人生を成功させ社会を変える子供の能力!キー・コンピテンシーとは

人生を成功させ社会を変える子どもの能力!キー・コンピテンシーとは

今の時代、子供たちはどのような能力を身につけて育つことが望ましいのでしょうか。今回は、個人の人生を成功させ社会を良くする能力とされる「キー・コンピテンシー」について、お伝えします。

OECDが定めたキー・コンピテンシーとは?

これからの時代を生きるために重要な能力について、OECD(経済協力開発機構)は、2003年にDeSeCoプログラムの研究として鍵(キー)となる能力(コンピテンシー)を特定。「キー・コンピテンシー」という、新しい能力概念をまとめました。

人生の成功につながり、社会も良くする能力

キー・コンピテンシーとは、 特に次の3つの性質を持つ能力を重視して選び出されたものです。

  1. 人生の成功や社会の発展にとって有益
  2. さまざまな文脈の中でも重要な要求(課題)に対応するために必要
  3. 特定の専門家ではなくすべての個人にとって重要

つまり、自分自身の人生を成功させ社会全体に利益をもたらせる人が共通して持つ能力が、キー・コンピテンシーです。これは、国や職業、学校の成績などに限らず、政治でも経済でも、また社会でも家庭でも共通して発揮される特性だと言えます。

海外でも注目され、教育に取り入れられている

キー・コンピテンシーは、世界各国の15歳児に実施するOECDの学力調査PISAの基盤にもされています。キー・コンピテンシーの研究はもともと、今後子供に対してどのような能力を育てていったらいいのか、教育の成果が知りたいという観点から進められたものでした。

2003年に発表されて以来、キー・コンピテンシーの概念は、アメリカの「21世紀スキル」など新しい能力概念とともに、欧米諸国をはじめとする各国の教育制作に影響を与え、取り入れられてきました。生涯学習にも活用されています。

いまなぜキー・コンピテンシーが重要なのか

キー・コンピテンシーを育てることが、子供にとって重要とされるのはなぜでしょうか。実はその背景には、予測不能の現代社会の変動や課題があるのです。

学力だけでは得られない、人生の成功とは?

これまでの教育は、読み、書き、計算といった基礎的な学力や、たくさんの知識を頭に詰め込むなど、狭い意味での学力が重視されてきました。しかし、キー・コンピテンシーは、知識などを活用力や態度までを含んだ能力とされています。キー・コンピテンシーによって導かれる「人生の成功」とは、次のような主要要因や客観的・主観的要素などが考慮されたものです。

DeSeCoによる人生の成功の8つの要因

  • 経済的地位と経済資源
  • 政治的権利と政治力
  • 知的資源
  • 住居と社会基盤
  • 健康状態と安全
  • 社会的ネットワーク
  • 余暇と文化活動
  • 個人的満足感と価値志向

変動の大きい時代に、全ての人に必要な力

現代は、急速に進むグローバル化やIT化にともなって暮らしや産業が大きく変動し、環境問題など差し迫った社会課題も抱えている時代です。その混迷のなかで人類は、多様性を実現しながら、正解が1つでない問いに向きあって課題解決をしていく必要が言われています。そのような中、人の能力開発への投資こそが社会や経済のための唯一の戦略として、キー・コンピテンシーが定義されました。

学校教育でもキー・コンピテンシーが求められていく

現在日本でも進められている教育改革も、予測不能の時代に対応するための待ったなしの改革と言われています。キー・コンピテンシーは、どのような関係があるのでしょうか。

これからの授業や入試にキー・コンピテンシーが関連

キー・コンピテンシーは、日本でも教育目標とされている概念の1つです。その考えに基づく教育改革が国内で進められ、これまでの知識偏重型の教育を、大きく変える動きが始まっています。

「主体的・能動的で深い学び」を実現していくアクティブラーニングも導入され、新しい大学入試など子供たちに対するテストや評価の手法も変わっています。古い時代の「学力」のイメージを捨てて、キー・コンピテンシーを意識した教育観へ、教育者や保護者も意識を切替える必要性が問われています。

