モンスターペアレントが生まれる背景とは?事例や注意点を紹介 - cocoiro(ココイロ) - Page 2

モンスターペアレントが生まれる原因

モンスターペアレントが生まれる原因
それでは、なぜモンスターペアレントは生まれたのでしょうか。モンスターペアレントが生まれる背景には、親自身の境遇も大きく関わっていると言われています。

過保護になってしまう

自分の子供がかわいいと思うのは当然ですが、子供がかわいくて仕方がないあまりに、学校や塾などに対する要求が過剰になってしまうことがあります。「子供はいつも正しいことをしている」という考えから、学校の成績が上がらないのは子供が努力していないからではなく、学校や塾の教育方法が間違っていると決めつけてしまい、過度な要求をするようになってしまいます。

あなたは大丈夫?過保護になりやすい親の特徴と子供への影響とは

親の孤立化

近年は「核家族化」が進んでいます。両親が共働きの場合、なかなか子育ての悩みを相談する機会が少ないため、親自身が孤立してしまい、日常生活の不満を学校や塾にぶつけてしまうという悪循環に陥ってしまいます。学校や塾に要求する前に、まずは身近に相談できる友人や家族の存在があれば、過剰な要求をすることはないかもしれません。

核家族については下記の記事で詳しく解説しています。

核家族化は本当に進んでいる?問題視され続ける核家族化の影響と真実

教育現場への先入観とプライド

ニュースなどで学校の教員による不祥事が報じられると、教育現場に対する先入観や偏見を持ってしまう親もいるかもしれません。学校や塾が何か問題を隠しているのではないかという疑念から、クレームを言ったり過度な要求をしたりといったことにつながってしまいます。

また、自分の出身校や勤務先などを引き合いに出しながら、学校の教員や塾講師と比較し「あなたにうちの子供を教える能力があるの?」と行き過ぎた発言をしてしまうこともあるようです。これは、学歴を重視する世代に見られる傾向で、ここ数年で顕著になってきていると言われています。

モンスターペアレントの事例

それでは次に、モンスターペアレントの事例について具体的に紹介します。

運動会での過剰要求

《雨上がりのグラウンドで行われた小学校の運動会。複数のレースが行われたため地面にでこぼこができ、トップを走っていた児童Aが足を取られて転倒。納得いかないAの母親は「1位になれなかったのは整地を怠った学校の責任。運動会をやり直せ」と校長に要求した》

だれが考えても不合理な要求だが、怒り心頭で抗議する母親に対し、校長は2時間も3時間も謝り続けたという。

仮に児童が転んでけがをしたとすれば、理論的には国家賠償が命じられる可能性はある。ただ本件では児童Aにけがはなく、運動会をやり直す義務もない。本では校長の謝罪について「学校の過失を認めるような対応をするのは望ましくない」とした。

(引用元:【関西の議論】異常な土下座要求にNO!「モンスターペアレント」の〝とんでもクレーム〟 弁護士の大ヒット対処マニュアルは万能か|産経WEST

上記の例は、2015年10月に、近畿弁護士会連合会が実際に起こったクレーム事例と具体的対処法を掲載した、マニュアル本に紹介されていた事例です。運動会で1位になれなかったのは学校側の責任だという、過剰とも思われる要求が明らかになりました。

教員への過剰要求が罪に

《女子生徒を泣かせた男子生徒を反省させるため、教員が男子生徒を運動具倉庫に入れた。この対応が不適切だったとして教員は訓告処分を受けたが、収まりのつかない男子生徒の保護者が校長室で教員と対面し一方的に罵倒。「指導力がないので教員を辞めます」と無理やり念書を書かせ、それをコピーしてほかの保護者に配布しようとした》
(中略)教員の意思に反する形で念書を書かせた行為は「強要罪」に、コピーしたものを配布すれば「名誉毀損(きそん)罪」にあたる可能性があると指摘。校長が取るべきだった対処法として(1)保護者の行為が犯罪になる可能性があること、念書は法的に無効であることを説明して制止する(2)従わない場合は校長室から退出してもらうか、警察への通報も検討する-を挙げた。

(引用元:【関西の議論】異常な土下座要求にNO!「モンスターペアレント」の〝とんでもクレーム〟 弁護士の大ヒット対処マニュアルは万能か|産経WEST

同じく、近畿弁護士会連合会が作成した本によると、女子生徒を泣かせてしまった男性生徒の保護者が、教員に一方的に念書を書かせたというケースで、このような行為は強要罪や名誉棄損罪にあたる可能性があることが示唆されています。

育児不安から要望が増えてしまう

育児休暇明けで入所したS男は、核家族で、母親は不規則勤務を伴う看護職。父親の育児参加不足に不満を持ちながら育児不安を抱えている。S男の皮膚のカサツキや発赤が気になり、水分補給や軟膏塗布など、入所時に母親から入念な要望があった。

入所と同時に、1歳児になったS男だが、整腸機能がすぐれない日が多いことを母親は異常なほどに気にしている。そのため、家ではあわ・ひえ入り玄米を2時間かけて炊飯しているとのことである。また、食物アレルギー(卵・小麦)もある。

一方、S男の成長に伴い摂取する食品数が増えてくるにつれて、食品に対する母の不安が増し、母親の自己判断で、「牛乳はよくない、代替として市販の豆乳を持参するので、それを飲ませて欲しい」「冷たいジュースは下痢になるので、常温に戻して飲用させてくれ」など、保育所に対しての要望が多くなり、保育所で対応できる範囲を超えるようになった。

(引用元:モンスターペアレント実態赤裸々 無理難題と理不尽全18例掲載|ライブドアニュース

上記の例は、保育所に子供を預けた親が給食の食事内容に対して要求をしたケースで、1度だけでなく、複数回食事内容に対して要望を訴えたと言います。子供の食事内容に気を遣うことは親なら当然ですが、教育機関側としては、ほかの子供の食事を提供しながら、かつ個人の要求にも応えるべく対応しなければならないなど、負担が大きくなることになります。

周囲との差を感じクレームに発展

M男(4歳)が、節分の手作りお面を手に持ってクラスの友達と写したスナップを持ち帰った。ところが小柄なM男の隣にクラスの中で一番背の高いT男が並んで写っていたため、M男の背の低さが強調されていて「M男が背の低いことを気にしているのに、子供を並べて写真を撮るときの配慮に欠けている」と、母親から市役所へ苦情が入った。

(引用元:モンスターペアレント実態赤裸々 無理難題と理不尽全18例掲載|ライブドアニュース

子供の身長を気にするあまり、保育所ではなく市役所に苦情が入ったケースです。個人的見解で教育機関にクレームをするのも、モンスターペアレントの特徴の1つと言えるでしょう。