合格するための勉強時間の増やし方
先に部活に取り組む中学生の生活をご紹介したように、中高生にはやるべきことがたくさんあります。では、そんな忙しい中高生が入試で合格するためにはどのようにして勉強時間を作れば良いのでしょうか。
受験勉強を早期にスタートする
【難関大学受験者(現役)の高校3年間の総学習時間の比較】
現役合格者 | 現役不合格者 | 勉強時間の差 | |
高校1年生 | 773時間 | 662時間 | 111時間 |
高校2年生 | 1,027時間 | 977時間 | 50時間 |
高校3年生 | 2,244時間 | 2,121時間 | 123時間 |
合計 | 4,044時間 | 3,760時間 | 284時間 |
(TOSHIN TIMES on Web バックナンバー2018年5月1日号1面|東進ハイスクールより筆者作成)
東進ハイスクール調べによると、難関大の現役合格者は現役不合格者に比べて、高校1年生のときから多く勉強時間をとっています。受験勉強を有利に進めるためには、受験勉強を早期にスタートさせる必要があることが分かります。
生活リズムをルーティン化する
最新の東大入試・受験対策情報を発信する合格応援サイト「東大塾」に寄せられた東大生のおすすめ勉強方法の1つです。
しっかり休憩を取り、その代わり勉強すると決めた時間は必ず勉強に取り組むようにしました。そして、一日のスケジュールも決め、勉強時間と休憩時間をきちんと管理していました。
(中略)
「どうしても机に向かう気力が起こらない」という日も、もちろんありました。
しかし、そういう日に気分に流されずに、毎日ルーティンを繰り返すように勉強を続けることが、受験勉強を乗り切るために大事なことだと思います。
(引用元:東大生のおすすめ勉強法 時間の使い方 CASE12 受験を乗り切る生活リズムのつくり方 東大塾|河合塾グループ)
このように勉強にメリハリをつける生活のルーティンは「勉強をやるかやらないか」と悩む時間を作らず勉強机に向かうことができるので、勉強時間をしっかりと確保できます。
学習スケジュールを作る
学習塾の湘南ゼミナールでは、学習スケジュールを立ててやるべきことを見える形にするメリットについて次のように説明しています。
今自分は何をやるべきかを自覚することも学習には重要な要素です。メモにして書き出すことで、自分の学力や学習進度がどのくらいなのかを可視化するきっかけとなります。
(引用元:高校受験合格のために必要な勉強時間は?効率よく勉強を続けるポイント|湘南ゼミナール)
学習スケジュールの立て方について、インターネット予備校「スタディサプリ大学受験講座」で紹介されている方法を要約しました。
- 努力すれば達成可能な目的を立てる。例えば、志望校を決める、模試でA判定をとるなど。
- 目的を達成するために短期・中期・長期的な目標(指標)を決める。具体的に「いつまでに」「なにを」やるかを決める。例えば短期的には「今日やるべきこと」でも良い。
- 目標を達成するために、どんな参考書や問題集に取り組むかを決める。
このとき、勉強のスケジュールは「時間」ではなく「内容」で立てることが重要です。時間が漫然と経過しただけで勉強をした気になってしまうことがないように、具体的にやるべきことを終了させたかに重点を置きましょう。
下記「参考」では、学習スケジュールのテンプレートをご紹介しています。1人でスケジュールを立てるのが苦手な方はぜひ使ってみてください。
参考
【東大生作】22の勉強計画テンプレート!成績のあがる学習計画表が作れる!|東大BKK(勉強計画研究)サークル
睡眠時間を削らない
アメリカのNATIONAL SLEEP FOUNDATIONより、健康的な推奨睡眠時間について中高生の13~18歳の結果を抜粋すると次のようになります。
【推奨睡眠時間】
6~13歳 | 9~11時間 |
14~17歳 | 8~10時間 |
18~25歳 | 7~9時間 |
(How Much Sleep Do We Really Need?|NATIONAL SLEEP FOUNDATIONより筆者作成)
睡眠不足によって子供がどのような影響を受けるかについて、厚生労働省が運営する生活習慣病予防のための健康サイト「e-ヘルスネット」では次のように説明しています。
睡眠不足は、成長の遅れや食欲不振・注意や集中力の低下・眠気・易疲労感などをもたらします。子どもの場合、眠気をうまく意識することができずに、イライラ・多動・衝動行為などとしてみられることも少なくありません。また睡眠不足は将来の肥満の危険因子になることも示されています。
