中学生の作文は、小学生のときよりも難しいテーマが多くなります。複雑なテーマで作文を書こうと思うと、作文を書く難易度も高くなり、どのように書けば良いか分からなくなってしまう子どもも多いでしょう。そこで当記事では、中学生の上手な作文の書き方と、作文の種類別にテーマを見つけるポイントについて解説します。
もくじ
作文の書き方
どんな作文を書くときにも共通する3つのステップをご紹介します。実際に文章を書くことよりも、どんなテーマにするかやどんな構成にするかがポイントになってきます。
作文のテーマを決める
まずは何について書くのか、作文のテーマを決めましょう。書くことをぼんやりと決めたら、そのことに対して箇条(かじょう)書きやマインドマップを使って内容を深めていきます。
例えば、「家族」をテーマに書くとします。そこから、「家族」という言葉から連想されることをどんどん書いていきましょう。文章にする必要はありません。単語だけでもいいので、自分の中にある題材を深掘りするように質問を重ねていきます。
この時のポイントは、5W1Hの視点で質問をすることです。「いつ」「どこで」「だれと、だれが」「何を」「どうして」「どのように」と質問して内容を深めていきます。
どんな家族か? 4人家族、よくお互いに話をする、最後に旅行に行ったのは〇年前、和食が好き……というように、思いつくことを書いていきましょう。そしてその中から、「書きたい」「書けそう」と思える出来事を選びます。
作文で人気のテーマについてはこちらの記事でまとめて紹介しています。
構成を決める
次に、書く内容が決まったら作文の構成を決めましょう。中学生が作文を書く際には「起承転結」で構成を考えるのがおすすめです。
四字熟語にすると難しそうに見えますが、小学校で学習した「はじめ・なか・おわり」と基本的には同じです。「なか」が「承」と「転」に分かれたので、「なか」の部分に1つドラマを作ると思えばそんなに気負う必要もありません。
- 起:これから書くテーマの紹介や状況説明
- 承:テーマの内容が始める
- 転:出来事や事件が起こる
- 結:その結果とこれから
ラフに書いた内容を起承転結に整理していきましょう。すべてノートの上でやると並び変えることができないので、正方形の付せんを使うことをおすすめします。付せんであれば並び変えることができるので、整理するのに最適です。
作文の構成の作り方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
書き出しを工夫する
書く内容が決まり、内容を起承転結に整理できたら、書き出しを工夫するようにしましょう。読む人をひきつけることができるかどうかは、書き出しの文章にかかっています。では、いったいどんな書き出しが読む人をひきつけるのでしょうか?
会話文
「ねえ、優奈だったらどう思う。」
新聞を置いた母は、ゆっくりと昔のことを話し出しました。
(引用元:第38回全国中学生人権作文コンテスト|法務省人権擁護局・全国人権擁護委員連合会,P38一般社団法人日本新聞協会会長賞)
情景描写(周りの状況)
みんなの口をジッと見つめる。
(引用元:第38回全国中学生人権作文コンテスト|法務省人権擁護局・全国人権擁護委員連合会,P42日本放送協会会長賞)
問題提起や問いかけ
日本の小・中学生は、学校に通えることがどんなに幸せなことか知っているのだろうか。
(引用元:平成30年度 中学生の「税についての作文」各大臣賞・国税庁長官賞受賞者発表 |国税庁,財務大臣賞)
シンプル
僕の祖父は、四十九歳の時に病気で両目とも見えなくなりました。
(引用元:平成30年度 中学生の「税についての作文」各大臣賞・国税庁長官賞受賞者発表 |国税庁,文部科学大臣賞)
上記の例以外にも、「ガッシャ―ン」「ガタガタ」という音や鳴き声を表現したオノマトペや、名言を書き出しに引用する方法も強い印象を与えます。コンクールで賞を受賞している作品を読んでいくと、たくさんヒントがあるので、いくつか読んでみることをおすすめします。
作文の書き出しについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
作文の種類別!テーマの見つけ方のポイント
中学生が書く機会のある作文というと、自由作文や人権作文、税金作文などの課題作文、長期休暇の宿題で定番の読書感想文などがあります。
ここからはメジャーな中学生の作文課題を、どのように考えて書けば良いかご紹介します。テーマを見つけるヒントとして参考にしてください。
自由作文
自由作文のポイントは「テーマ探し」です。「自由」と言われると選択肢がいくらでもあり、書きやすいと思われがちですが、逆にテーマが見つからず書けないという子供も多いのではないでしょうか。
自由作文のテーマを探すときは、下記3つの観点から探してみると見つかりやすいです。
①今、自分が興味のあること
部活動、好きな食べもの、好きな本や映画、芸能人など、自分が興味のあることをテーマにしましょう。おそらく一番筆が進み、書けるはずです。何も興味がない、、という場合は、「嫌い」、「苦手」なものでも構いません。なぜ嫌いなのか、それを好きな人はいるのか、など嫌いという思いについて深掘りしてみましょう。書きながら、自分のなかにこんな思いがあったのかと驚くこともあるかもしれません。
