高卒で取れる資格④:事務職・IT業界
最後に、人気の高い事務職やこれからの可能性が開けるIT業界などで、役に立つ資格を紹介します。
マイクロソフトオフィススペシャリスト
事務などオフィスワークには、文書作成ソフトや表計算ソフトなど、パソコンのアプリケーションの使用が欠かせません。マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)は、マイクロソフトの製品オフィスの習熟度を測り、一定水準の技能があることを認定する資格です。
受験資格
誰でも受験できます。
試験内容
試験科目とレベルは次の通り。
試験科目 | スペシャリスト(一般)レベル | エキスパート(上級)レベル |
Word | Wordでの基本的な編集機能の理解
(文字サイズやフォントの変更、表の作成・編集、作成した文書の印刷など) |
Wordでの高度な機能の理解
(スタイル機能や目次・索引作成などの長文機能、他のアプリケーションソフトからのデータ取り込みなど) |
Excel | Excelでの基本的な操作の理解
(数式や基本的な関数の作成、セルの書式設定、グラフ作成など) |
Excelでの高度な機能の理解
(ピボットテーブルなどのデータ分析、条件付き書式や入力規則の設定、マクロの作成・編集など) |
(MOS公式サイト より筆者作成)
そのほかスペシャリストレベルには、プレゼンテーションソフトであるPowerPoint、データベース管理ソフトであるAccess、電子メール・情報管理ソフトであるOutlookの試験もあります。
取得後の道
MOSの取得は、就職を有利にするというよりも、仕事に就いた後の実践で役立つと捉えましょう。高校までの勉強では、パソコンの実践的なスキルを磨く機会は少ないもの。自分に自信をつけたり、知識や技能の整理をするために挑戦してはいかがでしょうか。
参考
MOS公式サイト
ITパスポート
ITパスポートは、社会でITを活用する全ての人が備えておくべき基礎的な知識を証明する国家試験です。AI、ビッグデータ、IoTなど新しい技術やアジャイルなど新しい開発手法、経営全般、セキュリティ、ネットワーク、プロジェクトマネジメントなど、幅広い分野の総合的知識が問われます。
受験資格
誰でも受験できます。10代の高校生から社会人まで、幅広い年代の人が受験しています。
試験内容
試験は120分、100問・4肢択で、コンピュータに表示された試験問題にマウスやキーボードを用いて解答するCBT(Computer Based Testing)方式で行われます。出題分野は次の通りです。
ストラテジ系(経営全般):35問程度
マネジメント系(IT管理):20問程度 テクノロジ系(IT技術):45問程度 |
総合評価点が1,000点満点中600点以上であり、かつ分野別評価点もそれぞれ300点以上であることが合格基準です。
取得後の道
ITパスポートを新卒採用に活用する企業や、入試や単位の認定に使う大学もあります。入社後の社員教育や研修に活用する企業も多数です。これからのキャリアを考えた時、勉強しておいて損はない資格と言えるでしょう。
簿記検定
簿記は、企業の日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能です。商工会議所の実施する日商簿記検定試験は、社会的に高い信頼と評価を得ている検定です。
受験資格
誰でも受験できます。
試験内容
レベルにより1~3級に分かれます。試験内容は以下の通りです。
級 | レベル | 試験内容 |
3級 | 基本的な商業簿記を修得し、経理関連書類の適切な処理ができる。 | 商業簿記 5題以内(120分) |
2級 | 高度な商業簿記・工業簿記を修得し、経営において適切な処理や分析ができる。 | 商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)5題以内(120分) |
1級 | 極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、企業会計に関する法規を踏まえて経営管理や経営分析ができる。 | 商業簿記・会計学(90分) 工業簿記・ 原価計算(90分) |
(簿記 | 商工会議所の検定試験 より筆者作成)
取得後の道
簿記は経理事務を担当する人には必須のスキル。また経理に必要な会計知識だけではなく、財務諸表を読む力やコスト感覚、基礎的な経営管理や分析力も身につけることができます。1級に合格すれば税理士試験の受験資格も得られ、公認会計士、税理士など国家試験の登竜門ともなっています。
まとめ
資格は「取得さえすれば就職に有利!」というものでもありません。しかし自分の知識や技能を確かなものにし、憧れの仕事に就いたりキャリアアップしたりすることを、助け支えてくれる味方です。将来どんな道に進みたいのか、どんな資格が強みになりそうか、親子で話し合ってみてはいかがでしょうか。