子供の咳が止まらない!考えられる症状別の原因と家庭での対応方法 - cocoiro(ココイロ) - Page 2

咳の症状別の病名と処置

咳が出たら、呼吸や咳の音によく注意しましょう。音によって病気の具合が分かります。さまざまな咳の音から分かる病気について見ていきましょう。

コンコン・ゼロゼロ

多くの咳症状の原因は「普通感冒(かぜ症候群)」です。症状によって、咳止め(鎮咳薬)、去痰剤、解熱剤、気管拡張薬、抗菌薬(抗生物質)を組み合わせて処方します。

ケンケン

犬が吠えるような、もしくはオットセイが鳴くような響く咳で、特に夜中から明け方に症状が悪化する場合は「急性喉頭炎(仮性クループ)」の疑いがあります。1~3歳くらいの乳幼児がかかりやすい病気で、呼吸困難が見られる場合は夜間でも緊急の吸入処置が必要です。

細菌性感染の場合は進行が速く、病状が重篤化しやすいため特に注意が必要です。ヒブ(Hib)感染は予防接種によって予防することができます。

参考

クループ症候群 | 中野こどもクリニック

コンコンコンコンヒー

顔を真っ赤にして咳き込んだ後に引きこむ場合は「百日咳」の疑いがあります。特有のけいれん性の咳発作が特徴で、特に6ヶ月以下の乳幼児は感染すると死に至る危険性があります。

そのため、百日咳を対象とする定期予防接種を受けて予防することが肝心です。ただし、ワクチンの効果は10年程度しか持続しないことが分かっているため、大人でも発症する可能性があることを覚えておきましょう。

治療には、原因菌である百日咳菌に有効な抗菌薬が処方されます。

参考

百日咳とは|感染症・予防接種ナビ

百日咳 | 今日の臨床サポート – 診断・処方・エビデンス 

息を吸うときにヒューヒュー

急に激しく咳き込んで、息を吸うときにヒューヒューと苦しそうな呼吸音がする場合は「気管内異物」の疑いがあります。のどに物が詰まり、声が出せなかったり咳き込むこともできなかったりする場合は窒息の危険性があるため、119番通報と応急処置が急務です。下記参考リンクに応急処置の詳細と窒息の危険性が解説されているので、小さなお子さんを持つ保護者は一読をおすすめします。

参考

小児の気道異物事故予防ならびに対応 2013年8月|日本小児呼吸器学会 気道異物事故予防ワーキンググループ

ハーハー

発熱し、激しく咳き込んで呼吸が速い場合は「肺炎」の疑いがあります。子供の肺炎の主な原因は年齢によって異なります。

  • 生まれて28日未満の新生児期:B群連鎖球菌、大腸菌等の腸内細菌
  • 1~2歳の乳幼児期:RSウイルス・ヒトメタニュウモウイルスほか多くのウイルス、肺炎球菌・インフルエンザ菌といった細菌
  • 2~6歳の幼児期:肺炎球菌・インフルエンザ菌、肺炎マイコプラズマ・肺炎クラミジア
  • 小学生以上の学童期以降:肺炎球菌・インフル工ンザ菌は少なくなり、肺炎マイコプラズマ・肺炎クラミジアが多くなる。

細菌性肺炎の多くの場合は、原因となる細菌に有効な抗菌薬が処方されれば48時間以内に解熱し咳が軽減します。抗菌薬が効かない場合は点滴や入院を要します。

参考

小児呼吸器感染症診療ガイドライン 2017 に基づいた小児期市中肺炎の治療 坂田 宏|日本化学療法学会雑誌,P371

ゼーゼー、息を吐くときにヒューヒュー

鼻水や発熱などの諸症状があり、呼吸が速く苦しそうで、痰が絡んで咳き込む場合は「喘息様気管支炎」もしくは「気管支喘息」が疑われます。「喘息様気管支炎」または「気管支喘息」を診断するために、

  • 家族のアレルギー歴
  • 気管支の聴診所見
  • 呼気の伸び
  • 気管支拡張剤の吸入への反応

などを確認し治療の経過を見ます。このとき、

  1. 咳を繰り返す傾向がある
  2. 喘鳴の程度がひどい
  3. 気管支拡張剤の吸入に良く反応する
  4. 気管支喘息以外のアレルギー歴がある

という子供は、将来気管支喘息になる可能性が高いと考えられています。

去痰剤、解熱剤、気管拡張薬を使用し、場合によっては抗菌薬(抗生物質)も使用します。症状がひどい場合は入院治療が必要です。

参考

喘息様気管支炎|妹尾小児科