心理カウンセラーになるには?取得すると良い資格
現時点では心理カウンセラーは、医師や看護師、介護福祉士などのような国家資格が認められていないため、極端な言い方をすれば肩書きを名乗るだけであれば誰でもできます。しかし、実際には人の心のケアの専門家として高度なスキルや人間対応能力を有し、諸検査や療法を駆使して心のケアに当たることができなければ心理カウンセラーとは言えないでしょう。
現在、協会や学会、民間などが試験を実施して認定する制度を設けている心理カウンセラーもありますが、心理カウンセラーになるだけなら簡単なことでも、心理カウンセラーとして仕事に就くことには難しさがあります。今後は、国家資格としての心理職も誕生する予定で真の心理カウンセラーになろうとする人が増加することも考えられます。
公認心理師
平成30年9月に第1回目の試験が実施される公認心理師は、日本初となる国家資格を有する心理カウンセラーです。これまで、協会や学会、民間が認定する心理士の資格はありましたが、国家が認定する心理職は存在しませんでした。心のケアが国民の健康に大きく影響する時代となっていることから、多くの国民が安心して心理的な支援を受けられるようにすることを目的として誕生した新しい制度、資格です。
試験に合格して公認心理師登録簿に登録された者は公認心理師として保健医療や福祉、教育その他の分野において、心理に関する支援を行うことができます。公認心理師施行規則において細かな受験資格が定められており、現時点で臨床心理士などの資格を持っていても受験資格の要件を満たし、受験しないと公認心理師とは認められません。今後、心理職の就職には必須条件となることも考えられるでしょう。
臨床心理士
臨床心理士は、国家資格ではないものの公益財団本陣日本心理士資格認定協会が試験によって認定する資格です。受験するには協会が指定した大学院や専門職大学院を修了することなどの厳しい要件があり、養成講座や通信教育などで資格取得が可能な他の心理資格とは別格です。
臨床心理士の資格は信頼度や知名度が高く、病院や福祉施設、学校などさまざまな職場での評価も高いため、就職するのには比較的有利であると言えるでしょう。また、職場も福祉系や教育系ばかりでなく、司法系や労働・産業系など多岐にわたっており、活躍の機会も少なくありません。臨床心理士の資格は生涯資格ではなく5年に1度更新認定が行われるため、資質向上を図るための調査研究なども継続しなければなりません。
産業カウンセラー
産業カウンセラーは、産業医とともに職場で働く人々のメンタルヘルスの充実やサポートに従事する心の専門家と言われています。少し前までは公的資格として認められていましたが、現在では一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する民間資格となっています。心理学を専攻する大学で所定の単位を修得するか産業カウンセラー養成講座を修了するかのいずれかで受験資格を得ることができます。
協会が実施する試験に合格すれば資格を取得することができますが、産業カウンセラーという職業があるわけではないので、必ず就職できるというわけではありません。養成講座を受講すれば試験をうけて資格登録することが可能であるため、企業の人事担当者などが資格を取得することも少なくありません。認定心理士や臨床心理士に比べると資格取得のハードルは高くないと言えるでしょう。
認定心理士
認定心理士とは、カウンセリングなどの技術や知識を身に付けた者に対して日本心理学会が与える資格です。大学や大学院で心理学を専攻し修了することで申請資格を得ることができます。取得条件や書類提出に不備がなければ認定審査のみで認められる資格なので難易度が高いものではありません。しかし、心理士という肩書きをもってクライアントに対してカウンセリングを行うことができるメリットは大きいでしょう。
心理カウンセラーのなかでも信頼度が高い臨床心理士とは違い、資格を取得しているからといって就職が有利になるというものではありません。福祉施設や医療機関などが就職先として考えられますが、心理士としては初期的な資格の1つであると言え、さらにステップアップしていくことが必要となります。