近年、カウンセリング機能の充実など不登校対策に力を入れる学校は年々増加しています。にもかかわらず、不登校児童数は2017年度に過去最高を記録しました。なぜ、不登校児は増えているのでしょうか? 不登校にはどのようなタイプがあるのでしょうか?
もくじ
不登校児の5つのタイプ―—文部科学省の定義
子供の不登校は、本人要因と家族・学校・社会の要因が複雑に絡み合って引き起こされます。2017年に文部科学省が実施した調査では、不登校の本人要因を「学校における人間関係」「あそび・非行」「無気力」「不安」「その他」の5つに分けています。
(平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(その2)|文部科学省、P86表より筆者作成)
「学校における人間関係」に課題を抱えている
友達や先生との間に何らかのトラブルがあり、不登校となるパターンです。いじめほどではなくても、軽い「からかい」や「冷やかし」が積み重なり、子供のストレスになる場合があります。また、インターネット上では軽い気持ちで悪口が書かれるものですが、中傷を目にした本人はひどく傷つきます。
「あそび・非行」の傾向がある
校則違反・無断欠席・遅刻・早退を繰り返し、学校に来なくなる子供もいます。このタイプの不登校は中学になると増えます。家庭環境に問題がある場合や、子供が非行や遊びのグループに入っていることがあります。家族や学校が改善のための努力をしても、友達グループの影響が強く、なかなか改善しないことがあります。
「無気力」の傾向がある
無気力で、特別な理由がないにもかかわらず、なんとなく学校へ行きたくないタイプです。学校生活や人間関係に特に問題があるわけではないので、強く促すと登校する場合もありますが、長続きしません。
子供が無気力となる原因に、親の過保護・過干渉があります。子供が失敗しないように大人が先回りしがちで、子供が自分で何かを成し遂げた経験がないのが悪影響を及ぼしてしまうパターンです。親が厳格すぎる場合も、子供が無気力になることがあります。子供は何をしても叱られるので自己否定の感情を持ってしまいます。
「不安」の傾向がある
登校する時間になると、腹痛や頭痛などの体調不良を示すことが多いのが特徴です。午後になると元気になりますが、翌朝また同じ症状が出ます。「不安」の傾向はさらに4つのタイプに分かれます。
母子分離不安によるもの
主に幼児期や小学校低学年に見られます。母親と離れることを不安に思います。
息切れ・燃え尽き症候群
親や学校の期待に応えようと頑張りすぎ、心身のエネルギーを使い果たしてしまうタイプです。真面目で完璧主義なことが多く、不登校になった自分自身へ失望してしまいます。
甘やかされによるもの
甘やかされて育ち、我慢することや人に合わせることが苦手です。基本的な生活習慣が身についておらず、嫌なことは回避してしまう傾向があります。
不安定な家庭環境
家庭内の不和や、家庭内の急激な環境の変化に不安を感じ、学校へ行けなくなります。
「その他」
複数要因が絡み合った「複合型」や、自分の進みたい道へ進んだり、家族の信条として学校へ行かないことを選択する「意図的な拒否型」などがあります。