画一的な教育ではないオルタナティブ教育。この言葉を聞いたことはあるけど、よくわからないという方は多いのではないでしょうか。当記事では、オルタナティブ教育についてわかりやすく解説します。
もくじ
自主性を尊重するオルタナティブ教育
一言にまとめると、オルタナティブ教育は「自主性を尊重する教育」なのですが、ここでは、オルタナティブ教育について詳しく書いていきます。
オルタナティブ教育とは何か
そもそもオルタナティブ教育とは、伝統的な教育ではなく、欧米の哲学的な思想に基づく教育のことです。つまり、画一的な教育ではなく、子供個人を尊重し、子供が本来持っている探求心に基づいた活動を促し、子供自身が主体的に行動する教育です。
こういったオルタナティブ教育の場では、大人は「教師」ではなく、あくまでも子供をサポートする「スタッフ」という立ち位置となります。
次はその有名な教育法をご紹介していきます。
オルタナティブ教育のスタイル
有名な教育法として、シュタイナー、モンテッソーリ、サドベリー、サマーヒルなどが挙げられます。ここでは、この有名な教育法について、詳しく書いていきます。
シュタイナー教育
ドイツの哲学者、ルドルフ・シュタイナーが提唱したものです。小学校に上がるまで文字を教えたり、特定の教材を使ったりするような教育は行わずに、子供の感性や自主性を重んじる教育です。
シュタイナー教育についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
モンテッソーリ教育
モンテッソーリ教育は、医師であり教育家であったイタリアのマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法です。将棋の公式戦で29連勝を成し遂げた藤井聡太さんもこの教育を受けていました。
「子供には、自分で自分を育てる能力である自己教育力が備わっている」ことが前提としてあるモンテッソーリ教育。そのため、大人はその力があることを前提として、子供の成長の手助けを行う必要があります。
モンテッソーリ教育についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
サドベリー教育
サドベリースクールには、カリキュラムやテスト、クラスなどの枠組みは一切ありません。
「じゃあ何を学ぶのか?」と思う方もいるでしょう。サドベリースクールでは「人は学びたい時に学ぶ」という考えが根底にあるため、学びたいものを自由に学びます。
また、先生がおらず、保護者を始めとしたスタッフの大人と子供で民主的に自治運営をする点もサドベリースクールの特徴です。
サマーヒル教育
サマーヒール・スクールは「子供たちは強制よりも自由を与えることで最もよく学ぶ」という哲学があります。そのため、全ての授業は選ぶことができ、自分の時間で何をするかも生徒が自分自身で決めます。
サマーヒル教育を元にした、和歌山県にある「きのくに子どもの村」では、プロジェクトという、クラスごとの体験学習が実施されています。
オルタナティブ教育のメリット
オルタナティブ教育には、様々なメリットがあります。
子供が主体的に学ぶようになる
オルタナティブ教育では、子供自身が自ら学ぶ意欲を大切にしているため、子どもの興味関心を中心に、生活ルールや学習計画、行事などを大人と話し合って決めることが多いです。
個性が尊重される
画一的な教育ではなく、1人1人の個性を尊重し、生活ルールなどの様々な事を決めていく傾向が強いです。
実際に行動してみる学習が多い
座学ではなく、体験型の授業が多く、子供の興味関心が高いテーマに挑戦したり、研究を行います。
違う年齢の子供と触れ合える
年齢でクラスわけを行なっていなかったり、そもそもクラスがないということが多いです。そのため、自分より年下の子供を思いやる気持ちを育んだり、子供同士の関係の中で学びが得られます。
オルタナティブ教育の注意点
オルタナティブ教育にメリットもありますが、当然注意点もあります。
学校によって考え方が違う
オルタナティブ教育と一言で言っても、その考え方は様々です。学校ごとによって考え方や理念が変わってくるので、子供はその学校の理念に合っているかを確認するために、一度体験授業などを受け、よく話し合ってから、入学をするかどうかを決めると良いでしょう。
上級校がない
オルタナティブスクールは、高校を併設している所が非常に少なく、ほとんどが小学校や中学校までです。そのため、高校に進学する際は、高校のカリキュラムや教育方針が合っているかを確認することが大切でしょう。
費用が高額になる
オルタナティブスクールは私立のため、公立よりも費用が高額です。
学校の数が少ない
非常に数が少なく、オルタナティブスクールに通わせたいと思っても、自宅の近くにないこともあるかもしれません。通わせたいと思ったら、まずは近くにオルタナティブスクールがあるかどうかを調べるようにしましょう。
オルタナティブスクールでの学歴の扱い
オルタナティブスクールでは、学歴はどうなるのでしょうか。
結論は、オルタナティブスクールの卒業資格を取ることはできません。それは、あくまで公的な機関のため、卒業資格を取ることはできません。そのため、義務教育期間である小中学生の間は、どこかの学校に在籍をしたままオルタナティブスクールに通います。この間は、義務教育であるため、公立の小中学校の場合は、出席日数に関係なく、在籍している小中学校の卒業資格を取ることができます。