔に墨を塗られるというルールがありますが、これも魔よけとして考えられていました。女の子の初正月には羽子板を飾るという風習も、厄除けや魔よけの意味合いが込められているのです。
遊び方
羽根つきの遊び方は2種類あります。- 1人で羽をつきどのくらいの回数をつけたかを競う
- 2人で向き合い羽を落とすまで打ち合う
2の遊び方はバドミントンに通じるものがあり、スポーツ性がより高くなります。お正月は体を動かす機会が減るので、羽根つきは良い運動にもなる遊びとして親しまれています。
メリット
羽根つきは、見た目や動きがバドミントンなどのラケットスポーツに通じるものがあります。そのためラケットスポーツに必要な、自分と物体との距離感を調整する「定位能力」を養うことができます。またラケットのように羽子板を操作する「識別能力」も必要となるので、遊びながら自然にさまざまな能力を身につけることができます。
羽根突きについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
すごろく
すごろくは最も古い遊びの1つで、発祥の地はインドだといわれています。江戸時代には「出世すごろく」などと呼ばれる庶民でも楽しめるすごろくがメジャーとなり、お正月遊びとして親しまれるようになってきました。
人数を問わず遊べることやルールが簡単なことから、近年でも子供に人気のある遊びです。現在は人生ゲームやモノポリーとしても親しまれています。
遊び方
近年のゲームでは、お金の計算もともなうタイプもありますが、本来のすごろくはマスを進むだけの運に左右されやすいゲームです。
メリット
- サイコロの出た目の数だけ進める
- 1回休み
- 振り出しに戻る
など簡単で分かりやすいルールなので、老若男女問わず、誰でも楽しむことができるのが大きなメリットです。
すごろくについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
おわりに
お正月の遊びは、1つ1つ意味があり、日本古来からの願いが込められているものです。
その多くは子供の健やかな成長を願うもの……年の初めに子を思う親の気持ちは昔から変わらないものなのです。お正月遊びは子供だけのものではありません。凧揚げで一緒に広い野原を走り回ったり、手作りの福笑いに挑戦したり、羽根つきで真剣勝負をしたりと、大人も一緒に楽しめるものばかりです。
日ごろは忙しくてなかなか子供と遊べないご家庭も多いはずです。お正月は日常を忘れて、子供と一緒に思い切りお正月遊びで楽しんでみませんか?
参考
お正月遊びのメリット|ARPS
お正月遊びを子どもと楽しもう!福笑い・凧あげ・羽つきなど伝統的な遊びとおなじみのゲーム15選|mamanoko
お正月大解剖 遊び大解剖|縁結び祈願 京都地主神社