赤ちゃんの身長・体重は「成長曲線」から考える
同月齢のほかの子供と比較したときに我が子の身長が低かったりすると、親としては心配になるものです。まずは、子供の身長には大きくばらつきがあることを知っておきましょう。その上で発育の目安となる「成長曲線」を見ると、きちんと身長が伸びているかどうかをチェックすることができます。
成長曲線とは
「成長曲線」とは、子供の身長・体重の変化をグラフに落としたものです。横軸が時間、縦軸が身長・体重を示しています。
成長曲線は医療関係者が使う用語です。厚生労働省・文部科学省は「発育曲線」と呼びますが、どちらも同じものを指します。
(出典:乳幼児身体発育調査:調査の結果 平成22年 | 厚生労働省 3ページ)
上のグラフは厚生労働省の調査結果に基づく成長曲線です。複数の曲線が描かれているのが分かります。これは全国の子供の身長・体重の振れ幅を示すものです。この成長曲線グラフは母子手帳にも記載されていますので、確認してみてください。まずはこの曲線の見方について解説します。
図の右側に書かれている「パーセンタイル」とは、パーセントとは違った方法でデータを扱う方法です。まず、調査で分かった全国の子供の身長を小さい順に並べます。それを100個に区切り、区切られた1つの集団を小さい方から順に「1〜100パーセンタイル」と呼ぶのです。
成長曲線のグラフでは、1番下の曲線が「3パーセンタイル」、1番上が「97パーセンタイル」になっています。3パーセンタイルの曲線は、全国で小さい方から100分の3番目の集団にいる子供の成長曲線です。同様に、97パーセンタイルは全国で小さい方から100分の97番目の集団にいる子供の成長曲線ということになります。
つまり、全国の子供のうち、もっとも身長の低い2パーセンタイルの子供と、もっとも身長の高い2パーセンタイルの子供の数値を除いたのが上記のグラフとなります。上と下を比べると数センチの差があるものの、おおむね同じような曲線を描きながら成長しているということが分かります。
参考
成長曲線とは?|子どもの低身長と成長障害について考える成長相談室
身長・体重は平均が差があっても大丈夫
赤ちゃんは毎日少しずつ成長しますが、成長の速度には個人差があり、先ほどのデータはあくまで平均です。子供の身長や体重、頭囲が平均と差があってもあまり心配しないようにしてください。
ここの数値よりも、成長曲線を見ることのほうが重要です。身長を測定したらグラフに記入し、3〜97パーセンタイルの曲線と比較してみてください。同じような形の曲線を描いていれば、その子供なりのペースで順調に成長しているということですから、安心してください。
製薬会社のファイザーは、生年月日と身長を入力することで低身長かどうかを簡易的にチェックできるシステムを公開しています。心配な場合は、一度こういったサービスを利用して確認してみるといいでしょう。
参考
低身長チェック-情報入力|子どもの低身長と成長障害について考える成長相談室
成長曲線から離れていく場合
3パーセンタイルよりも身長・体重が小さい子供でも、成長曲線に沿ったカーブを描いているときは、そこまで心配しなくても大丈夫です。しかし、カーブが成長曲線から次第に下に離れていくときは、身長・体重ともになんらかの疾患が疑われる可能性もあります。
参考
生後8か月半。身長が伸びず成長曲線から離れていきます。 (2011.7) 赤ちゃん&子育てインフォ|インターネット相談室 Q&A
「-2SD」を下回る身長
子供の身長が「-2SD」を下回る場合、低身長として検査などの対象になることがあります。この「-2SD」について解説します。
ここまで身長・体重を「パーセンタイル」で解説してきましたが、子供の発育については「SD(標準偏差)」もよく使われます。テストなどで使われる「偏差値」も、標準偏差をもとにその値が決まるものです。
パーセンタイルでは数値を100に区切って考えましたが、標準偏差は平均値からどれだけ離れているかで考えます。「-2SD」とは、平均値から標準偏差(SD)2つ分下にある数値ということになります。
この-2SDを下回る身長ですが、乳幼児の場合はそこまで気にしなくてもいいそうです。この時期は、身長が伸びる幅に個人差が大きいためです。この基準をもとにした低身長の診断は3歳ごろに行われることが多いそうです。それまでは必要以上に心配せず、気長に様子を見るようにしましょう。
性別ごとの-2SDの身長はこちら。
男子の-2SDの身長
経過月 | 平均身長 | -2SD身長 |
---|---|---|
0ヶ月 | 49 | 44.7 |
1ヶ月 | 53.5 | 49.1 |
2ヶ月 | 57.9 | 53.4 |
3ヶ月 | 61.4 | 56.9 |
4ヶ月 | 64.2 | 59.6 |
5ヶ月 | 66.2 | 61.6 |
6ヶ月 | 67.8 | 63.1 |
7ヶ月 | 69.2 | 64.4 |
8ヶ月 | 70.5 | 65.6 |
9ヶ月 | 71.7 | 66.7 |
10ヶ月 | 72.8 | 67.8 |
11ヶ月 | 73.9 | 68.8 |
12ヶ月(1歳) | 75 | 69.8 |
13ヶ月 | 76 | 70.8 |
14ヶ月 | 76.9 | 71.6 |
15ヶ月 | 77.8 | 72.5 |
16ヶ月 | 78.7 | 73.3 |
17ヶ月 | 79.6 | 74.1 |
18ヶ月 | 80.5 | 74.9 |
19ヶ月 | 81.4 | 75.7 |
20ヶ月 | 82.3 | 76.5 |
21ヶ月 | 83.1 | 77.3 |
22ヶ月 | 83.9 | 78 |
23ヶ月 | 84.7 | 78.7 |
(参照元:子供の年齢別平均身長(男児・男子)|スクスクのっぽくん)
女子の-2SD身長
経過月 | 平均身長 | -2SD身長 |
---|---|---|
0ヶ月 | 48.4 | 44.2 |
1ヶ月 | 52.6 | 48.4 |
2ヶ月 | 56.7 | 52.4 |
3ヶ月 | 60 | 55.6 |
4ヶ月 | 62.6 | 58.2 |
5ヶ月 | 64.6 | 60.1 |
6ヶ月 | 66.2 | 61.6 |
7ヶ月 | 67.5 | 62.9 |
8ヶ月 | 68.9 | 64.1 |
9ヶ月 | 70 | 65.2 |
10ヶ月 | 71.2 | 66.3 |
11ヶ月 | 72.3 | 67.4 |
12ヶ月(1歳) | 73.4 | 68.4 |
13ヶ月 | 74.5 | 69.4 |
14ヶ月 | 75.5 | 70.3 |
15ヶ月 | 76.5 | 71.3 |
16ヶ月 | 77.5 | 72.2 |
17ヶ月 | 78.4 | 73 |
18ヶ月 | 79.4 | 73.9 |
19ヶ月 | 80.3 | 74.7 |
20ヶ月 | 81.2 | 75.6 |
21ヶ月 | 82 | 76.3 |
22ヶ月 | 82.8 | 77.1 |
23ヶ月 | 83.5 | 77.7 |
(参照元:子供の年齢別平均身長(女児・女子)|スクスクのっぽくん)
参考
2歳の男の子。身長の伸びが悪く「−2SD」ぎりぎりの数値で気がかりです。 (2015.3) 赤ちゃん&子育てインフォ|インターネット相談室 Q&A
SDスコアについて|保健師・保育士・養護教諭さんへ
新しい成長曲線について | 日本小児内分泌学会