学習指導要領改定後の授業はどんなもの?
「いじめに向き合う」という大きな目標が学習指導要領の変更にどのように影響しているのかを見てきました。続いては、実際に新学習指導要領のもと実施された授業をご紹介します。
実施された授業例(小学校1年生)
こちらは岡山県で実施された授業です。小学校1年生向けに、「主として自分自身に関すること」の中から「希望と勇気、努力と強い意志」をテーマに行われました。
ストーリー | 音楽隊でらっぱを担当しているこぐま。演奏会が近づいても上手に吹けない。くじけそうになりながらも練習をがんばり、最後は演奏会を大成功させる。 |
主題 | 困難を乗り越えて達成する努力、喜び、自立について |
授業展開 | 教材を読んで、各場面のこぐまの気持ちについて想像して話し合う |
子供自身がこぐまのように頑張ったことについて紹介し合う | |
教師が短くまとめの説話をする | |
教師による評価のポイント | 道徳的価値の理解を自分自身の関わりの中で深めているか |
一面的な見方から多面的・多角的な見方へと発展しているか |
(参照元:新学習指導要領の趣旨を踏まえた授業づくり(実践事例編) | 岡山県総合教育センター 24、25ページ)
実際の授業展開を見てみると、子供のころに自分が受けた道徳の授業を思い起こす人も多いのではないでしょうか。教師による評価が必須になった以外は、これまでの道徳の授業から大幅に変化があるというわけではないようです。
ただし、「主として集団や社会との関わりに関すること」など、変更が多かった視点に関しては、教師の授業展開によってはまた新たなやり方や考え方が導入される可能性もあるかもしれません。
文部科学省の教材を見てみよう
『わたしたちの道徳』
文部科学省が公式の教材として公開している「わたしたちの道徳」という冊子があります。こちらはデータをダウンロードすることもできるので、道徳の授業がどのように進められているのかを大まかに把握するのに役立ちます。
4つの視点 | 『わたしたちの道徳』目次 |
主として自分自身に関すること | 自分を 見つめて |
主として人との関わりに関すること | 人と ともに |
主として生命や自然,崇高なものとの関わりに関すること | いのちに ふれて |
主として集団や社会との関わりに関すること | みんなと ともに |
(参照元:『わたしたちの道徳 小学校1・2年 | 文部科学省 』2ページ)
上記は、学習指導要領の4つの視点が目次にどのように反映されているかをまとめたものです。先ほど紹介した岡山県の授業例は「主として自分自身に関すること」に含まれるものですが、『わたしたちの道徳』では、目標に向かって頑張ることよりも、規則正しい生活や規律を守ることで自立させるということに主眼を置いているのが分かります。このことからも、どのような教材を使うかによって指導案の内容が大きく変化する可能性があることが分かります。
参考
わたしたちの道徳 小学校1・2年 | 文部科学省
わたしたちの道徳 小学校3・4年 | 文部科学省
私たちの道徳 小学校5・6年 | 文部科学省
私たちの道徳 中学校 | 文部科学省
教師向けの指導資料
『わたしたちの道徳』は教師向けの資料も公開されています。こちらも参照すると、教科として求められている授業内容への理解が深まるでしょう。
参考
「私たちの道徳」活用のための指導資料(小学校) | 文部科学省
「私たちの道徳」活用のための指導資料(中学校) | 文部科学省
まとめ
新学習指導要領によって大きく変化があった道徳の授業と指導案についてご紹介しました。新学習指導要領に沿った道徳の授業は、小学校では2018年度、中学校では2019年度に始まったばかりです。新しい指導案はまだあまり多くは公開されていません。今あるものの中から、これからの道徳という教科について見通しが立てそうな資料についてご紹介しました。記事をもとに、実際の授業がどのように展開されているのか参考にしてください。
参考
道徳教育 | 文部科学省
道徳 | 岡山県総合教育センター
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