教育長に求められる義務
教育長および教育委員は、地方自治法・地方教育行政法において、いくつかの義務が規定されています。もし以下の義務を果たせない場合などは、職を辞する可能性もあります。
守秘義務
教育長および教育委員は、在職中だけでなく退職後も、職務上知ることが可能だった秘密を漏らすことが禁止されています。もし法令などによって証人や鑑定人などになる場合は、教育委員会の許可を受ける必要があります。
政治的行為の制限
教育委員会は、教育行政の政治的中立性を確保することが義務付けられています。そのため、政党や政治団体の役員になったり、積極的に政治活動を行うことは禁止されています。もし教育委員会の定数の過半数が、同じ政党に属することになった場合や、政党に新たに所属することになった場合は、首長から罷免されることになります。
参考
地方教育行政の組織及び運営に関する法律等の施行について|文部科学省
兼職の禁止
教育行政の安定と自主性の保持の理由から、教育長および教育委員の職務を果たす妨げとならないよう、地方公共団体の議会の議員や長、地方公共団体の常勤の職員などとの兼職が禁止されています。また、請負関係の業務者となることも禁止されており、例えば教育委員会の職務に関して請負をする担当者や支配人、取締役などになることはできません。
ほかにも、職務専念業務や営利企業の従事制限にも義務が定められており、配偶者や三等親等以内の親族に関しても、従事する業務に直接利害関係のある題材を議事とすることができません。
教育委員会の運営上の義務
教育長は、教育委員会の代表として、住民への説明責任を果たすのはもちろん、理解と協力のもとで教育行政に取り組むため、議事録の作成と公開の努力義務があります。毎年教育委員会の活動状況や評価を行い、報告書を作成して議会に提出することも、教育長の義務の一つで、住民からの意見や要望に的確に対応するために、教育行政相談の職員の指定も行います。
教育長は教育委員会の代表!
教育委員会の代表である教育長は、住民の声を反映させた教育行政の確立が求められています。兼職は禁止されていますが、今回紹介したように、教育長の業務は多岐にわたるため、忙しい日々を送る方も多いかもしれません。教育長や教育委員の活動について知り、地域の社会教育や教育についてもう一度考えてみましょう。
参考
教育委員会の在り方 3 教育長,教育委員会事務局の在り方の見直し|文部科学省
新たに教育長・教育委員になられた皆様へ|文部科学省
地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律(概要)|文部科学省