(引用元:e-ヘルスネット 睡眠不足や睡眠障害、子どもへの大きな影響|厚生労働省)
受験勉強では体調管理も大切です。勉強時間を増やすために睡眠を削ると記憶力や集中力が低下して効率が落ちるだけでなく、体調をくずせば勉強できなくなり、勉強時間が削られることになります。
睡眠時間を削って勉強することは避け、日ごろから無理のないスケジュールで勉強する習慣をつけるようにしましょう。
学校の授業を大切にする
学校の授業をおろそかにしてはいけない理由について、湘南ゼミナールが説明していることを要約しました。
- 高校受験では中学校の内申書も重要な合否判定の材料となるのですが、学校での生活態度も内申書の評価の対象となる。
- 高校入試は学校の授業の発展でしかない。
学校の授業をおろそかにせず集中して授業を受けることで弱点が減り、結果、学校外の勉強でつまずくことがなくなるため勉強時間を加速度的に増やすことができるのです。
1冊の参考書・問題集を徹底的に繰り返す
参考書や問題集の選び方は次の3点です。
- 参考書・問題集は自分の学力に合ったもの。
- 中学校のレベルに合ったもの。
- 目的に合ったもの。
注意すべきは、参考書や問題集のうち「1冊」を選別することです。中学・学習サイトでは問題集を1冊に絞る理由を次のように説明しています。
問題集は色々なものに手をつけてしまうとどれも中途半端になってしまうので1冊を何回も繰り返して練習したほうがためになります。
(引用文:理科の勉強|中学・学習サイト)
数冊の問題集に取り組んで問題のパターンをたくさん覚えたほうが試験対策になるのではないかと考えるかもしれませんが、1冊の問題集を完璧にするほうがためになるというのは受験合格者に共通する意見として多く見られます。
参考書や問題集を1冊に絞って完璧にこなすことを目標にすると、数回繰り返すうちに問題を解くスピードが格段に上がり正答率も高くなるため、勉強時間の短縮につながります。結果、さまざまな科目に割く時間を作ることにつながるのです。
参考
受験勉強のための参考書・問題集は何冊もいらない|Six Style Learning
参考書や問題集は1冊を繰り返して何度も解くことが大切|大学受験の赤本
まとめ/親は子供のサポートに徹する
受験勉強をして、その結果を一身に受けるのは子供です。そのため、中高生は不確定な将来への不安や焦りを感じてストレスフルな毎日を送っています。
そんなときに親としてできることは干渉することではなく、サポートに徹することです。学習塾の湘南ゼミナールでは親ができる子供のサポートについて具体例を挙げていますので、抜粋してまとめました。
- 毎日3食準備して栄養管理を行う。
- テレビなどの集中を妨げるものを避ける。
- 夫婦喧嘩をしない。
- 小さな子供やペットがいる場合は大きな音を出さないように気をつける。
- 部屋の掃除や整理整頓をする。
子供によってサポートの仕方はさまざまでしょう。我が子の性格に合ったサポートをなさってください。
参考
【受験戦略家コラム】ピリピリする受験生を成功に導くために親がすべき7つのこと|産経新聞
大学受験において、保護者ができることは何か?|四谷学院大学受験予備校
自ら机に向かう子の親が欠かさない習慣|PRESIDENT Online
中高生が思い描く将来についての意識調査2017|ソニー生命保険
高校受験合格のために必要な勉強時間は?効率よく勉強を続けるポイント|湘南ゼミナール
中学生の勉強時間ってどのくらい?~高校受験に必要な勉強時間を考えよう~|栄光ゼミナール
【受験生の勉強時間】1日何時間 受験勉強すれば良いのか|Studyplus
TOSHIN TIMES on Web バックナンバー2018年5月1日号1面|東進ハイスクール
東大生のおすすめ勉強法 時間の使い方 CASE12 受験を乗り切る生活リズムのつくり方 東大塾|河合塾グループ
計画的に勉強するコツ&スケジュールの立て方を教えて!|スタディサプリ大学受験講座
最速で目標達成する人が使う「KPI以外」のワザ Google、Facebook、メルカリが導入|東洋経済ONLINE
How Much Sleep Do We Really Need?|NATIONAL SLEEP FOUNDATION
e-ヘルスネット 睡眠不足や睡眠障害、子どもへの大きな影響|厚生労働省