子供の身長が伸びない4つの原因
身長の伸びは、親からの遺伝要素以外にも、生活環境によって大きく左右されます。以下で、身長が伸びない生活環境の原因を見てみましょう。
生活リズムの夜型化と睡眠不足
1歳から6歳までの幼児期の睡眠時間について、日本小児保健協会の調べによると、就寝している時間帯が21時以降である幼児が50%以上いることが分かりました。
また、思春期を迎える10代の子供たちの睡眠について、NHK放送文化研究所が2015年に報告した「国民生活時間調査報告書」では、半数以上の10代男女が23時以降に就寝していることが分かりました。
【10代男女の就寝時間】
10代男子 | 10代女子 | |
---|---|---|
50%以上が就寝 | 23:00~23:15以降 | 23:00~23:15以降 |
70%以上が就寝 | 23:45~24:00以降 | 23:30~23:45以降 |
参考
幼児健康度に関する継続的比較研究 平成22年度総括・分担研究報告書(平成23年3月)|特例社団法人日本小児保健協会,P39 Q28-2 寝る時間
2015年 国民生活時間調査報告書(平成28年2月)(1)睡眠|NHK放送文化研究所(世論調査部),P48 図表71
幼稚園や学校に通っていれば、決まった時間に起きなければなりません。そのため、生活リズムが夜型化すれば自然と就寝時間が短くなってしまいます。
食事を抜いたり偏食傾向がある
マルハニチロが、親が子供に改めてほしいと思っている食事習慣について調査した結果、幼児・小学生に偏食傾向が多く見られました。
【親が子供に改めてほしい食事習慣】(偏食傾向が見られる項目のみ抜粋)
食事習慣 | 幼児 | 小学生 | 中高生 |
---|---|---|---|
好き嫌いがある・栄養バランスが偏っている | 46.3% | 55.6% | 36.1% |
同じものばかり食べる | 28.8% | 20.0% | 22.2% |
食材の種類が少ない | 13.8% | 4.4% | 13.9% |
ジャンクフードが多い | 8.8% | 11.1% | 19.4% |
粉食が多い | 7.5% | 2.2% | 11.1% |
また、朝食のとり方について、幼児は日本小児保健協会の調査結果を、小学生・中学生は文部科学省の調査結果を調べましたところ、以下の通りになりました。
【朝食を毎日食べる比率】
年齢 | 比率 |
---|---|
幼児 | 93.3% |
小学生 | 86.3% |
中学生 | 80.6% |
つまり、学年が上がるにつれて朝ごはんを食べない子供の割合が増えており、身長の成長ピークを迎える中学生は、約2割の子供が朝食を抜いていることが分かっています。
参考
~マルハニチロ、「食生活と健康に関する調査」~(2015年2月26日)|マルハニチロ株式会社,P13 図17 子供の食事について、改めて欲しいと思っていること
幼児健康度に関する継続的比較研究 平成22年度総括・分担研究報告書(平成23年3月)|特例社団法人日本小児保健協会,P39 Q26 朝食のとり方はどうですか。
第1章 子どもの生活の現状|文部科学省,P5 2朝食(食事)に関して 朝食摂取の割合
運動不足
文部科学省の調べによると、今の子供たちは週3日以上運動やスポーツを行う割合が昔に比べて少なくなっています。
【週3日以上運動やスポーツを行う子どもの割合】
年齢 | 比率 |
---|---|
男子 | 62.1% (親世代に比べ16.7%減少) |
女子 | 39.8% (親世代に比べ34.3%減少) |
体力・運動能力について、文部科学省は次のような懸念を示しています。
今日の子どもは、体格がよくなっているにもかかわ らず、運動能力が低下する傾向にあります。
(引用元:第1章 子どもの生活の現状|文部科学省,P9 3遊び・運動に関して)
運動能力が低下すれば、自然と運動意欲がなくなってしまい、さらなる運動不足へとつながってしまうのです。
参考
第1章 子どもの生活の現状|文部科学省,P9 3遊び・運動に関して
思春期の早期化
思春期について、ぬかたクリニックの額田成院長の話を軸に説明していきます。
人間は10歳を過ぎると脳から性腺刺激ホルモンが多量に分泌される影響で、精巣や卵巣から性ホルモンが放出されます。そして精通や初潮といった生理的変化を経て、大人の体が完成します。この時期を「思春期」といいます。
ここで注目したいのが、日本の子供たちは、欧米諸国の子供たちよりも思春期を迎えるのが早いというデータが出ていることです。
その結果、14歳までは日本人もアメリカ人も身長差はないが、15歳以降日本人の身長の伸びが停滞、これに対しアメリカの子供は15歳を過ぎても身長が伸び続け、最終的には両者の間におよそ6cmもの差が生じてしまっているのだ。
(引用元:どうすればもっと身長を伸ばすことが出来るのか?|ぬかたクリニック)
思春期に放出される性ホルモンには、
- 身長の伸びを加速する効果(第2次性徴)
- 同時に骨を固めて成長を止める作用
という二つの作用があります。そのため、思春期を早く迎えると、身長の伸びが早くに止まってしまうことになるのです。
では、なぜ日本の子供は思春期が早いのでしょう。
まず、睡眠不足によるメラトニンの減少があります。性ホルモンは、脳からメラトニンというホルモンが分泌されると抑制されます。メラトニンは、睡眠を十分にとることで分泌されることが分かっています。
そして次に、肥満によるレプチンの増加があります。性ホルモンは、脂肪細胞からレプチンというホルモンが分泌されると促進されます。レプチンは食欲や代謝などの調節を行う分泌物で、脂肪細胞が増えると分泌量が増加されるのです。