日本の英語教育の現状と今後の動向を解説!指摘されている問題点は? - cocoiro(ココイロ) - Page 3

保護者として心がけたいこと

英語学習は、学校だけで完結するものではありません。ここからは、子供の英語学習に保護者がどう向き合うべきかについて考えていきます。

早期の英語教育で高すぎる目標設定は禁物

小学校での英語教育が本格化するのに合わせて、就学前から子供に英語を習わせようと考えている保護者の方もいらっしゃることでしょう。

早期の英語教育で心がけたいのは、目標を適切な範囲に見定めることです。例えば、子供をバイリンガルにしたいと思ったとして、それが実現可能かどうかは慎重に考えた方が良いでしょう。

子供が2ヶ国語を母国語レベルで話せるようになるためには、双方の言語を日常的に使う環境を用意してあげなければなりません。英語のみで生活する幼稚園などの教育施設はありますが、費用も相応にかかります。そのような教育施設に子供を通わせられないのであれば、自宅で英語を日常的に使う必要が出てきますが、親がネイティブレベルでなければそれもなかなか難しいでしょう。

早期の英語教育の場合は、英語の音やリズムに親しみ、身のまわりの物を英語で言えるようになる程度の目標設定で良いかもしれません。

この時期に重要なのは、勉強としてでなく、遊びの延長として英語の世界に触れさせてあげることです。あまりに高い目標を掲げ、子供に無理強いしてしまった結果、英語嫌いにさせてしまうことだけは避けなければなりません。保護者としては、教えるというスタンスではなく、親子で一緒に楽しむという気持ちを持つことをおすすめします。

英語教育は異文化理解にもつながる

英語教育は、異文化理解や世界の多様性を学ぶことにもつながります。国際語である英語を学ぶことは、1国にとどまらない多様な文化や考え方に触れる契機となるのです。

子供が英語を学ぶ目的を、高校入試や大学入試を勝ち抜くためなどと限定してしまっては、英語教育が本来持っている価値を失いかねません。テストの点数のためだけでなく、お子さんが英語を通して世界の広がりを感じられるようサポートしてあげられれば、英語学習をより意義深いものにすることができるでしょう。

おわりに

日本の英語教育の現状と課題、今後の動向などについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか。小学校での英語の教科化や、中学・高校における英語の授業のオールイングリッシュ化など、子供たちが受ける英語教育は保護者世代のものとは大きく変わってきています。それらを把握しておくことは、お子さんの英語学習をサポートする際にも役立つはずです。

大学入学共通テストの内容や採点方法など、一連の英語教育改革には不透明な部分が多く残されています。英語教育が大きく変わる過渡期だからこそ、今後の成り行きもしっかりと注視しておく必要があるでしょう。

参考
平成29年度英語教育改善のための英語力調査 事業報告|文部科学省
平成30年度「英語教育実施状況調査」の結果について|文部科学省
日本の英語教育の根本的な誤りは、「使うことを想定していない」ことにある|朝日新聞GLOBE+
英語の早期教育はすべきなのか?|朝日新聞GLOBE+
英語教育に対する保護者の思い|ベネッセ教育総合研究所
文法訳読は本当に「使えない」のか? 杉山幸子|日本英語英文学会
中学校英語教育の現状と課題|学校向けオンライン英会話 weblio英会話
戦後最大の教育改革で、日本の「英語教育」はどう変わる?|ベネッセ教育情報サイト
英語教育が変わります!親世代と違う、中学英語の4つの変化とは|ベネッセ教育情報サイト
【英語4技能】2020年教育改革で「英語」はこう変わる!現在の小・中学生が知っておきたいポイントを整理|SAPIX
2020年度より小5・6の「英語」が正式教科に。これからの小学生に必要な英語学習とは?|SAPIX
CEFRで見る英語・外国語検定試験|旺文社 英語の友
小学校英語教育「時間の確保」課題、教員6割が英語力自信なし|リセマム
中学生の英語力、目標の「英検3級以上」は40%|日本経済新聞
日本人と英語(1):慢性的英語教育改革が招いた危機|nippon.com

この記事をかいた人

藤井ケンジ

ライター・翻訳者・ブロガー。国際基督教大学卒業後、教育系出版社にて自社サイトのデザインからコーディング、SEO施策にまで携わる。7年の企業勤務を経たのち、妻の出産を機にフリーランスに。翻訳(英語→日本語)の仕事のかたわら育児、家事情報をメインとしたブログを運営。ライターとしては育児、教育関連の記事を執筆。目下の関心はジェンダーと性差別。趣味は読書、映画、海外ドラマ、NBA(バスケットボール)。1児の父。