幼児期の子育ても、キー・コンピテンシーが大切

キー・コンピテンシーを育てていく時期としては、まだ小さな幼児期も大切です。問題解決力や協調性、コミュニケーション力や主体性、自己管理能力、自己肯定感、共感性、道徳心などの基礎が幼児期に育ち、その力が、将来的にキー・コンピテンシーとつながるとされます。幼児期は特に、家庭での思考や好奇心、思いやりの心をはぐくむような言葉かけや体験も有効です。

キー・コンピテンシーをはぐくむ3つの要素

キー・コンピテンシーを育くむ3つの要素
では、キー・コンピテンシーのために、家庭でできることはどのようなことでしょうか。キー・コンピテンシーには次の3つのカテゴリーがあります。それぞれの要素からのアプローチをお伝えします。

  1. 社会・文化的、技術的ツールを相互作用的に活用する能力(個人と社会との相互関係)
  2. 多様な社会グループにおける人間関係の形成能力(自己と他者との相互関係)
  3. 自立的に行動する能力(個人の自律性と主体性)

個人と社会の関係にアプローチする

ここで必要なのは、「社会・文化的、技術的ツールを相互作用的に活用する能力」として、「言語、シンボル、テクスト」「知識」「テクノロジー」を活用する能力があるとされています。将来職場で役割を果たすためなどのコミュニケーション力や、情報の本質を批判的に考え責任をもって活用する力、テクノロジーのイノベーションにつながる力などです。学校での学びと重なることも多いので、さらに考えを深めたり活用したりできるよう、「なぜ」どうする?」という声かけや、関係する体験や遊びをさせるなど学びを広げてあげましょう。

自己と他者との関係にアプローチする

ここで必要なのは、「多様な社会グループにおける人間関係の形成能力」として、「他人と円滑に人間関係を構築する」「協調する」「利害の対立を御し、解決する」こととされます。多様性を認め実現していくことは、グローバル化していく社会では、強く求められています。

関連するのは、共感力や感情のコントロール、グループで同じ目的をもって協力すること、人間社会では避けられない利害の問題などを解決していくことなど。大人にとっても日々直面する問題なので、子供と一緒に対処法や解決法を試したり、共感しあいながら体験を共有しあったりするのもいいでしょう。

個人の自立性と主体性にアプローチする

ここに必要なのは、「自立的に行動する能力」として、「大局的に行動する」「人生設計や個人の計画を作り実行する」「権利、利害、責任、限界、ニーズを表明する」能力があるとされます。ここで言われる自立とは、「孤独のことではなく、むしろ周囲の環境や社会的な動き、自らが果たし果たそうとしている役割を認識すること」とのことです。

人生設計というのも、単純な計画ではなく「人生の意義を見失いがちな変化し続ける環境のなかで、自らの人生に一定のストーリーを作るとともに意味や目的を与える力」。これらのためには、普段から人類の歴史や社会の仕組みが分かるような本や映画などに触れたり、自分も社会の一部であることを知るような対話をしたりするのもおすすめです。

おわりに

OECDは、2018年に2030年を見据えた教育提言「エデュケーション2030」を出しましたが、変化の激しい時代なので、「キー・コンピテンシー」もさらに修正を加えられながら、活用されていきそうです。キー・コンピテンシーにつながる力の学びに共通して必要なのは、深く考えて行動するが必要であること。「深く考える」というと少し重くて難しそうですが、普段の暮らしの中でのちょっとした言葉かけであっても考えるきっかけになります。意識してみましょう。

参考
キー・コンピテンシー ドミニク・S. ライチェン|Amazon
義務教育改革 コンピテンシーと「生きる力」|旺文社教育情報センター
キー・コンピテンシーとPISAリテラシー|恵和学園大学
キー・コンピテンシーを育む幼児教育のあり方|東洋大学
OECDにおける「キー・コンピテンシー」について|文部科学省

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cocoiro編集部

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