学歴主義による受験戦争
多少は良くなったものの、いまでも学歴主義が色濃く残っていると言えるでしょう。その証拠に、主に大学受験を指して「受験戦争」という言葉もあるほどです。
教育哲学者の苫野一徳さんとオランダの教育に詳しいリヒテルズ直子さんの共著『公教育をイチから考えよう』で、リヒテルズ直子さんは、日本の公教育の問題を下記のように述べています。
日本の公教育の問題の大もとは、直接的には学歴社会と受験競争にあるといえるでしょう。そして、この競争的な学歴社会を生んだのは、学校教育を「優れた人材の選抜システム」とみなす考え方にあることも明らかです。
(引用元:公教育をイチから考えよう|日本評論社)
受験戦争で子供たちは疲弊し、劣等感を感じ、それがその後の人生に大きな影響を及ぼしてしまうのです。
子供の貧困
子供の貧困は、高校に進学できない、習い事や塾に行くことができないなどの教育格差を生み出し、学習意欲を失ったり、親が長時間労働で親と接する時間が短いことが多いため、基本的な生活習慣や対人関係に影響を及ぼす可能性なども指摘されています。
日本の子供の7人に1人が貧困だと言われますが、子供の貧困とは何を指しているのでしょうか?貧困には、絶対的貧困と相対的貧困の2種類があります。
- 絶対的貧困→衣食住など、生きるために最低限必要なものが満たされていない状況です。
- 相対的貧困→居住している国の全世帯所得の中央値の半分に満たない状態です。これは、その国の文化水準や生活水準を満たすには十分ではないことを意味しています。
日本で一般的に言われるのは、相対的貧困率のことです。内閣府によると子供の貧困率の推移は下記の通りです。
年 | 1985 | 1988 | 1991 | 1994 | 1997 | 2000 | 2003 | 2006 | 2009 | 2012 | 2015 |
子供の貧困率 | 10.9
% |
12.9
% |
12.8
% |
12.2
% |
13.4
% |
14.4
% |
13.7
% |
14.2
% |
15.7
% |
16.3
% |
13.9
% |
(各種世帯の所得等の状況|内閣府,P15 より筆者作成)
表を見ても分かる通り、子供の貧困率は上昇傾向にあります。さらに、内閣府が発表している内容によると、子供がいる現役世帯のうち、大人が1人の世帯の貧困率は54.6%で、大人が2人いる世帯の約3.5倍以上の高い水準になっているとのことです。
参考