『火垂るの墓』の読書感想文を書く3つのポイント
最後に、『火垂るの墓』の読書感想文を書くときの3つのポイントをご紹介します。ポイントを意識することで、読む人に説得力のある読書感想文を書くことができるようになります。
「戦時中」とはどういうことか考えを書く
アニメ映画だけを見て『火垂るの墓』を書こうとすると陥りがちなのが、「戦時中」という状態を無視して、両親を失ったかわいそうな兄妹の話として捉えてしまうことです。
清太や節子に厳しい言葉を浴びせる疎開先の三宮のおばさんも、戦争で夫を亡くした未亡人です。戦争に対して、ぶつけようのない怒りや憎しみがあることでしょう。そして、駅で死んでいった清太のそばには、清太よりも年下の今にも死にそうな子供がいます。清太が焼かれるときにも、20~30人ほどの戦争孤児が一緒に焼かれています。
このような記述から、戦時中とはどのような状況だったのか。少なくとも、現代の日本とはかけ離れた状況であったことを想像しながら書く必要があるでしょう。
「戦争」についての考えをまとめる
『火垂るの墓』の舞台は、戦時中の神戸です。「戦争」が物語の主題であり、読者に問いかけていることでもあります。
「戦争」とは、どのようなことなのか。いまを生きる私たちには、何ができるのか。何を考えて行動しなければいけないのか。など、戦争に対しての自分が考える素直な意見を書くようにしましょう。
読書感想文の最後に、「『火垂るの墓』を読む前と読んだ後で変わった・深まったこと」という視点で考えをまとめると、読み手に考えを分かりやすく伝えることができます。
本文中のせりふを織り交ぜる
『火垂るの墓』の文章は、とても客観的で箇条書きのようです。そんな中に出てくる、清太や節子、母親や疎開先のおばさんなど、登場人物のせりふは印象的です。
印象に残ったせりふや、自分だったらどのような言葉を言うのか、どのように言葉を受け止めるのかなど、自分に照らし合わせて、せりふを引用するようにしましょう。そうすることで、読書感想文にメリハリをつけることができます。
原作と映画の違い
アニメ映画のキャッチコピーは「4歳と14歳で、生きようと思った。」です。このキャッチコピーから、戦時中の孤児が生きていく姿を描く作品であり、周りの大人たちの接し方が非情に映る場面が多々あるように感じられます。
しかし、原作を読んでみると、疎開先の遠縁の親戚のおばさんが未亡人であったことや周りの大人たちも生きるのに必死であったこと、自分以外の人に優しさを持つ余裕がなかったことがよく分かります。
また、基本的な物語の構成は同じでありながらも、節子が死んでいる場面の描写や過去と現代の風景が重なる演出などが異なっています。ただ、監督の高畑勲氏のリアリズム志向が徹底的に追求されており、登場する軍艦の描写や声優が関西弁のネイティブであることなど細かなところまでこだわりが見られます。
まとめ
『火垂るの墓』は、アニメ映画で見たことがある人が多いと思いますが、原作は作者の野坂昭如氏の実体験や後悔、祈りが込められた作品です。もう直接話を聞くことができない作者の考えや思いを読み取って、お子さんの「戦争」に対する考えを深める機会にしてあげてください。
参考
読書感想文コンクール 小学校低学年の部(平成26年度)|八王子市図書館
火垂るの墓/野坂昭如のあらすじと読書感想文|ミニシアター通信
火垂るの墓のあらすじと感想~切ないラストに思わず号泣|ケンズニュース
火垂るの墓で読書感想文どう書く?【高校生用800字の例文つき】|笑いと文学的感性で起死回生を!@サイ象