フリースクールが活用されづらい3つの理由
実は日本においてこのフリースクールはまだまだ活用がされづらい現状があります。フリースクールを使いづらい3つの理由を解説していきます。
スクールの数が足りない
気軽にフリースクールへ通うためには、家からそう遠くないところにスクールがあるといいなと考える人は多いと思います。「不登校児童生徒による学校以外の場での学習等に対する支援の充実 ~個々の児童生徒の状況に応じた環境づくり~」の中で、平成27年3月時点でフリースクールは全国の都道府県に必ず1つは存在しているデータが出ています。
東京都、神奈川県、大阪府など大きな都市圏においてはフリースクールは20施設以上設置されています。しかし一方で、11県では2つ以下の設置となっている都道府県も存在しています。
まだまだ子供が気軽にフリースクールへ通うためには数が足りておらず、また地方になればなるほどその通いづらさはあるようです。
経済的に通うことができない
民間で運営されているフリースクールは原則として、国や自治体などからの公的な支援がありません。したがって、親が学費を負担しなければなりません。
フリースクールの学費はスクールごとに異なっており、文部科学省の調査で月会費が平均3万3000円と言われています。私立の中学校が月額平均5万円の学費のため、私立学校よりは安くはあります。しかし、基本的に無料で通える公立の小学校・中学校と比較してしまうと高額な出費です。
また私立学校と異なり、フリースクールへ通うための奨学金も基本的には存在しません。唯一、三重県遊技業協同組合が「金のハートの奨学金」が、津市内のフリースクールへ通うための給付型奨学金を実施しているのみです。
月々3万円の出費を助成や奨学金なしで通い続けることを考えると、家庭にとっては決して安い出費とは言えないでしょう。
通うこと自体への抵抗感
フリースクールが活用されづらい3つ目の理由は、フリースクールへ通うこと自体の心理的な抵抗感です。通常の学校ではなくフリースクールへ通ってしまうことで、「自分は本当の不登校なんだ……」と考えてしまう子供もいるようです。
実際にフリースクールを活用した人たち声では、フリースクールでは「強制されない」「安心できる」「自分らしく居られる」「学校で苦しんできたがフリースクールで解放された」という前向きな声が多いようです。
利用している当事者たちの声なので、とても説得力があります。そういった声がある中でもなかなかフリースクールへ行くことを決断できない子供たちには、やはりフリースクールへ行くこと自体が心理的なハードルが非常に高い行動なのでしょう。
フリースクール は選択肢の1つ
文部科学省は不登校の子供の支援策を検討した会議の中で、不登校には多様で複雑な要因があるとした上で、学校以外の民間教育施設での学習を支援し、子供の自立を目指すべきだとしています。
フリースクールはまだまだ通いづらい側面も持ち合わせているものの、様々な事情で学校へ行けない子供たちが自立するために必要なものです。子供が学習したり人とコミュニケーションを取ったりする場所の選択肢の1つとして、今後も利用されていくでしょう。