14歳の子供の成長を促す5大原則
遺伝学に関する国際学術誌であるnature geneticsでは人の身長と遺伝の関係について、次のように書いています。
成人の身長は、多数の遺伝子の組み合わせによって決定される複合形質の典型例だ。世代間で受け継がれる遺伝要因が、身長の個人差の原因の約80%を占めている。
(引用元:ヒトの身長に関連する遺伝子バリエーションを数百個も新規同定(2014年10月6日)|nature genetics)
つまり、子供の身長は親からの遺伝で8割決まるということです。では、身長を伸ばす要因として考えられる残りの2割は何なのでしょうか。下記参考のタニタの健康コラムをもとに、14歳の子供の成長を促す5大原則を深掘りしていきます。
参考
タニタの健康コラム 遺伝だけではない!子どもの身長を伸ばす方法とは?|タニタの健康応援ネットからだカルテ
【食事】栄養バランスの良い食事を
骨を伸ばすためには栄養が必要で、栄養を体に取り入れる行為が食事です。では食事量はどの程度が理想でしょうか。その指標となるのが、1日に必要な推定エネルギーです。
厚生労働省が示した12~14歳の子供が必要とする1日の推定エネルギー必要量は次のとおりです。
<12~14歳の子供が必要とする1日の推定エネルギー必要量>
静的活動 | 適度な活動 | 活発な活動 | |
男子 | 2,300kcal | 2,600kcal | 2,900kcal |
女子 | 2,150kcal | 2,400kcal | 2,700kcal |
参考
日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要|厚生労働省
消費するエネルギーと同程度の栄養をバランスよく摂取することを意識して食事の準備をしましょう。
【睡眠】良質で十分な時間を確保しよう
良質な睡眠とは、健康になれるような睡眠でしょう。良い睡眠をとるための生活習慣について岐阜県の公式ホームページに書かれているので下記参考をご覧になってください。また、厚生労働省でも健康づくりのための睡眠指針を出しています。併せてご覧になり、睡眠の質を上げましょう。
参考
良い睡眠のための生活習慣 3 時間の使い方と睡眠 指導案|岐阜県
健康づくりのための睡眠指針 2014(平成26年3月)|厚生労働省健康局
次に、十分な睡眠時間です。人によって十分と感じる睡眠量には差がありますが、厚生労働省では次のように考えています。
日中の仕事や活動に支障をきたす程度の眠気でなければ、普段の睡眠時間は足りていると考えられます。
(引用元:健康づくりのための睡眠指針 2014(平成26年3月)|厚生労働省健康局,P11)
疲れていなければ良いということですが、アメリカの国立睡眠財団であるNATIONAL SLEEP FOUNDATIONが健康的な推奨睡眠時間を研究した結果によると14~17歳の子供の理想的な睡眠時間は8~10時間と分かっています。
14歳の子供は学校の始業に間に合うように起床するため、朝の起きる時間が固定されています。そのため、睡眠時間は就寝時間に左右されることになります。起床時刻から睡眠時間である8~10時間を差し引いた時刻に眠る準備が整っているように調整しましょう。
参考
How Much Sleep Do We Really Need?|NATIONAL SLEEP FOUNDATION
【運動】適度に体を動かそう
骨に適度な刺激を与えるような運動は、骨の成長を助ける成長ホルモンの分泌を促します。また、適度な運動でエネルギーを消費すると、子供はお腹が空いて食欲が増すので、たくさんの栄養素を体に取り入れることができます。
さらに、運動すると体が疲労することで、体力回復のためにぐっすりと良質な睡眠を取ることができます。このように、適度な運動は食事と睡眠に深く関わっています。
大妻女子大学 人間生活文化研究所の大澤清二氏によると最適な体力トレーニングの開始年齢は次のとおりです。
<最適な体力トレーニング開始年齢>
筋力トレーニング | 持久力トレーニング | |
男子 | 10.6~14.9歳 | 10歳 |
女子 | 7.65~13.55歳 | 9歳 |
参考
最適な体力トレーニングの開始年齢:文部科学省新体力テストデータの解析から|大澤清二
14歳はしっかりと体力トレーニングに取り組むための運動機能が備わっている年齢なので、適度な運動を日常に取り入れることをおすすめします。
【思春期】晩熟のためには規則正しい生活を
成長期を応援するサイト「スクスクのっぽくん」によると、思春期が早くに来ることによる身長への影響を次のように説明しています。
早く思春期が始まってしまったら、体が育っていない身長が短い状態からのスタートなので、最終身長が低くなってしまいます。逆に思春期が遅めに始まれば最終身長は高くなることが考えられます。
思春期が早く始まると、将来低身長のままになってしまう可能性があるのです。
(引用元:思春期が来ると身長が伸びない?成長スピードに差が出る?|スクスクのっぽくん)
思春期が早まる引き金と考えられているのが、過度な栄養(肥満)とストレス、そして睡眠不足です。思春期を遅らせるためには、栄養バランスの取れた適切な食事と良質で十分な睡眠、そして愛情のあふれたリラックスできる家庭環境が必要なのです。
【ストレス】プレッシャーを与えないようにしよう
ストレスも身長の伸びに影響を与えます。タニタの健康コラムには次のように書かれています。
栄養、運動、睡眠に問題がなくても愛情に不安があって子どもの精神状態が不安定になると、成長ホルモンの分泌が減ると言われています。
また、情緒が不安定だと食欲が落ちたり、熟睡できなくなることも身長の伸びの悪さに繋がってしまいます。
(引用元:タニタの健康コラム 遺伝だけではない!子どもの身長を伸ばす方法とは?|タニタの健康応援ネットからだカルテ)
食事、睡眠などの生活習慣を整えてあげることも大切ですが、子供がリラックスできる環境をつくってあげることも身長を伸ばすために大切です。身長が伸びないことを親が必要以上に気にして、子供にプレッシャーを与えるのはよくありません。14歳は思春期で親に関わりたくない子供も多い時期かと思われますが、愛情のある関係を心がけましょう。