みんな子育てでイライラしてた!イライラする理由と対処法について - cocoiro(ココイロ) - Page 2

実際にみんなイライラしているの?その特徴は?

「こんなことでイライラするのは自分だけなのでは」という不安を抱える親は少なくないのではないでしょうか。子育て中の親に対して行われた各種調査を見てみると、イライラしてしまうというのは特別に珍しいことではないことが分かってきます。

子供と過ごす時間が長い母親がイライラしている

横浜市青葉区の保育所・幼稚園を利用する母親を対象に行われたアンケート調査では、以下のような結果が見られたそうです。

  • 育児でイライラすることが多い割合は、就労をしていないグループに高い。
  • 育児でイライラすることが多い割合は、育児を手伝ってくれる支援者がいるグループでは支援者がいないグループに比べて少なくなる。
  • 育児を楽しいと感じる割合は、育児を手伝ってくれる支援者がいるグループではいないグループに比べて、とても高い。

(引用元:育児のイライラ感と就労、近親の支援者の関連 : 横浜市青葉区のアンケート調査結果より | 東洋英和女学院大学学術リポジトリ 35ページ)

子供に向き合う時間がより長い、就労していない母親で、かつ育児を手伝ってくれる人が周りにいないという層の「イライラ」が強かったそうです。これは、単純に子供といる時間が長すぎるという要因以外に、子供に手がかかって家事などほかにやりたいことができず、日常生活にストレスが増えるという要因も考えられるとのことです。

ワーキングマザーのほうが体調が悪い

一方、子供と過ごす時間が比較的短いワーキングマザーは、より体調の悪さが目立つという調査結果もあります。この調査は、ある県の2市町にある保育所・幼稚園の保護者を対象に行ったものです。

幼稚園児の母親に比べて保育所児の母親は,精神的健康度が低く不定愁訴を強く感じていた.育児に加え仕事に従事することで感じる精神的,身体的ストレスが強く影響していると考えられる.

(引用元:幼児の子育てをする母親の不定愁訴と育児感情の特徴 | 女性心身医学 322ページ)

ここでいう「不定愁訴(しゅうそ)」は、「疲労感」「イライラ」「肩こり」「体のだるさ」の順に頻度が高かったそうです。就労していれば子育てのイライラから遠ざかるわけではなく、逆により疲れがたまってイライラするという可能性が示唆されています。

ネガティブ感情が強い親はイライラしやすい

ある市の1歳6ヶ月児検診に来ていた母親から行った調査では、ネガティブ感情を上手にコントロールできない傾向のある母親がイライラしやすい可能性があると示唆しています。この調査では、まずネガティブ感情を母親がコントロールできているかどうか質問しました。

ネガティブコントロールに対する質問 はい いいえ
腹をたてているときに、「あ、自分は怒っているな」とすぐ気づく。 1 0
誰かにやつあたりして、後悔することがよくある。 0 1
心配なことや気がかりなことがあると、ほかのことが手につかなくなる。 0 1
いつも何かに追い立てられているような気がする。 0 1

母親自身の感情コントロールと乳幼児へのかかわり方の関係 | 神戸海星女子学院大学リポジトリ より作成)

この質問に対する答えが3点以上になった母親をネガティブ感情のコントロールが高い群、2点以下をコントロールが低い群に分けてみると、コントロールが低い群の母親のほうがよりイライラしやすいという結果が得られたそうです。特に、子供がなぜ泣いているのか分からないためイライラし、子供の気持ちに寄り添うよりも自分の感情を優先させてしまう傾向が見られたそうです。

ちゃんとしなきゃと思う人ほど辛くなりやすい

また別の市で行われた調査では、子育てをきちんとしなければならないと考えている人ほど、ストレスを抱え込みやすいという結果が見られたそうです。

母親は,自分の子育てに自信がもてない人が多かった.子どもが人並みのことができないと,そんな子を育てた自分がダメな親であるといわれているかのように感じていた.このように,子育てによって自分が評価されているように感じることが,イライラの一因ではないかと思われた.

(引用元:乳幼児をもつ母親の育児困難の状況 母親および子育て支援に関わるエキスパートへのフォーカス・グループ・インタビューから | 石川県立看護大学学術リポジトリ 7ページ)

これは母親本人が真面目であるだけでなく、子育ての結果が親としての自分の評価につながるという価値観も大きく作用しているようです。このような考え方をする人は、うまくいかないことがあるときに「もう少しハードルを下げてみよう」とは考えず、「もっと頑張らなくてはいけない」と考える傾向が強いようです。そのためさらに自分を追い詰めてしまうという悪循環があると考えられます。