道徳の教科書はどんな内容?教科化の経緯や問題点について解説! ( 3 )

指摘されている問題点

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小・中学校における道徳の教科化にともない、さまざまな問題点が指摘されています。

成績をつけることは可能か

教科化されたことで、他の科目と同様に道徳においても成績評価がなされるようになりました。他の科目と異なるのは、段階別評価や点数で評価をしないという点です。子供たちの内面には点数を付けられないとして、道徳では、記述式の積極的評価が採用されています。積極的評価とは、各児童・生徒について褒めることや励ますことを基本として記述するというものです。

子供たちは往々にして、教師から褒められればうれしいと感じるものでしょう。褒める点のみを記述する形式であっても、「何を褒めるか」、「何を褒めないか(言及しないか)」といったところに、何らかの価値判断が表れます。

学校が示す「価値判断」「行動規範」に子供が合わせてしまうことが問題だと指摘する声もあるのです。

参考

「道徳の教科化」に潜む”愛国教育”の危うさ 国が道徳観を定め教師が評価するのは適切か|東洋経済オンライン

取り上げられている題材は適切か

教科書に取り上げられている題材が今の子供たちにとって適切なのか? とう指摘もあります。

その一例が、小学校の検定教科書に掲載されている『星野くんの二塁打』という話です。送りバントの指示に従わずに打ち、決勝二塁打を放って甲子園出場を決めた選手が、監督によって出場停止処分を受けるというこの話の初出は1947年、今から70年以上前のことです。その後、教科化以前の道徳の副読本などにも取り上げられています。

星野くんの選択の是非について、子供たちに考えさせる授業を行っている学校がありますが、ルールを守ること、自己犠牲の必要性を強調する内容が教科書にあることを疑問視する声もあります。

参考
小学校の「道徳教科書」はこんなにも危ない 70年前に書かれた高校野球の話も題材に|東洋経済オンライン

学問的正確さを欠く記述

道徳の検定教科書の記述に「学問的な正確さに欠けたものがある」との指摘もあります。

小学校の教科書のうち4社で二宮金次郎の話が採用されていますが、そこに書かれている彼の幼少期、少年期の記述は史実に基づいたものではないと言われています。他にも、東京書籍の中学2年の教科書に書かれている「武士道」の記述が、厳密には儒教の影響を受けた思想であり武士道と呼ぶことはできないという専門家の指摘もあります。

参考
根拠欠く教科書 どう評価?悩む先生 教科になった道徳|朝日新聞

愛国教育に対する懸念

小学校・中学校の学習指導要領に書かれた道徳の内容項目の一つに、「国や郷土を愛する態度」というものがあります。道徳が成績評価の対象となる教科に格上げされたことで、教科書の内容もこの項目を充足するよう求められています。

話題になったのは、東京書籍が編集した小学1年生用の道徳の教科書です。祖父と一緒に散歩をする女の子が立ち寄る「パン屋」が、文科省の指摘によって「和菓子屋」に変更されたと報じられ議論を呼びました。変更されたのは、「国や郷土を愛する態度」の不足を指摘されたからと言われています。

どうやら、文科省が該当箇所を変更するよう直接指示したわけではないとのことですが、教科化に伴う検定の過程で、「国や郷土を愛する態度」という項目を十分に満たしていないとの指摘があったことは事実のようです。

他にも、「わが国や郷土の文化」という視点の不足を指摘されたことを受けて、公園のアスレチックの写真を和楽器店に変更したり、土手で花を見る写真を公園で親子が凧揚げをする写真に差し替えるなどの対応をした出版社もあり、批判の声が上がりました。

参考
道徳教科書の検定問題、文科省がネット上の批判に反論 「パン屋が和菓子屋に変更になったのは出版社の判断」|キャリコネニュース