世界の性教育
日本でも、性教育をどのように行っていくかが議論の舞台に上がるようになってきました。少し視野を広げて世界の性教育をご紹介します。性教育は小学生には早すぎるという論調がある日本とは異なり、ユネスコのガイダンスでは性教育は5歳からとされていますし、ヨーロッパ諸国ではもっと早い段階から性教育に取り組んでいるようです。フランス、オランダ、フィンランドの例を参考に、日本との違いや取り入れられるヒントを得ていきましょう。
フランス
フランスの高校では、家族計画センターから派遣された性教育を行う専門家が授業を行います。15~16歳の女子生徒たちに、身体の仕組みや避妊の方法、LGBTQへの理解、カップルでの関係の築き方やマスターベーションまで、総合的な内容を取り扱います。
避妊の説明では、実際のピルを生徒みんなが手に取れるように回していきました。また、生徒たちの「マスターベーションは悪いことなのか」や「陰毛は脱毛するべきなのか」といった性に関する素直な悩みにも答えていきます。
恥ずかしがらずに聞くことができるのは、黒板に向かって一斉授業をしているからではなく、教師も生徒も同じ円の中に入って、同じ目線の高さで座っているという雰囲気作りもあるかもしれません。フランスの性教育は2001年から1年に3回の必須科目となっており、8歳ごろから子供ができる仕組みなどを教え始めて、中学校では避妊の方法などを教えられています。
参考
フランス人の自信の秘密は「性教育」にあった!? 実際に授業へ潜入してみた|Newsweek
オランダ
オランダでは初等教育が始まる4歳から始まります。そして、学校で行われるオランダの生協区は4歳から始まります。また、オランダでは教育の自由が認められており、いつ、どのくらいの期間をかけて、どんな教材を使って、どんな風に、誰が教えるかは各学校の方針にゆだねられています。
授業の様子は一般的に、フランスと同じように円になって座り、はじめに「からかったりしないこと」「くすくす笑わないこと」といったルールを決めてから始めます。こうして、安心安全の場を作るよう、オランダの多くの学校は努めています。
また、オランダの小学校高学年(9~12歳)で広く活用されている教材に、スクールTVという動画教材があります。これは、オランダの公営放送局が制作しているもので、ドクターコリーに扮する女性が明るく元気にユーモアを交えて性に関するさまざまなテーマを取り扱っていきます。番組中には、テレビなどのメディアでよく見る有名人がインタビューに答えます。そうすることで、子供たちの憧れの存在の素直な言葉は子供たちの胸にストレートに届いているのでしょう。
参考
フィンランド
教育先進国として日本にも紹介されているフィンランドは、1970年に性教育が必修化されています。1990年代に、選択制になりましたが、2000年代以降改めて必修化されています。必修化されることで、10代の人工中絶数や性感染症の数が減少しているという報告があるそうです。
フランスやオランダと同じく、正しい知識を教えることを積極的に行っており、子供同士が性に関する話をすることが恥ずかしくない雰囲気があると言います。例えば、友人同士でどの避妊具の使い勝手がいいのかを話すこともあるようです。自治体や学校によって教え方に幅はありますが、コンドームをはじめとする避妊具の使い方を教えることも行われています。
参考
性教育を「必修」にしたフィンランドはどうなった? 日本との大きな差|東京すくすく