収入状況
教育ローンは返済期間の長い大きなローンですから、安定した仕事と安定した収入が求められます。雇用されて働く人であれば勤続年数が長く一定以上の年収があること、自営業者の場合は開業からの実績や経営に関する成績が問われます。
多くの教育ローンでは、年収や勤続年数の要件がありますから、確認しておきましょう。日本政策金融公庫が扱う国の教育ローンは、低年収世帯や経済的な負担の大きい家庭に対する優遇措置を備えていますから、収入状況に不安のある人はそちらをまず検討しましょう。
返済の負担や他社借り入れ
教育ローンの融資を行ったとして、毎月の返済が大きな負担になるかも審査されます。この時にチェックされるのが、返済負担率と呼ばれる数値。1年間の収入に対して返済に充てる金額の割合がどのくらいになるかを見るものです。割合が高ければ高いほど、返済の負担が高いと考えます。返済負担率が年収に対して大きく、問題があると判断された場合は、教育ローンの審査に通過するのが難しくなります。
返済負担率は、申し込み中の教育ローンだけでなく、そのときに抱えているローンなどの債務を全部足し合わせて計算します。消費者金融や銀行系カードローンの借入、クレジットカードのキャッシングなども含めます。普段からキャッシングを多用している家庭は、注意が必要です。
教育ローンを申し込む際には、借入希望金額や返済期間、返済条件などから毎月の返済額をシミュレーションできますから、返済負担率も計算してみましょう。各金融機関では返済負担率の明確な基準を示していませんが、望ましいのは25%前後という目安を示すファイナンシャルプランナーもいます。
<返済負担率の計算方法>
返済負担率 = 1年間の返済金額(債務すべての返済総額) ÷ 年収 × 100(%) |
参考
教育ローンの疑問をまとめて解決!審査・金利・おすすめなど、教育ローンで押さえておきたいポイントまとめ|マネタス
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審査の傾向を金融機関別に把握
一般的に審査が甘いと金利は上がる
一般論として、ローンにおいては審査が甘いと金利は上がる傾向があります。カードローンは手軽に利用しやすいローンですが、会社や借入額、返済能力などによって幅はあれど、同様の傾向を示します。カードローンの上限金利は年十数%、高いところでは20%近くに達します。教育ローンの審査に落ちてカードローンの利用などを考えるのであれば、審査の通りやすさ以上に、金利の高さと返済プランを慎重に検討すべきでしょう。
国や労働金庫など公共性の高いローンは借りやすい
年収の低い世帯や重い経済負担を抱える家庭にとって利用しやすいのが、国や労働金庫(ろうきん)など、公共性の高い金融機関が扱う教育ローンです。金利は1.71%~3.9%と低めに設定され、申し込みにおける年収や勤続年数の要件も厳しくありません。国の教育ローンは年収の上限が設定されているほか、低年収世帯やシングル親世帯、子供の多い世帯などが利用しやすい仕組みを備えています。
銀行のローンは審査が厳しめ
銀行の教育ローンは、国の教育ローンやろうきんのローンに比べ金利が高く、年収や勤続年数、収入の安定性などの条件も厳しい傾向があります。カードローンを見ても、消費者金融系や信販系に比べ、銀行のカードローンは審査が厳しめです。銀行のローンは保証会社が保証を担いますが、利用者が返済不能となった時、保証会社は少ない利益と大きなリスクを引き受けることになります。ですから、リスク要因に厳しいのです。
参考
審査の甘いカードローンはある?比較的審査の緩い会社を検証|マネタス
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シチュエーション別おすすめ教育ローン
①収入状況が厳しい
収入状況が厳しい家庭であれば、第一の選択肢として国の教育ローンを検討しましょう。申し込みできる年収に上限があり、最も厳しい基準だと790万円以上の年収のある人は利用することができないローンです。また、世帯年収が200万円以内(子供が3人で世帯年収が500万円以内)の家庭、シングル親家庭、交通遺児家庭などに対しては、金利や返済期間の優遇措置があります。金利は固定金利で年1.71%、返済期間は最長15年で子供の在学中は元金を据え置くこともできるなど、返済も余裕を持ってできます。
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②返しやすさを優先する
国のローンの限度額350万円では資金が足りないからと、民間のローンを検討するのであれば、返済しやすいろうきんの教育ローンを検討してみましょう。変動金利か固定金利を選ぶことができる上に、変動金利で年2.2~2.4%、固定金利でも借り換えでない場合、年2.4~3.9%と比較的低金利です。返済期間も最長15年と長めに設定され、国の教育ローンと同様、一定の期間元金を据え置いて利息のみ返済できるプランもあります。
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③合格した大学に提携ローンがある
受験する学校が決まったら、志望校に提携ローンがないかどうか、調べてみましょう。例えば楽天銀行は、早稲田大学など70校近い大学と提携しており、学校ごとに優遇金利を設定しています。返済プランも、在学中の元金据え置きや卒業後に子供に返済にかかるお金を引き継ぐプランなど、各種用意されています。合格し入学することが決まったら、申し込むかどうかを決めて手続きに進みましょう。
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④一時的な少額の費用を借りたい
教育費にカードローンを利用するなら、受験時の交通費や教材費、入学後に住むアパートの入居費用など、一時的で少額の支出にとどめておきましょう。銀行が取り扱う教育ローンには、カードローン型のものがあります。借入と返済のタイミング、用途などの自由度も比較的高いですから、そちらも検討してみましょう。
参考
まとめ
教育ローンを取り扱うそれぞれの金融機関は、審査の基準や結果を出した根拠について、情報開示はしていません。しかし、審査の際には何が問われるのか、どういったポイントをチェックするのか、自分のニーズと条件にそぐう金融機関とローンはどれなのかを押さえていけば、審査攻略の道筋は見えてくるのではないでしょうか。無理のない借り入れと返済で、教育ローンを選んでいきましょう。