義務教育学校とは何?カリキュラムの内容やメリット・デメリットについて - cocoiro(ココイロ) - Page 2

実際の義務教育学校ってどんなところ?

義務教育学校の概要を開設しました。続いては実際の義務教育学校がどんなところなのか見てみましょう。

小学校・中学校が同じ敷地・校舎内にあるイメージ

 

(出典:namisan_saksashi | Instagram)

多くの義務教育学校は、広い敷地内に小学校・中学校が両方入っているというイメージです。新設された校舎では建物が構造上つながっているところも多く、小学1年生から中学3年生までが同じ空間で生活しているということになります。

小中学校を同じ学校にしてしまうというところが義務教育学校の主眼でもあります。

文部科学省が実施してきた「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によれば,不登校児童生徒数,いじめの認知件数,暴力行為の加害児童生徒数が,小学校6年生から中学校1年生になったときに大幅に増えることが経年的な傾向として明らかになっています。一般に「中1ギャップ」というとき,こうした生徒指導上の問題に焦点を当てて論じられることが多くあります。

(引用元:小中一貫した教育課程の編成・実施に関する手引 | 文部科学省 11ページ)

学級崩壊の問題では環境が大きく変わることによる「小1プロブレム」が議論されますが、中学1年生ではそれが不登校やいじめなどの子供同士の問題につながりやすいと考えられています。義務教育学校では小学校から中学校にスムーズに移行することができますので、このような問題に対して教師が連携して対処しやすくなると考えられています。

9年間を通して考えたカリキュラム編成

義務教育学校は,9年の課程が小学校相当の前期6年,中学校相当の後期3年に区分されていますが,1年生から9年生までの児童生徒が1つの学校に通うという特質を生かして,9年間の教育課程において「4―3―2」や「5―4」などの柔軟な学年段階の区切りを設定することが容易になります(第5章参照)。

(引用元:小中一貫した教育課程の編成・実施に関する手引 | 文部科学省 18ページ)

義務教育学校は生徒を1〜9年生と呼ぶところが多いようです。転入出する生徒のためにも小学校・中学校に当たる「6・3年」を区切りとする原則になっています。

しかし、カリキュラム編成は学校ごとに柔軟に決めることができます。たとえば、市川市立塩浜学園では以下のような区切りが使用されています。

1〜4年 5〜7年 8・9年
基礎期 充実期 発展期

義務教育学校の教育 | 塩浜学園 より筆者作成)

中学2、3年に当たる8、9年を「発展期」に当てているのは、高校受験を含めて生徒が進路を決めていく段階に当たるからと言えるでしょう。

義務教育学校でも、学習指導要領は同じものが適用されます。つまり最初の6年間は小学校、後3年間は中学校ということになります。しかし、9年間の一貫教育を活かした先取り学習や単元の入れ替えなどを行うところもあります。

一方、教員は他の学校と変わりません。将来的には小学校・中学校両方の免許を持っていることとされる予定ですが、現在ではどちらかの教員免許だけでいいということになっています。これまで小学校教員をしていた教員が中学校の内容を教えるという可能性も出てきますので、授業内容がどこまで深められるかはこれからの取り組み次第と言えそうです。

校舎を新設するところが多い

1〜9年生までを同じ校舎に入れるため、校舎を新設するところが多いようです。ただし、小中学校の統廃合に伴って設置される義務教育学校では、空いた校舎を活用したり、既存の学校敷地内に建物を増築したりして義務教育学校にするところもあるようです。