学校外活動費の違い
高校の間にかかる学習費は、学校へ支払う学校教育費だけでなく、塾代や習い事など学校以外の場所でかかる学校外活動費もあります。学校外活動費は、補助学習費とその他の学校外活動費に分かれます。
- 補助学習費:塾、家庭教師、家庭内学習費など
- その他の学校外活動費:体験活動・地域活動、芸術文化活動、スポーツ・レクリエーション活動、教養など
(結果の概要-平成28年度子供の学習費調査 2.調査結果の概要|文部科学省、表5より筆者作成)
学校外活動費の合計年額平均は、公立で約17万円、私立で約29万円です。塾などの補助学習費も、私立高校に通う生徒の方が公立高校の生徒より約9万円多くかかっています。私立高校の中にはていねいな受験指導をアピールしている学校も多いですが、だからといって私立高校に通えば塾に通わないで済むと考えるのは早計です。
上記の年額平均は、3年間平均してかかるわけではありません。大学受験を控えた高校3年生に向けて、習い事にかかる費用は年々少なくなるのに対し、塾などの補助学習費は年々増加します。
(結果の概要-平成28年度子供の学習費調査 2.調査結果の概要|文部科学省、表5より筆者作成)
公的機関による学費減免制度
公立高校に比べるとかなり費用負担の大きい私立高校ですが、2020年4月からその負担が軽減されます。現行の就学支援金制度が拡充され、「私立高校の実質無償化」が始まるからです。また、就学支援金制度ではカバーしきれない費用に関しても、その他の高校学費支援が充実しています。制度を具体的に見ていきましょう。
高等学校等就学支援金制度
制度設立の背景
高等学校等就学支援金とは、高等学校等就学支援金の支給に関する法律(通称:高校無償化法)に基づいて、2010年に開始された制度です。教育に関わる経済的負担を軽減することで、学ぶ意欲のある子供がすべて納得のいく教育を受けられるよう保証することを目的としています。この制度により、国から授業料の補助金が学校に直接支払われ、都道府県立・市町村立の高校に通う生徒は授業料負担がゼロとなったため、「公立高校無償化制度」と呼ばれました。
現行制度の概要
高等学校等就学支援金の対象者は、国公私立の高等学校(全日制・定時制・通信制)、高等専門学校、特別支援学校高等部、専修学校などに通う、世帯年収が910万円未満の生徒です。
支給限度額は、下記のとおりです。高校の授業料が支給限度額を下回る場合は、高校の授業料の金額が支給されます。
(参照元:高等学校等就学支援金制度|文部科学省)
私立高校の場合、年間の支給額は月額9900円×12ヶ月=約12万円で、私立高校の平均授業料40万円全額はカバーされません。ただし、保護者の所得水準によっては、月額9900円の補助金を1.5~2.5倍した額が支給されます。
支給限度額 | 加算倍率 | |
年収270万円未満 | 29万7,000円 | 2.5倍 |
年収270万~350万円程度 | 23万7,600円 | 2.0倍 |
年収350万~590万円程度 | 17万8,200円 | 1.5倍 |
(高等学校等就学支援金制度|文部科学省より筆者作成)
2020年4月改定
高等学校等就学支援金の制度は2020年4月より改定されます。改定のポイントは2点です。
- 年収590万円未満の世帯の支給限度額を、私立高校の平均授業料を勘案した水準に引き上げます。
- 所得制限の判定基準が、地方税の所得割額から課税所得に変更されます。
「私立高校の平均授業料を勘案した水準」と分かりにくい表現になっていますが、私立高校の平均授業料約40万円に近い額までが補助される模様です。申し込みは学校を通じて行い、補助金は国から学校へ直接支払われます。授業料が支給限度額範囲内であれば、保護者からの授業料徴収額はゼロとなるため、「私立高校の無償化制度」と呼ばれています。なお、年収590万円以上の世帯への補助額は11万8,800円ですので、それを超える分は保護者から徴収されます。さらに、年収910万円以上の世帯に対する補助はないので、全額保護者負担となります。