壮年期が抱える発達課題とは?エリクソンの発達段階を解説! - cocoiro(ココイロ)

人間の一生にはいくつかの発達段階があるといわれており、それぞれに発達課題があるとされています。発達心理学者のエリク・H・エリクソンは、「乳児期」「青年期」「成人期」など8つの発達段階を提唱しており、エリクソンの発達段階論は、教員志望者や保育士を目指す人たちにも学ばれています。今回は、エリクソンの発達段階論の中でも「壮年期」の発達課題についてご紹介します。

壮年期の発達課題について

人生100年時代といわれるようになってきた昨今ですが、私たちの一生は加齢などの生物学的な成長や衰退だけでなく、年齢の時期に応じて「発達課題」があるといわれています。精神分析家で発達心理学者のエリク・H・エリクソンが提唱した「ライフサイクル」という概念によると、人生は8つの時期に分けられます。

「乳児期」「幼児期初期」「幼児期後期」「学童期」「思春期・青年期」「成人期初期」「壮年期」「老年期」の8つの時期のうち、7番目にある40~65歳の段階が「壮年期」です。壮年期における発達課題やテーマを知ることで、8番目にある「老年期」の過ごし方も随分変わるといいます。

エリクソンの発達段階については、こちらの記事もご覧ください。

エリクソンの発達段階とは?年齢別の発達課題について解説

エリクソンが提唱した発達課題とは?

そもそも、エリクソンが提唱した発達課題とは、いったいどんな概念なのでしょうか。エリクソンは1902年生まれのアメリカ人で、ライフサイクルと呼ばれる考えに基づき、「自我の生涯発達」を理論化しました。私たちの自我は、あらかじめ決められた成長プログラムに従って成長し、時間の流れと自我との関係により、課題が浮かび上がってくるといいます。その段階を取り上げて理論化したのが,エリクソンの発達段階です。

エリクソンの発達段階の根底にはライフサイクルがあることから、各成長段階で取り上げられる発達課題は、生涯を通して取り組むことになるといいます。東京大学の山内祐平教授によると、以下のように発達段階の記述があります。

エリクソンの発達論は、フロイトの発達論が心理性的発達論と呼ばれるのに対して、「心理社会的発達論」と呼ばれることがあります。エリクソンは、人生を8つの段階に分けて、それぞれの段階において「健全・不健全」あるいは「発達の成功・発達の停滞」といった対立する二つの特徴や傾向があるとして、各発達段階には固有の発達論的な危機があると主張しました。

(引用元:【気になる研究者】エリク・H・エリクソン | Ylab 東京大学 山内研究室

壮年期とはいつ?

エリクソンの発達段階では、それぞれの年齢に応じて発達論的なテーマがあります。8つの発達段階のうち、7番目に位置しているのが「壮年期」です。壮年期とは、成人期もしくは成人期後期ともいわれており、年齢としては40~65歳ごろとなります。精神的にも肉体的にも人としてすでに完成し、社会生活では重要な位置を占める時期といえるでしょう。また、身体的老化や精神的老化が少しずつ進行する時期であることも壮年期の特徴といえるでしょう。

壮年期のテーマは?

エリクソンによると、壮年期のテーマとなる克服すべき心理社会的危機は「ジェネラティビティ(generativity)」対「停滞(stagnation)」だといいます。「ジェネラティビティ」とは、エリクソンが作った造語ですが、子供を育てたり職場で次世代のために貢献するなど、「次世代育成能力」という意味があります。自分の子供や若い世代に対して世話をすることで、生きがいを感じるのが壮年期のテーマとなります。

しかし一方で、常に自分のことだけ考えている状態にある場合は「停滞」となり、次世代に対して何も残すことができずに停滞していると感じてしまうと、壮年期の後の老年期に影響するといいます。

発達課題をクリアできない場合はどうなる?

私たちは、エリクソンの発達課題で掲げられているテーマを必ずしも達成できるとは限りません。もし発達課題をクリアできない場合は、どうなってしまうのか気になる方もいることでしょう。壮年期のテーマは子供の世話や次世代の教育となりますが、子供がいなかったり、1人で独立して仕事をしている場合は誰かの世話をする機会があまり多くありません。

しかし、エリクソンの発達課題は、気づいたときからやり直したり実行することができます。成長段階でネガティブな要素が強いと感じた場合は、やり直してみたり、違う形でも誰かの世話をする機会を設けてみるなど、課題に取り組むことが可能です。エリクソンの発達課題を頭の片隅に置きながら、人生の最後の段階となる老年期を迎えられると良いでしょう。

壮年期と老年期は密接に関係している

壮年期の次にやってくるのが「老年期」です。老年期は、年齢でいうと65歳以上となりますが、これまでのすべての経験を受け入れて統合させることが課題となります。自己統合がうまくいけば自分の人生に対して満足を得ることができ、穏やかな老後を送ることができるでしょう。しかし、自分の人生に納得できなければ「絶望」を感じることもあります。

老年期は、壮年期での経験も大きく影響します。壮年期で次世代との関りや自己価値を高めることができれば、充実した老年期につなげることができます。