「子供がネガティブな考え方ではなく、ポジティブで前向きになってくれたら良いのに」と思っている親は多いでしょう。当記事では、ポジティブな性格を得るために役立つ「ポジティブ心理学」についてご紹介します。
もくじ
子供が明るく元気に?ポジティブ心理学とは
ポジティブ心理学の由来
1998年、アメリカ心理学会の会長だったマーティン・セリグマン博士が会長講演で「ポジティブ心理学」と用いたのが起源だと言われています。概念ができて約20年の歴史の浅い心理学。従来の心理学と異なった特殊な方法論を導入したものではありません。基本的に科学的な方法論で研究を進めます。しかし、従来の心理学と異なるのは、「人々の幸福を増やすために貢献する」という明確な目的を持っていた点でした。
従来の心理学では、「時代や場所に関係なく、人類に共通している普遍的な心理を探究する」という目的を持っていました。また、人々の抱える問題に注目して、それらを調べ、心理的な解決策(治療法)を見つけてきました。
ポジティブ心理学は、従来の心理学の存在を否定するものではありません。従来の心理学のおかげで効果的な治療法が発見されてきました。ただ、普遍的な法則の探究、問題にこだわるあまり、人間の本来持つ素晴らしい側面に注目できなかった反省を生かすため、ポジティブ心理学が生まれてきたのです。
幸せのために必須の5つの柱
ポジティブ心理学では、「幸せ」を1つのものさしで測りません。次にご紹介する5つの柱をベースに構成されています。
ポジティブ感情(Positive Emotion)
人間は豊かに感情表現のできる唯一の動物です。ポジティブな感情は、幸せに直結する最たる例と言っても過言ではないでしょう。ポジティブ心理学では、「ポジティブ感情」の評価尺度として以下の10項目が選ばれています。
- 興味のある
- 興奮した
- 強気な
- 熱狂した
- 誇らしい
- 機敏な
- やる気がわいた
- 決心した
- 注意深い
- 活気のある
なお、「ネガティブ感情」の評価尺度は以下の10項目です。
- 苦悩した
- うろたえた
- 後ろめたい
- おびえた
- 敵意をもった
- いらいらした
- 恥ずかしい
- ぴりぴりした
- 神経質な
- 恐れた
エンゲージメント(Engagement)
エンゲージメントとは、没頭することです。言い換えるなら、フローの状態。つまり、「時間の経過を忘れて何かに没頭している状態」のことを指します。例えば、子供が遊びに夢中になっていて気づけば日が暮れていた、という状態のことです。遊びだけでなく、勉強や仕事に対しても、このフロー状態になれたとき、まさに幸福な状態と言えるでしょう。
人間関係(Relationship)
人間は漢字で「人の間」と書きます。私たちにとって他者との関係は、幸福を語る上で重要なものでしょう。お金や権力をどれだけ持ったとしても、人間関係がうまくいっていない場合、幸せを感じにくいのではないでしょうか。逆に、苦難が目の前に立ちはだかっていたとしても一緒に取り組める仲間がいたり、些細なことでも喜びを分かち合える家族がいたりするだけで、幸せを大いに感じることができるものです。
意味、意義(Meaning)
私たちが何かに取り組むとき、その目的を持っておくべきでしょう。自分の行動の意味や意義を見出した瞬間、人のモチベーションは上がります。例えば、子供が行う勉強の中には、将来何の役に立つか分からない分野もあるでしょう。
しかし、「まずは自分の興味関心や可能性を広げるため、点と点を将来線や面にするために、目の前にある勉強に取り組んでいるんだ」と意味や意義を見出すことができたら、さまざまなことを学ぼうとする姿勢に変わるかもしれません。
ポジティブ心理学では、単に自分のためだけでなく、他者や社会、世界のため、と意味や意義を見出せると、最良の幸せになると言われています。
達成(Achievement)
自分で掲げた目標を達成したときの充実感は、ほかに代え難いものでしょう。自分との約束を守り、目標が達成できれば、自分への信頼、すなわち自信へとつながります。大切なのは、1度目標を達成したら終わりではなく、常に次なる目標に向かって歩み続けることです。
ポジティブ心理学は、これら5つの柱で構成されています。