高卒で取れる資格①:医療・介護分野
ここから、高卒で取得できる資格を業界別に紹介していきます。仕事に就き、実務経験を重ねてから取得する資格も含みます。まずは求人の多い医療や介護の分野からです。
介護職員初任者研修
介護のプロとしての基礎的な資格です。無資格でも介護の仕事を始めることはできますが、介護職を続けていくなら、必須の資格と言えるでしょう。
(参照元:入門研修の概要|厚生労働省,p2)
受験資格
介護の仕事に就こうと考える人なら、誰でも受講することができます。
試験内容
下記の合計130時間のカリキュラムを履修します。研修修了時に修了試験を受けて合格すると、修了証が交付されます。都道府県の指定する事業主体が研修を実施しています。さまざまなスクールなどが講座を開講していますから、受講しやすいところを探してみましょう。
①職務の理解:6時間
②介護における尊厳の保持・自立支援:9時間 ③介護の基本:6時間 ④介護・福祉サービスの理解と医療との連携:9時間 ⑤介護におけるコミュニケーション技術:6時間 ⑥老化の理解:6時間 ⑦認知症の理解:6時間 ⑧障害の理解:3時間 ⑨こころとからだのしくみと生活支援技術:75時間 ⑩振り返り:4時間 |
取得後の道
訪問介護員として、生活援助のみならず食事や入浴、排泄などの介護に携わるには、この研修を受講し修了証の交付を受けなければなりません。研修を修了することにより、基本的な知識と技能を備えた有資格者と認められるので、勤務先の選択肢も広がります。
参考
厚生労働省(平成30年3月30日)『介護員養成研修の取扱細則について』
介護職員初任者研修とは?-メリット・資格情報|ベネッセスタイルケア介護資格
介護福祉士
より高度な介護の専門職が介護福祉士。名称独占の国家資格です。
受験資格
受験資格は次の通り。
①高校を卒業し、介護福祉士養成施設(2年以上)を卒業(修了)した人。
②福祉系大学、社会福祉士養成施設、保育士養成施設等を卒業(修了)し、介護福祉士養成施設(1年以上)を卒業(修了)した人。 ③実務経験が3年以上あり、実務者研修または介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修を修了した人。 ④福祉系高校を卒業した人。 ⑤特例高校を卒業後、9ヶ月以上の実務経験がある人。 ⑥経済連携協定を結ぶ外国の人で、3年以上の実務経験がある人。 |
高卒で介護福祉士を目指すなら、③④⑤のいずれかのルートを取ることになります。実務経験を経て介護福祉士を目指す場合、2017年から、3年以上の実務経験に加えて実務者研修などを修了することが必須となりました。介護職員初任者研修などの資格を取っていれば、実務者研修においていくつかの履修科目が免除されます。
試験内容
筆記試験と実技試験により合否を決めます。いずれも総得点の60%程度が合格ラインで、筆記試験の場合は出題範囲の11科目全てで得点する必要があります。
<筆記試験>(11科目)
①人間の尊厳と自立、介護の基本
②人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術 ③社会の理解 ④生活支援技術 ⑤介護過程 ⑥発達と老化の理解 ⑦認知症の理解 ⑧障害の理解 ⑨こころとからだのしくみ ⑩医療的ケア ⑪総合問題 |
<実技試験>(※養成施設修了者や実務経験者は免除)
介護等に関する専門的技能 |
取得後の道
介護についての専門的知識と技術を持つと認められます。口腔内や鼻腔内、気管カニューレ内の喀痰吸引、胃ろうや腸ろう、鼻のチューブを通しての経管栄養といった医療行為が可能なのは、介護職では介護福祉士だけです。また家族や他の介護職への指導やアドバイスも業務に含まれますので、職場でのリーダーや管理職を任されるなど、キャリアアップにもつながるでしょう。
参考
社会福祉士及び介護福祉士法|e-Gov
社会福祉士及び介護福祉士法施行規則|e-Gov
介護福祉士国家試験|公益財団法人社会福祉振興・試験センター
介護福祉士とは?資格概要・取得メリット・取得方法も紹介|介護の資格 最短net
医療事務技能審査試験
医療事務は、保険の計算をして報酬を請求する診療報酬請求事務や患者対応などに携わる、医療の現場を支える専門職です。医療事務職に就くのに特別な資格は要りませんが、資格を持っていることは、専門知識や技能の証明になります。中でも一般財団法人日本医療教育財団が行う医療事務技能審査試験は、医療事務関連試験のスタンダードとして評価を得ています。
受験資格
特にありません。
試験内容
自宅で受験できる在宅受験で、試験日翌日までに返信用封筒に試験問題・解答用紙を封入し、送付します。出題内容は次の通り。
<学科>医療事務知識/筆記(択一式)/25問/60分
①医療保険制度
②高齢者医療制度 ③公費負担医療制度 ④介護保険制度 ⑤医事法規一般 ⑥医事業務 ⑦選択科目(医科または歯科):診療報酬請求業務/医学一般/薬学一般/診療録 |
<実技I>患者接遇/筆記(記述式)/2問/50分
コミュニケーション(医事課患者応対) |
<実技II>診療報酬請求事務/4問/70分
選択科目(医科または歯科):診療報酬明細書(出来高請求)の点検 |
取得後の道
合格者には「メディカルクラーク」の称号が付与されます。資格を取ることは自分の知識や技能の確認と証明、さらなる目標になりますし、医療機関にとっては信頼性の高い評価基準になります。新規採用や転職の際にも、自分の能力をアピールできるでしょう。