中田永一
なかたえいいち。本名は安達寛高(あだちひろたか)です。ほかにも乙一(おついち)、山白朝子(やましろあさこ)、枕木憂士(まくらぎゆうし)というペンネームで執筆している推理小説家です。ホラー寄りの作品とハートフルな作品の大きく二分した作風が魅力です。
主な作品名と受賞歴
- 『夏と花火と私の死体』(集英社);ジャンプ小説・ノンフィクション大賞
- 『GOTH リストカット事件』(角川書店);本格ミステリ大賞
- 『くちびるに歌を』(小学館);小学館児童出版文化賞
ほか多数
おすすめの1冊
長崎県五島列島のある中学校で臨時教員の美人ピアニスト・柏木ユリは1年間の期限付きで合唱部の顧問を受け持つことになります。柏木はNHK全国学校音楽コンクールの課題曲「手紙~拝啓十五の君へ~」にちなんで、15年後の自分に向けた手紙を書くように子供達に宿題を出します。登場人物の手紙、会話を通じて、子供達がそれぞれに抱える胸のうちが明らかになり、当初あった男女のわだかまりが解消されていき、本番に挑むようになります。
朝井リョウ
あさいリョウ。戦後最年少で直木賞を受賞し、直木賞史上初の平成生まれの受賞者となりました。時に辛辣とも思えるような言葉を登場人物が放つことで、人の深層心理に触れるようなドキリとした文章が特徴です。それが故に、他人事とは思えない感情を抱き、魅了される人が後を絶ちません。
主な作品名と受賞歴
- 『桐島、部活やめるってよ』(集英社);小説すばる新人賞
- 『何者』(新潮社);直木賞
- 『世界地図の下書き』(集英社);坪田譲治文学賞
ほか多数
おすすめの1冊
田舎の県立高校の頼れるバレー部キャプテンの桐島が理由を告げずに部活を辞めてしまいます。桐島の退部によって周囲の同級生5人の日常にささいな変化が起き、さまざまにリンクしていきます。5人それぞれが抱える悩みや葛藤が1つの出来事で浮き彫りになっていく青春群像小説です。
辻村深月
つじむらみゆき。本名は公表されていません。作家・綾辻行人(あやつじゆきと)氏の大ファンで、ペンネームの「辻」の字を取ってつけています。少年少女の揺れる心情を捉えた作品の多くがハッピーエンドで終わることが多いのが特徴です。作品の登場人物がほかの作品でも登場するため、作家読みが楽しい小説家の1人です。
主な作品名と受賞歴
- 『冷たい校舎の時は止まる』(講談社);メフィスト賞
- 『鍵のない夢を見る』(文藝春秋);直木賞
- 『かがみの孤城』(ポプラ社);本屋大賞
ほか多数
おすすめの1冊
中学校に通えなくなり閉じこもっていた少女こころ。ある日鏡に引き込まれ城のような不思議な建物にたどり着きます。そこにいたのは狼の面をつけた少女と、こころと似た境遇の少年少女達。そして、みんなで城のどこかにある「願いの叶う鍵」を探すことになります。すべての謎が解けるとき、驚きと感動に包まれる優しい作品です。
湊かなえ
みなとかなえ。緻密な構成が人気のミステリー作家です。執筆するに当たって、登場人物1人1人の履歴書を作ってキャラクター設定をしており、特に女性の内面描写に定評があります。
主な作品名と受賞歴
- 『告白』(双葉社);本屋大賞
- 『望郷、海の星』(文藝春秋);日本推理作家協会賞(短編部門)
- 『ユートピア』(集英社);山本周五郎賞
ほか多数
おすすめの1冊
1人娘を校内で亡くした中学校の女性教師・森口悠子は、ホームルームで娘は事故死ではなくクラスメイトに殺された、と告白し学校を去ります。1つの事件について、登場人物が1人ずつ語り進めていくうちに、徐々に事件の真実にたどり着きます。愛する我が子を殺した犯人生徒への復讐とは。人間の弱さや身勝手さが浮き彫りになり最後はぞっとする1冊です。
有川浩
ありかわひろ。本名、山本浩子。登場人物の会話や文章のテンポが良いのが人気です。初期のころはSFや戦闘シーンが多く描かれていましたが、さまざまな世界観が描かれており、娯楽性が高いのが特徴です。
主な作品名と受賞歴
- 『塩の街 wish on my precious』(メディアワークス);電撃ゲーム小説大賞
- 『図書館戦争』(メディアワークス);星雲賞日本長編部門
- 『フリーター、家を買う。』(幻冬舎)
ほか多数
おすすめの1冊
片道わずか15分のローカル線である「阪急電車」内で織り成される数々の人間模様。たまたま乗り合わせただけですが、その人の数だけ、人生が交差し物語が生まれています。恋の予感、別れの兆し。笑顔になる物語から、考えさせられる物語まで描かれた傑作長編小説です。
梨木香歩
なしきかほ。児童文学や絵本を手がける作家です。心が温まり前向きになれる作風が人気で、ファンタジーの楽しさを味わわせてくれます。
主な作品名と受賞歴
- 『西の魔女が死んだ』(新潮社);日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学賞、小学館文学賞
- 『裏庭』(理論社);児童文学ファンタジー大賞
- 『沼地のある森を抜けて』(新潮社);センス・オブ・ジェンダー賞大賞、紫式部文学賞
ほか多数
おすすめの1冊
学校に行けなくなった中学生の少女まいは、大好きなイギリス人のおばあちゃんから魔女修行の手ほどきを受けます。魔女修行で大切なことは「なんでも自分で決めること」。少女と祖母が季節が初夏へと移り変るひと月あまりを一緒に生活し、心を通わせていく中で少女が生きることを学んでいく心温まる作品です。