②今、家族、友人が興味のあること
家族や友人は、子供にとって一番身近な存在です。彼らの好きなもの、好きなことなどを思い出して、紹介してみましょう。例えばサッカーが好きな友人についてであれば、日頃どれだけ練習しているか、いつからサッカーを始めたのか、など意外と自分のことではない方が書きやすい、という子供もいます。周囲の人が何に興味・関心があるのか、考えながら書いてみてください。
③今、一般的に話題のこと
最後に、一般的に話題のことを取り上げてみましょう。ニュースや時事トピックのことですが、事件でも構いません。文章で自分の意見を伝える練習になります。テレビやラジオ、雑誌などで目についたテーマを自由に取り上げ、自分がなぜそのテーマに興味を持ったのか、そのことについて自分はどう思うのか、それはなぜなのか、書き進めてみましょう。
課題作文
課題作文のテーマは身の回りにたくさんあります。有名どころだと「人権作文」や「税の作文」などがあり、これらは毎年コンクールも開かれています。
課題作文を書く際には、以下2点を意識すると書きやすくなります。
- 自分と関わりの深い切り口・テーマ
- 自分の意見・考えのある切り口・テーマ
これらの考え方を人権作文と税の作文の場合に置き換えるとどうなるか考えてみましょう。
人権作文
人権作文のテーマは多岐に渡ります。女性の人権、子供の人権、高齢者の人権、障がい者の人権、外国人の人権、アイヌの人々の人権、犯罪被害者の人権、インターネット上の人権、性的指向など、少し視点を変えると「人権」の切り口はたくさんあることが分かります。
最も身近なところでは、学校でのいじめも人権に関わる問題です。例えば、2018年度の全国人権作文コンテストの入賞作品には、下記のようなテーマが扱われています。
- 夜間中学校に通う方との交流を通して学ぶことを考えるきっかけをもらった
- ダウン症の弟の存在について
- ハンセン病についての新聞記事をきっかけに
大きく考えずに、身近なところに目を向けるようにしたら、人権のテーマはみつかるはずです。普段から感じている「あれっ」や「どうしてだろう」という違和感や疑問を振り返ってみることをおすすめします。
税の作文
日本国民の三大義務の一つである「納税」について知る機会になるのが税の作文です。所得税や住民税などは働き始めないと意識することは難しいですが、消費税は中学生も買い物をすれば支払っている税金です。
そんな税金は、日々の生活に密接に繋がっています。医療費、上下水道などのライフライン、公園・道路などの整備、学校で使っている教材、消防や救急、ゴミ収集車など、私たちの生活にはなくてはならないものばかりです。
「税金が何に使われているのか?」という視点で考えてみると、自らの体験を通して税金について書くことができます。
参考
税の学習コーナー|国税庁
読書感想文
読書感想文は、読書をしない子供にとってはそもそも本を読むこと自体が大変な作業になりかねない宿題です。そこで、ポイントとなるのは、自分が共感できる内容の本を選ぶことです。自分の考えを書くという点では、全く共感できない本を選ぶのも手です。
例えば、運動部に所属している子供なら、スポーツをテーマにしている物語やスポーツ選手のノンフィクションの本に共感しやすいでしょう。
また、ドラマ化や映画化された物語の本を読むのもおすすめです。映画と本をどちらも知ることで違いが分かったり、本当に伝えたかったことが理解しやすくなったりします。
読書感想文におすすめの本はこちらの記事でまとめてありますので、良かったら参考にしてみていください。
作文力を上げるには?
作文を上達させるコツ
読書感想文などの作文をうまく書くには、ポイントを押さえたうえでコツコツと練習を積むのが一番です。事前準備・執筆・チェックと段階を踏み、テーマや構成を練るところから作文を添削してもらうところまでを繰り返すことが大事になってきます。
こちらの記事でも作文の上達方法をご紹介しています。
おすすめの通信講座
テーマや構成の決め方、語彙力・文章力の増強方法、書くスピードのトレーニングというのはなかなか家で気軽にできることではないかもしれません。そこでおすすめなのが、作文専門の通信教材です。国語、算数、英語などの通信教材は種類豊富ですが、作文に特化した「ブンブンどりむ」は文章の書き方にフォーカスを当てた、表現の力を鍛えられる教材になっています。まずは無料体験に申し込んでみてはいかがでしょうか?
まとめ
中学生の作文は、自分のことや周りのことを考えるいい機会になります。各テーマを見つけにくい、何を書けばいいか分からないなど子供が悲観的になっていたら、ぜひ今回ご紹介した作文の書き方を実践してみてください。
子供が興味を持てるようなヒントを出しつつ、積極的に作文に取り組み、文章で何かを主張する楽しさを伝えてあげましょう。
参考
全国小・中学校作文コンクール|読売教育ネットワーク
第38回全国中学生人権作文コンテスト入賞作文集|法務省人権擁護局
税の作文(中学生・高校生)|国税庁
中学生の作文!書き方のコツ・基本とは?この方法なら超簡単!|流行ニュース速報発信局
中学生の夏休みの宿題と課題作文 (2)|まりんの我楽多箱
生活作文の書き方がわからない小中学生へ|中学生の勉強方法