子供をポジティブな性格に変えるには
本人と周りの変化が鍵になる
子供がネガティブな感情を抱きやすいのであれば、その性格を変えてあげたいと考える親もいるかもしれません。ただ、相手の性格を変えるのは至難の業です。周りから不用意にポジティブな言葉だけを投げかけても人は変わりません。かえって、「そんなポジティブなことばかり言われても、ついていけない」と不信感を抱いてしまうかもしれないのです。
本人の「変わりたい」という意志と、周りの「変えてあげたい」という思いが嚙み合って始めて変わることができるのです。
子供はどういった場面でポジティブな感情を感じるか
子供たちはどういった場面でポジティブな感情を感じているのでしょうか。2010年に公表されたお茶の水女子大学の教育進学研究「中学生の生活満足度に関連するポジティブ・イベント」によれば、中学生がポジティブ感情を抱くのは、学生生活の中で頻度の多い順にすると以下のとおりです。
「友達と面白い話をした」「テレビ番組が面白かった」「友達が親切にしてくれた」「勉強をして今まで知らなかったことに詳しくなった」「学校行事でクラスのみんなと盛り上がれた」「好きなスポーツを楽しんだ」「友達と一緒に遊びに出かけた」
また、出来事のカテゴリー別に見た快楽感情では、「異性」「余暇」「友人」「物質的充足」「趣味」といった順番で、出来事に対して満足度を得ているようです。
頻度の多さと出来事の満足度、双方を見ると、友達と過ごす時間の中で特にポジティブ感情を抱いているようです。
親がどう接するかが重要
2009年6月に行われた国際ポジティブ心理学会第1回世界会議でマーティン・セリグマン博士が発表したところによると、学校の成績やスポーツの戦績などすべての面で、楽観主義の方が良い結果を残せたということが分かっています。もしも親が悲観的な話ばかりしていれば、子供の心や考えも悲観的になってしまいます。子供を思うがあまり、ついネガティブな言葉を子供に投げかけてはいませんか? ネガティブな言葉を受け取った子供は、ネガティブ感情で物事に対して前向きに取り組むことができません。
例えば、子供のテストの点数が悪かったとき、子供は親から何か言われると分かっています。そこで、「こんな点数取るなんてどういうこと? ゲームや友達と遊んでばかりいるからでしょう。こんなことだと将来苦労するから、もっと勉強しなさい!」と言われても、「うるさい、言われなくても分かってるよ!」と反発してしまいます。
楽観的に伝える場合、失敗しても必ず褒めるべき点を見つけて褒めてあげることです。「この問題はしっかり解けたね。難しいのにすごいね! 時間内にしっかり問題を終わらせて、確認の時間も取れているね。次回は、文章読解を重点的におさえられたら、点数が伸びそうだね!」といった具合です。子供も、「確かにこの問題はできるようになった。次は文章読解を勉強してみよう!」とやる気になります。
子供の「できた」「できない」を0か100で評価するのではなく、その中から褒められることを見つけて、褒めてあげることがポジティブな心理を形成するきっかけになります。楽観的に物事を見ているからこそ、苦手なことや難しいことにもチャレンジしていけるのです。もしも親が、「子供にもっと成長してほしい」と願うのであれば、まず親自身がポジティブ心理学を実践してみてはいかがでしょうか。