教育学部を詳しく解説!教員になりたい人も就職するつもりの人も必見 - cocoiro career (ココイロ・キャリア) - Page 3

教育学部卒業後の進路

教員になる

文部科学省の資料「国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)の平成29年3月卒業者の就職状況」によると、国立の教員養成大学の教育学部生の進路としては、やはり学校教員になる人が多いようです。平成29年3月卒業者の教員就職率(卒業者数から大学院等への進学者と保育士への就職者を除いた数を母数とした場合)は67.5%となっています。

公立学校の教員になるためには、各都道府県や指定都市の教育委員会が実施する教員採用選考試験に合格することが必要になります。合格すれば採用名簿に登録され、ほとんどの場合、その地域の学校に配属されます。

採用試験はエリア毎にほぼ同じ日程で実施されるため、併願はしにくいです。また、大学4年生の受験生よりも、既卒で複数回受験している人の方が多いです。これらの事情から、教員採用試験は今なお「難関」と言えるでしょう。

私立学校の教員の採用試験は、各学校ごとに行われています。私立中学・高校の採用人数は各教科で数人程度であり、こちらも採用倍率は高くなっています。

教員採用試験の倍率は低下傾向

近年、教員採用試験の倍率は低下傾向にあります。教育新聞が全国69県市を対象に行った平成30年度実施の公立学校教員採用選考の平均倍率は、前年度の4.6倍を下回る4.0倍となりました。

この低下傾向の原因としては、団塊世代の教員が一斉に定年退職したことによる、採用枠の増加が挙げられます。さらに、教員の過重労働など教育現場でのさまざまな問題が報道されたこともあり、教員は「ブラック」だとして受験人数が減少したことも一因でしょう。
また、リーマンショックから景気回復し、一般企業への就職が増加しました。とりわけ、人文系や社会科学系や理工系などの一般学部から受験する学生が減少していると見られています。

公務員になる人や民間企業に就職する人も

教育学部生の進路において、学校の教員以外の進路を選ぶ人も少なくありません。公務員になる人もいれば、民間企業に就職する人もいます。理由としては、先述のとおり、2008年秋のリーマンショック以降の不景気から回復したことで大学生の就職難が解消されたことで、2019年現在に到るまで「売り手市場」が続いていることが挙げられます。

平成30年春に大学等卒業予定者の就職内定率は9割を超えており、大学によっては教育学部生が教員よりも一般企業へ就職する割合の多いところもあります。例えば、早稲田大学の教育学部では、大多数が一般企業への就職を選択します。大学によっても異なりますが、金融機関や出版業界、不動産やメーカーなど、さまざまな業種の企業への就職実績が見られます。

また、公務員になったり一般企業へ就職しても、教育分野に携わることは可能です。公務員では、文部科学省に入省したり、そのほかの行政機関や自治体における教育関係の仕事に従事するなどの例が考えられます。

一般企業では、塾や予備校や外国語スクールなどの講師になったり、教材出版や企業向け研修、そのほか教育関連のビジネスを展開する企業に入社することなどが考えられます。大学院に進学して教育についての研究を深める人や、教育関連のNPO・NGOを選ぶ人もいるでしょう。

なお、教員採用試験は例年7月から9月ごろに行われますので、就職活動とスケジュール的に並立することも不可能ではありません。

参考
卒業後の進路|早稲田大学

教育学部の就職事情を紹介!就職に有利な資格や経験とは?

また、大学を選ぶ際には「マイナビ進学」を使って探してみるのがおすすめです。こちらのサイトでは教育学部のある大学一覧を見られるので、大学探しに非常に重宝します。そのまま大学の資料請求をすることもできます。

まとめ

教育学部について紹介しました。当記事のまとめは以下のとおりです。

  • 教育学部には教員養成系と教育学系がある
  • 各種の教員免状などを取得できる
  • 教育学部のある大学は国立大学が多い
  • 教員になる進路を選ぶ人が最も多い
  • 教員採用試験の倍率は低下傾向
  • 公務員や一般企業に就職する人もいる

グローバル化やAI(人工知能)の発展などが進む現代は、小中高大などの学校でだけでなく、誰もが生涯にわたって学習していく時代になりつつあります。教育学部には、そんな新しい時代を担う人材を輩出するという、重要な役割があると言えるでしょう。

参考
教育学部|Wikipedia
教育学部って、何を学ぶの?|進路のミカタ
教育学|Benesseマナビジョン
学制100年史|文部科学省
教員免許状に関するQ&A|文部科学省
文部科学省 教員免許状を取得可能な大学等
平成30年度公立学校教員採用選考試験の実施状況について|文部科学省
教員就職者が多い大学トップ200ランキング|東洋経済オンライン 
教育新聞 今夏教採の最終合格平均倍率4.0倍 6年連続で低下
教員試験最新倍率|NSK教採ネット 
教育学部・教員養成学部|大学・専門学校学費ランキング 
2019年度入試難易予想ランキング【教育(教員養成課程)】|河合塾
2019年度入試難易予想ランキング【教育(総合科学課程)】|河合塾
国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)の平成29年3月卒業者の就職状況等について|文部科学省
卒業後の進路|早稲田大学 教育学部
【教育学部の主な就職先とは】|就活の未来
『教育学部 中高生のための学部選びガイド (なるにはBOOKS 大学学部調べ) 』(ぺりかん社)|Amazon

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