青年期(12歳~)の発達課題
青年期と呼ばれる時期は、子供に性的意識が芽生えると同時に「自分はいったいどんな人間なのか」について関心が向く年代とも言えます。以前は22歳頃までが青年期といわれていましたが、最近では30歳前後までがこの青年期に当てはまると考える人もいるようです。
青年期における発達課題は「同一性(アイデンティティ)」と「同一性の拡散」です。ここでいう同一性とは、「自分は自分」という確信や自信のことを指しており、自分なりの価値観や仕事を見つけ、社会生活を送っていくことに焦点が当たります。
自分が何者か分からなくなってしまうと、人格や情緒が安静せず、社会への適応が難しくなるといった問題もこの青年期では浮上してきます。
成人期(就職して結婚するまで)の発達課題
成人期は就職してから結婚するまでの時期のことを言い、成人期における発達課題は「親密性」と「孤立」です。自分が属している社会や同性の友人、異性の恋人といった他社との親密な関係性が構築されていく時期で、青年期のアイデンティティの確立が基本となり、違った価値観を持つ他社と関わっていきます。
他者と関係を構築する際には、相手との相性や環境などが影響し、自分を見失ったり、自分の価値観が揺らぐことも出てくるかもしれません。その結果として、「自分は間違っているのか」と不安や恐怖心が生まれ、「孤独感」を感じるでしょう。就職や恋愛、結婚など、人生における転機と言われるものを上手く乗り切るためには形式的な人間関係を築くのではなく、「親密性」をしっかりと持った人との関り合いが必要になります。
壮年期(子供を産み育てる時期)の発達課題
壮年期は結婚して子供を産んで育てていく時期で、親として過ごす時期とも言えるでしょう。壮年期における発達課題は「世代性」と「停滞性」です。この「世代性」とは、以下のことを言います。
「世代性」とは、次の世代を支えていくもの(子どもや、新しいアイデア、技術といった後世に貢献できるようなことを指します)を生み、育み、将来積極的に関心を持つということです。この「世代性」の言語は「Generativity」と言いますが辞書にはなく、エリクソンの新語です。
(引用元:ライフサイクル|武蔵浦和メンタルクリニック )
自分の子供や自分よりも若い世代を育てることに焦点が当たるようになり、所属している会社の後輩育成や、親世代からの伝統を継承するなど、自分を犠牲にしながら他者と関わっていきます。自分1人では得ることができないものを得ることができたり、逆に自分が第一という考えに囚われ、人間関係が「停滞」し、次第に孤立していくことも少なくありません。
老年期の発達課題
エリクソンの提唱したライフサイクル論の最後の段階である「老年期」は、子育てが終わり、仕事も退職して余生を過ごす時期になります。自分の体の老化と直面し、死と向き合い、加齢による認知機能障害など、さまざまな問題とどう向き合うかがポイントとなります。
老年期の発達課題は「自己統合」と「絶望」です。ここでいう自己統合とは、それまでの各発達段階で得たものを振り返りながら、自分の人生を受容し、統合していくことを言います。統合性を得ることで情緒が安定し、趣味やライフワークを楽しむことができる一方で、人生を後悔して新たな自分を探し始めるなど、不安や焦りによる絶望が生まれることもあります。