葉酸は1日どれくらい摂取すればいい?
以下の表は、厚生労働省が推奨する葉酸の1日の摂取量です。18歳以上の男女はともに240μg(マイクログラムは100万分の1g)=0.24mgとされています。また、妊娠を計画している女性や妊娠の可能性のある女性は、1日400μg=0.4mgのプテロイルモノグルタミン酸(合成葉酸)の摂取が望ましいようです。
耐容上限量は男女ともに18~29歳で900μg、30~69歳で1000μg、70歳以上で900μgとなっています。厚生労働省「平成29年 国民健康・栄養調査報告,P58」によると、日本人の葉酸の1日の平均摂取量は281μgでした。栄養バランスの取れた通常の食事をしている場合は、葉酸をしっかり摂取できていると考えられるでしょう。
性別 | 男性 | 女性 | ||||||
年齢等 | 推定
平均 |
推奨量 | 目安量 | 耐容
上限量 |
推定
平均 必要量 |
推奨量 | 目安量 | 耐容
上限量 |
0〜5(月) | – | – | 40 | – | – | – | 40 | – |
6〜11(月) | – | – | 60 | – | – | – | 60 | – |
1〜2(歳) | 70 | 90 | – | 200 | 70 | 90 | – | 200 |
3〜5(歳) | 80 | 100 | – | 300 | 80 | 100 | – | 300 |
6〜7(歳) | 100 | 130 | – | 400 | 100 | 130 | – | 400 |
8〜9(歳) | 120 | 150 | – | 500 | 120 | 150 | – | 500 |
10〜11(歳) | 150 | 180 | – | 700 | 150 | 180 | – | 700 |
12〜14(歳) | 190 | 230 | – | 900 | 190 | 230 | – | 900 |
15〜17(歳) | 210 | 250 | – | 900 | 210 | 250 | – | 900 |
18〜29(歳) | 200 | 240 | – | 900 | 200 | 240 | – | 900 |
30〜49(歳) | 200 | 240 | – | 1,000 | 200 | 240 | – | 1,000 |
50〜69(歳) | 200 | 240 | – | 1,000 | 200 | 240 | – | 1,000 |
70以上(歳) | 200 | 240 | – | 900 | 200 | 240 | – | 900 |
妊婦
(付加量) |
+200 | +240 | – | – | ||||
授乳婦
(付加量) |
+80 | +100 | – | – |
(日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要,P25|厚生労働省より筆者作成)
葉酸が不足・過剰の場合はどうなる?
胎児の細胞分裂が盛んな妊娠初期(4~12週)に母体の葉酸が不足した場合、先天異常をまねく恐れがあります。「無脳症」や脊髄が皮膚の外に飛び出す「二分脊椎」、「脳瘤」などの神経管閉鎖障害のリスクが高まるといわれています。
ビタミンB12欠乏と同様に、葉酸の不足は巨赤芽球性貧血という悪性の貧血を引き起こします。また、葉酸は動脈硬化の危険因子であるホルモシステインと呼ばれるアミノ酸から、血中のコレステロール値を下げる効果のあるメチオニンと呼ばれるアミノ酸を生成するのに必要とされています。そのため、葉酸が欠乏するとホルモシステインの代謝ができなくなり、動脈硬化を引き起こす可能性が出てきます。
一方、サプリメントなどに含まれる合成葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)を大量(1〜10mg)摂取した場合、発熱、蕁麻疹、紅斑、かゆみ、呼吸障害などの葉酸過敏症を起こすことがあります。
葉酸を多く含む食品とは?
葉酸はほうれん草やブロッコリーといった緑黄色野菜をはじめ、酵母、海藻類、レバー、豆類、卵黄、緑茶などに多く含まれています。葉酸の多い食べ物上位20を以下の表にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
葉酸の多い食べ物TOP20
順位 | 食品名 | 成分量(100gあたりμg) |
1 | パン酵母(乾燥) | 3,800 |
2 | パン酵母(圧搾) | 1,900 |
3 | 焼きのり | 1,900 |
4 | 味付けのり | 1,600 |
5 | いわのり(素干し) | 1,500 |
6 | パセリ(乾燥) | 1,400 |
7 | 煎茶 | 1,300 |
7 | 鶏レバー(生) | 1,300 |
9 | あまのり | 1,200 |
9 | かわのり(素干し) | 1,200 |
9 | 抹茶 | 1,200 |
12 | 牛レバー(生) | 1,000 |
12 | 玉露 | 1,000 |
14 | ケール | 820 |
15 | 豚レバー(生) | 810 |
16 | まつも(素干し) | 720 |
17 | 乾燥わかめ(板わかめ) | 510 |
18 | 大豆 | 460 |
18 | 緑豆 | 460 |
20 | 乾燥わかめ(素干し) | 440 |
(食品成分ランキング 葉酸|文部科学省より筆者作成)
レバー類には葉酸が多く含まれていますが、ビタミンAの含有量も多いです。妊娠中にビタミンAを過剰摂取すると、胎児の形態異常(奇形)のリスクが高まるといわれています。レバーばかり毎日のように食べ続けたりはせず、さまざまな食品から葉酸を補うようにしましょう。