いまなぜキー・コンピテンシーが重要なのか
キー・コンピテンシーを育てることが、子供にとって重要とされるのはなぜでしょうか。実はその背景には、予測不能の現代社会の変動や課題があるのです。
学力だけでは得られない、人生の成功とは?
これまでの教育は、読み、書き、計算といった基礎的な学力や、たくさんの知識を頭に詰め込むなど、狭い意味での学力が重視されてきました。しかし、キー・コンピテンシーは、知識などを活用力や態度までを含んだ能力とされています。キー・コンピテンシーによって導かれる「人生の成功」とは、次のような主要要因や客観的・主観的要素などが考慮されたものです。
DeSeCoによる人生の成功の8つの要因
- 経済的地位と経済資源
- 政治的権利と政治力
- 知的資源
- 住居と社会基盤
- 健康状態と安全
- 社会的ネットワーク
- 余暇と文化活動
- 個人的満足感と価値志向
変動の大きい時代に、全ての人に必要な力
現代は、急速に進むグローバル化やIT化にともなって暮らしや産業が大きく変動し、環境問題など差し迫った社会課題も抱えている時代です。その混迷のなかで人類は、多様性を実現しながら、正解が1つでない問いに向きあって課題解決をしていく必要が言われています。そのような中、人の能力開発への投資こそが社会や経済のための唯一の戦略として、キー・コンピテンシーが定義されました。
学校教育でもキー・コンピテンシーが求められていく
現在日本でも進められている教育改革も、予測不能の時代に対応するための待ったなしの改革と言われています。キー・コンピテンシーは、どのような関係があるのでしょうか。
これからの授業や入試にキー・コンピテンシーが関連
キー・コンピテンシーは、日本でも教育目標とされている概念の1つです。その考えに基づく教育改革が国内で進められ、これまでの知識偏重型の教育を、大きく変える動きが始まっています。
「主体的・能動的で深い学び」を実現していくアクティブラーニングも導入され、新しい大学入試など子供たちに対するテストや評価の手法も変わっています。古い時代の「学力」のイメージを捨てて、キー・コンピテンシーを意識した教育観へ、教育者や保護者も意識を切替える必要性が問われています。
アクティブラーニングについては、こちらの記事で解説いています。
幼児期の子育ても、キー・コンピテンシーが大切
キー・コンピテンシーを育てていく時期としては、まだ小さな幼児期も大切です。問題解決力や協調性、コミュニケーション力や主体性、自己管理能力、自己肯定感、共感性、道徳心などの基礎が幼児期に育ち、その力が、将来的にキー・コンピテンシーとつながるとされます。幼児期は特に、家庭での思考や好奇心、思いやりの心をはぐくむような言葉かけや体験も有効です。
家庭で知的好奇心を高める方法はこちらで紹介しています。