義務教育学校に通わせるメリット・デメリットとは
この記事を読んでいる親御さんの中には、子供を義務教育学校に通わせるかどうか検討している人もいるのではないでしょうか。実際にどのようなメリット・デメリットがあるのかまとめてみました。
メリット
新規性ある取り組みをしている学校に通える
義務教育学校という新しい枠組みで学校を設置するということは、少なからず実験的な教育を行っていくという姿勢の表れでもあります。従来の6・3制から4・3・2制や5・4制への変更など、日本の公教育の中では最先端の取り組みの中で子供を学ばせることに魅力を感じている人は少なくありません。
校舎が新しいことが多い
校舎が新しいことは、単純に子供達の生活しやすさを向上させるという意味で歓迎されているようです。具体的にはエアコンの設置・エレベーターなどのバリアフリー化・トイレなどの水まわりの清潔さなどです。
デメリット
転校しにくい
一方、デメリットもあります。カリキュラムの独自性が高いために、転入出が難しいというのが大きなデメリットです。
義務教育学校に転入してきた子供は授業が先に進みすぎていて困るかもしれません。逆に転出した場合は進度や単元を習う順番が異なっていて混乱するかもしれません。各校がどのようにフォローしていくかは今後の様子を見ながらということになりそうです。
今後は先取り学習で学力・進学実績を伸ばしていく学校や、部活の早期開始でスポーツなどを重点的な取り組みとしていく学校など、それぞれ個性が出てくるでしょう。中高一貫校などと同様、基本的には9年間通い続けるつもり進学したほうが子供が安定した学校生活を送ることができるでしょう。
人気が出すぎてマンモス校になることがある
【小規模特認校・水戸市立国田義務教育学校】
特定の学校を「特認校」として指定し、少人数での教育のよさを生かした、きめ細かな指導や特色ある教育を行っています。
通学区域に関係なく市内のどこからでも就学が可能です。
※紹介動画→https://t.co/je1vkzrVRJ pic.twitter.com/RBkqlkPgr5 #水戸— 水戸市 (@kouhou_mito) July 5, 2019
(引用元:kouhou_mito | Twitter)
人気が出て、想定よりも入学者が多くなってしまうということがあるそうです。学区が指定されていない義務教育学校だけでなく、学区のあるところでも教育委員会で特別な許可を得て、越境入学してくる例があります。
マンモス校になると、教室の一部が仮設プレハブになったり、体育の授業が満足に行えなくなったりとさまざまな弊害が出ます。新設校の場合は特に様子が分かりにくいので、教育委員会からの情報などをこまめにチェックしてみるといいでしょう。
参考
学園の森義務教育学校のマンモス校化を考える! | 研究学園の生活
実質的な統廃合ではという批判も
実質的には学校の統廃合と何も変わらないのでは? という疑問も挙げられています。例えば、つくば市の「秀峰筑波義務教育学校」は、小中学校9校を統合して新設されました。
学区がもともと人口減少が進む地域であったこともあり、学区が拡大して通学に膨大な時間がかかるようになってしまった地域もあります。新規性には評価がありつつも、特に小学校低学年の子供に長時間通学の負担をかけるのは果たして適切なのかは、行政も家庭もしっかり検討する必要があるでしょう。
参考
茨城)9校統廃合、かるたで一体感 各校区の名物紹介 | 朝日新聞デジタル
まとめ
制度として始まって3年目の、新しい取り組みである義務教育学校。まだまとまった成果や報告が少ないのが現段階ですが、新規性という意味では期待ができそうなのも事実です。実際に説明会に行ったり、自治体に問い合わせしたりして、子供にとって良い環境かどうかじっくり見極めてみてください。
参考
小中一貫教育の推進について | 文部科学省
文教施設研究センター研究成果一覧 | 国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research
義務教育学校|つくば市公式ウェブサイト
広報つくば 平成30年3月1日号|つくば市公式ウェブサイト
小中一貫教育の導入状況調査について | 文部科学省
義務教育学校の教育 | 塩浜学園
小中一貫教育全国連絡協議会|品川区
小中一貫した教育課程の編成・実施に関する事例集 | 文部科学省