映画と原作では感じ方が違う!『火垂るの墓』の読書感想文の書き方 - cocoiro(ココイロ) - Page 2

『火垂るの墓』の読書感想文

それでは、『火垂るの墓』の読書感想文の例を参考にしながら、真似したくなるポイントを解説します。

「二度とせんそうはしないでほしい」 小学3年生

小学3年生が書いた読書感想文です。清太が節子のためにしたことを、自分だったらできないと、自分に当てはめて考えを述べています。

わたしだったら、せつ子のためじゃなくて、自分のためにちょ金を全部おろしたり、お母さんのきものを食べ物にかえて、一人で全部食べちゃうと思います。

(引用元:読書感想文コンクール 小学校低学年の部(平成26年度)|八王子市図書館

また、締めくくりに戦争に対しての自分の考えと願いを書いており、『火垂るの墓』を読む前と読んだ後で考えが深まったことが読み取れます。

せんそうは、たくさんの人が死んでしまったり、なにもかもがなくなってしまうし、たくさんかなしい思いをしなければいけないので二度とせんそうはしないでほしいと思いました。

(引用元:読書感想文コンクール 小学校低学年の部(平成26年度)|八王子市図書館

さらに、自分の考えをストレートにタイトルにしており、『火垂るの墓』を読んで感じたことが一目で分かるようになっている点も、読者にとって分かりやすい読書感想文ということができるでしょう。

『火垂るの墓』を読んで」 中学2年生

続けて、中学2年生が書いた読書感想文です。「戦争」という大きなテーマの中に、同じ中学2年生である清太の葛藤に自分を照らし合わせて、自分の考えを記しています。『火垂るの墓』を読むまで感じていた「戦争」に対する疑問を導入にしており、本との出会いを効果的に表現しています。

戦争は魂すら不幸にする。死んでなおも後悔と無念の思いのみを残し、魂は救済されない。ならば、戦争とは何なのか。私たちの命は、蛍のようにはかないものなのに、どうして人間同士の殺し合いで命を無駄にしてしまうのか。どうすれば、人類は戦争から卒業できるのか。私の戦争に対する疑問は無限に存在した。そんな私の心を動かしたのがこの本だった。

(引用元:弘前市小・中学生読書感想文コンクール|弘前市

そして、読書感想文の最後には、現代を生きる私たちがするべきことを、反語を使いながら読者に問いかけるようにまとめています。これからの時代をつくっていく若者らしい力強さを感じることができるくくりになっています。

現在、私たちが生きる世界において戦争を無くすことは不可能なのか。それを考えることが我々人類にとって大切なのではないだろうか。そんな今だからこそ、私たちは、火垂るの墓の時代に生きて死んでいった人々に想いをよせ、今やるべきことは一体何なのか考えていくべきだと強く感じた。

(引用元:弘前市小・中学生読書感想文コンクール|弘前市

どちらの読書感想文にも共通する2つのポイントがあります。1つ目は、自分だったらどうだっただろうかと、物語の中に入り込んで考えている点です。2つ目は、『火垂るの墓』を読んだことで、これからどのようにしていきたいのかが力強い言葉と共に締めくくられている点です。読書感想文を書くときに、この2点を意識すると、自分らしい読書感想文に仕上げることができます。