冬の楽しい家族イベント、クリスマス。ツリーや飾りつけ、ケーキやプレゼントに、心を躍らせる子供は多いことでしょう。子供たちの間でも、クリスマスがキリスト教のお祝いであるということは、よく知られた事実だと思います。しかし、その起源や歴史をたどっていくと、世界中を見れば多彩な展開を見せていることが分かります。クリスマスにまつわるキリスト教の歴史秘話を、親子で追いかけてみましょう!
サンタクロースの起源
クリスマスといえばサンタクロース。クリスマス・イブの晩のプレゼントを心待ちにする子供たちも多いでしょう。しかし「サンタクロースって本当にいるの?」という疑問は、古今東西、日本だけでなく世界中の親子の間で持ち上がっている話題のようです。サンタクロースとはいったん誰なのでしょう? そして本当に存在するのでしょうか?
サンタクロースの由来は聖ニコラスさん
サンタクロースの由来は、4世紀頃のキリスト教の司祭、聖ニコラス(本名:セント・ニコラス)さんだと言われています。4世紀頃の人がサンタクロースの由来なので、子供に「サンタクロースの年齢は?」と聞かれたら、「1,600歳」と答えれば間違いではありません。誕生日は残念ながら不明です。
11世紀頃には、ヨーロッパ各地に聖ニコラスのお祭りが広まっていました。16世紀、それがオランダ人移民によって新大陸アメリカに持ち込まれ、新教・プロテスタントのクリスマス行事として定着した、というのが定説のようです。「サンタクロース」は、聖ニコラスのオランダ語読み「シンタクラース」がなまったものだと言われています。
聖ニコラスはどんな人?
聖ニコラスはどんな人だったのでしょうか。伝説によれば、ギリシャのパトラスに270年ごろに生まれ、のちにトルコの都市ミュラの司祭として慈善活動を行った人だとのこと。無実の罪人を救ったり貧しい人に施しをしたり、飢饉から人びとを救ったりとさまざまな奇跡が伝えられています。
ヨーロッパにおける聖ニコラウスのお祭りでは、子供たちにプレゼントとして食物を配る習慣や、結婚の儀式との関連がみられます。つまり聖ニコラウスは、未来を担う子供や若者たちに、豊かな将来を約束してくれる存在だったわけです。
サンタクロースはどんな人?
聖ニコラウスは3~4世紀の人ですので、今はもう存在しません。現代におけるサンタクロースとは、一体誰なのでしょう。
人々に愛と慈善を施す聖ニコラウスや、クリスマス・イブの夜に眠っている子供たちにプレゼントを配るサンタクロース。それらの本質的な意味を抽出すると「子供や若者に対し、大きくやさしい無償の愛で、豊かな未来を祈り贈り物をくれる存在」と言うことができるでしょう。サンタクロースの持つ意味を心理学的に解いていくと、寛容で思いやり深い「保護的な親(NP=Nurturing Parent)」と、子供に必要な正しい価値観を与えようとする「批判的な親(CP=Critical Parent)」の要素を兼ね備えた、「親性」の象徴と考えられます。調和のとれた親的な存在は、子供の成長に大切なものです。
サンタクロースはひょっとすると、現在に生き残る聖ニコラウスの精霊なのかもしれませんし、世界中のそれぞれの町にいるのかもしれません。あるいは、フィンランドに住んでいて子供たちに手紙をくれる人なのかもしれませんし、サンタクロースから贈り物を預けられた親なのかもしれません。どんな形を取るにせよ、贈り主は間違いなく「サンタクロース」なのでしょう。あなたは「サンタクロース」は、誰なのだと思いますか?
参考
荒木正見(2000年)『サンタクロースという親(おや)性 : 比較論的考察』比較思想学会福岡支部紀要 No.1
子供にサンタクロースの正体を聞かれたら?
幼い子供にサンタクロースの正体を聞かれたら「ドキッ」とするでしょう。「まだ幼い子供にサンタクロースの正体を明かしても良いものか…」と悩む親御さんもいるかもしれません。
サンタクロースの正体を子供に明かす年齢に正解はありませんが、「@niftyニュースが行った調査」によると、幼稚園・保育園くらいの年齢まで信じていた子供が多いようです。統計的には、子供が小学生に上がったくらいのタイミングでサンタクロースの正体について教えれば平均的と言えそうです。
「サンタクロースの正体」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。