子供の身長を伸ばす方法は?
十分な睡眠をとろう
十分な睡眠をとるには、睡眠の質と量が大切になってきます。
身長が伸びるのに必要な「睡眠の質」とは?
骨が伸びるのは、骨端線付近に存在する骨芽細胞の働きによるものであると、先にご説明しました。この骨芽細胞の働きを促す成長ホルモンは、眠り始めから3時間くらいの間に訪れる最も深い眠り(ノンレム睡眠)で多く分泌されます。
ぐっすりと深く眠るためには、眠る前に脳へ刺激を与えず、寝る環境と体温調節を心がけることが大切です。具体的なコツは次の通りです。
- 寝る前にテレビやスマートフォンの画面を見ない。
- 夕方の遅い時間や夜に運動しない。
- 寝る2時間前までに食事を終わらせる。
- 寝る1時間前に湯船につかる。
- 昼寝は30分以内に済ませる。
- ベッドは「夜しっかりと眠る場所」という習慣づけを行う。
また、近年朝食を食べない子供たちが増えていますが、朝食をきちんととることが睡眠の質を上げるために必要です。
日本人の成人を対象にした横断研究では、睡眠-覚醒リズムが不規則である者は、朝食
の欠食頻度が多い、朝食の摂取量が少ない、昼食や夕食の摂取量が多いとの傾向があることが示されている。
(引用元:健康づくりのための睡眠指針 2014(平成26年3月)|厚生労働省健康局,P24 2-② 朝食はからだとこころのめざめに重要)
身長を伸ばすためには、ぐっすりと眠りにつくための規則正しい生活が必要なのです。
身長を伸ばすのに必要な「睡眠の量」とは?
厚生労働省が2014年に発表した「睡眠指針」では、必要な睡眠時間について次のように考えています。
個人差はあるものの、必要な睡眠時間は 6 時間以上 8 時間未満のあたりにあると考える
のが妥当でしょう。
(引用元:健康づくりのための睡眠指針 2014(平成26年3月)|厚生労働省健康局,P8 第5条)
長く寝たからといって質の良い睡眠がとれるわけではないのです。では、必要な睡眠時間をとれているかどうかを個人でどのように判断すればいいのでしょうか。
日中の仕事や活動に支障をきたす程度の眠気でなければ、普段の睡眠時間は足りていると考えられます。
(引用元:健康づくりのための睡眠指針 2014(平成26年3月)|厚生労働省健康局,P11 第8条)
子供がしっかり疲れをとれる理想的な睡眠時間について、ぬかたクリニックの額田成院長は次のように提唱しています。
【子供の理想的な睡眠時間】
年齢 | 理想の睡眠時間 |
---|---|
幼稚園 | 10時間以上 |
小学校低学年 | 10時間 |
小学校高学年 中学生 |
9.5時間 |
十分な睡眠時間がとれているかどうかは個人差があります。日中の疲れがしっかりとれているかを個々に判断し、成長に必要な良質で適量の睡眠がとれるように、家庭でサポートすることが重要です。
参考
どうすればもっと身長を伸ばすことが出来るのか?|ぬかたクリニック
バランスの良い食事をとろう
骨芽細胞を活発に働かせるためには、栄養が必要です。食事のとり方について、高光製薬株式会社は次のように提唱しています。
さまざまな食材をまんべんなく食べることで、栄養素をバランス良く摂取し、すくすく育つ元気な体がつくられるのです。
(引用元:子供の成長のための3大要素とは?食事と成長|高光製薬株式会社)
では、子供の身長を伸ばすのに必要な栄養素と避けたい栄養素を見ていきましょう。
【骨を成長させる栄養素】
栄養素 | 効果 | 含まれる食材 |
---|---|---|
タンパク質 | 新しい骨を作り出す | 肉、魚、大豆などの豆類 |
亜鉛 | 成長ホルモンに関係 | ピーナツ、牡蠣、レバー、うなぎの蒲焼、納豆、ゴマ |
ビタミンD | カルシウムの吸収率を高める | 青魚、きのこ類 |
マグネシウム | カルシウムを吸収し骨に定着させる | 昆布、ひじき・海苔などの海藻類や、ゴマ・アーモンドなどのナッツ類 |
カルシウム | 骨を丈夫にする | 乳製品、葉物野菜、大豆・大豆製品、海藻、小魚、中骨入りの鮭の水煮缶 |
【骨を成長させない栄養素】
栄養素 | 効果 | 含まれる食材 |
---|---|---|
リン酸 | カルシウムが血中に流れ出す | 乳製品、清涼飲料水・インスタント食品・スナック菓子などの食品添加物 |
栄養素を限定して過剰摂取するのではなく、バランスを考えて食事しましょう。
参考
どうすればもっと身長を伸ばすことが出来るのか?|ぬかたクリニック
子供の成長のための3大要素とは?食事と成長|高光製薬株式会社
骨を丈夫にする食生活 カルシウムを豊富に含む10の食品|保健指導リソースガイド
適度な運動で筋力をつけよう
子供の身長を伸ばすのには適度な運動も必要です。適度な運動は、成長ホルモンの分泌を促します。睡眠と食事とも密接に関わっており、適度な運動で食欲が増進して栄養素を取り入れることができ、疲労回復のために良質な睡眠をとることができます。
「適度な運動」とは、骨にほど良い刺激を与えることをいいます。そのため、成長期にはあまりおすすめできない運動もあります。
【成長期にやってはいけない運動】
- 偏った特定のスポーツ
- 負荷の高い運動(ウェイトトレーニングなど)
- 未発達の肺や心臓に負担がかかる運動(長距離マラソンなど)
身長を伸ばすために運動は必要ですが、やり過ぎは良くありません。
また、姿勢を良くする骨盤矯正も身長を伸ばすことに有効です。姿勢が悪いと内臓に負担がかかり、成長に必要な栄養素が体中に行き届かなくなる可能性があります。
そのため、全身を伸ばして筋肉をほぐし、骨盤矯正によって姿勢を良くするような適度な運動をするよう心がけましょう。
ここで親御さんに注意していただきたいのは、子供が嫌がっているのに、運動を強制したりプレッシャーを与えてしまうことです。人間はストレスを感じると、成長ホルモンの分泌を阻害するコチゾールというホルモンを分泌してしまいます。
子供が楽しめるような工夫をしながら、自然と運動に向かえる環境づくりをしましょう。
思春期を遅らせる
思春期を早く迎える原因は、睡眠不足と肥満による性ホルモンの過剰分泌です。そのため思春期を遅らせるためには先に述べたように、適量の良質な睡眠をとり、適度な運動を心がけることが大切です。
また睡眠不足や運動不足でないのに思春期が早く訪れそうな場合には、クリニックなどで性ホルモンの分泌を抑える薬を処方してもらう方法もあります。詳しくは専門医を受診してみてください。