第11条 幼児期の教育
幼児期の教育を担う学校としては幼稚園がありますが、この条文では学校教育だけに限定をしていません。さまざまな方法により幼児教育に取り組んでいくことが求められています。
幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならない。
(引用元:教育基本法|電子政府の総合窓口e-Gov)
第12条 社会教育
現代では生涯学習の同義語として使われることも少なくない社会教育ですが、教育基本法ではそれぞれ別に規定されています。社会教育については図書館・博物館・公民館などの施設の設置・利活用について規定されているところが特徴です。
個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。
2 国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その他の適当な方法によって社会教育の振興に努めなければならない。
(引用元:教育基本法|電子政府の総合窓口e-Gov)
第13条 学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力
教育の主体が学校や家庭だけでなく、地域にもあることが明記されています。
学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。
(引用元:教育基本法|電子政府の総合窓口e-Gov)
第14条 政治教育
政治に関する知識は、民主主義国家の主権者としてはなくてはならないものです。一方、特定の政治志向に偏った教育はしてはならないことになっています。
良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。
2 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。
(引用元:教育基本法|電子政府の総合窓口e-Gov)
第15条 宗教教育
「日本では政治と宗教の話はタブー」などといわれることもありますが、政治と同様宗教に関する知識を身につけることも必要とされています。これは、社会の多様性を担保するためにもある程度必要なことです。
特定の政治志向に基づく政治教育はしてはならないことになっている一方、国公立以外の学校では特定の宗教に基づく教育を行っても良いことになっています。
宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならない。
2 国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。
(引用元:教育基本法|電子政府の総合窓口e-Gov)
第3章 教育行政
第16条 教育行政
教育行政の公正さと責務について規定しています。教育を継続的に実施するのが行政の義務であることを明記しています。
教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
2 国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。
3 地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。
4 国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。
(引用元:教育基本法|電子政府の総合窓口e-Gov)
第17条 教育振興基本計画
場当たり的でなく、中長期の目標を持った計画を作って遂行することが教育行政に求められています。この条文が追加されたことにより、教育に対する行政の責務がより明確となりました。
政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。
2 地方公共団体は、前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならない。
(引用元:教育基本法|電子政府の総合窓口e-Gov)
第4章 法令の制定
第18条
教育基本法は教育に対する全体的な筋道を示したものです。個別の施策については、実施するためにそれぞれ法律を制定することが定められています。
この法律に規定する諸条項を実施するため、必要な法令が制定されなければならない。
(引用元:教育基本法 | 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ)
まとめ
「なぜ自治体は学校を作るの?」「なぜ公立じゃないのに私立学校に補助金が出るの?」「義務教育が無償ってどういうこと?」など、一度は疑問に思ったことがあるものの法的根拠をよく知らないということはしばしばあります。教育基本法を読んでみると、その中のいくつかに答えが出てきます。教育についてよく知るための方法の1つとして、どのような法律があるのかを知るということがあります。教育について興味のある人は、ぜひ関連する法律なども読んでみてください。
参考