嫌いな食べ物の克服方法
大人になれば食べられるようになる
味覚には、甘味、旨味、塩味、酸味、苦味の5種類があります。赤ちゃんはおっぱいの味でもある甘味を好む一方、腐敗や毒物の可能性のある酸味を本能的に避けます。これらの味覚は、成長過程で何度も経験することで少しずつ慣れていきます。
子供が苦手な食べ物こそ、おいしい旬のものを準備し、口にする機会を設けて下さい。無理強いする必要はありませんが、「一口だけ食べてみよう」と誘導すれば、半口だけでも食べるかもしれません。子供のうちはそれで十分です。さまざまな食体験を積み重ねて成長するにつれ、自然に食べられるようになります。
家族そろって楽しく食卓を囲む
2016年に日本公衆衛生学会が富山県の小学生2,000人を対象に行った調査では、子供の好き嫌いの多さと家族環境は密接に関係していることが分かりました。朝・夕食を毎食家族そろって食べる子供は、1人でご飯を食べることのある子供に比べ、好き嫌いが少なく、野菜も食べるよう心がける傾向があります。
(参照元:子供の食行動・生活習慣・健康と家庭環境との関連:文部科学省スーパー食育スクール事業の結果から|第63巻日本公衛誌第4号、P194表より筆者作成)
同じ食事をするにしても、1人で食べると食欲が湧きませんが、家族そろって楽しく食べればおいしく感じます。苦手な食べ物も、家族の誰かがおいしそうに食べていれば「食べてみよう」という気も起きます。子供の健康のためには、「何を食べるか」だけでなく「どう食べるか」も大切なのです。
子供に食事の準備を手伝わせる
嫌いな食べ物を無理に食べさせるのでなく、まずは身近に感じるところから始めてみるといいでしょう。たとえば、ゴーヤ、なす、ピーマン、トマトなどは、プランターでベランダ栽培もできます。たとえ食べられなくても、種から芽が出て、花が咲いて実が成る様子を見ていれば、親しみが持てます。子供と一緒に収穫すれば、自然の恵みを肌で感じられるでしょう。
家庭菜園が無理なら、子供と一緒に買い物に行き、一緒に食事の準備をしましょう。片付けの手伝いは嫌がる子供も、切ったり炒めたりするお手伝いは喜んでします。自分の手で野菜の形が変わり、料理されていくのは楽しいものです。おかずとして食卓に出されたら手をつけない食べ物でも、台所で味見ならするかもしれません。
まとめ
自分の子供のころのことをご両親に聞いてみて下さい。おそらく好き嫌いで困ったエピソードはあるはずです。それでも、今は嫌いだった食材もほとんどが食べられるようになっているのではないでしょうか。ある程度バランスの取れた食事がとれていれば、子供の好き嫌いは過度に心配する必要はありません。それよりも、日々の食事を家族そろって楽しく食べられるよう心がけましょう。
参考
平成22年度児童生徒の食事状況等調査報告書【食生活実態調査編】集計表|Japan Sports Council
子供の食行動・生活習慣・健康と家庭環境との関連:文部科学省スーパー食育スクール事業の結果から|第63巻日本公衛誌第4号
3歳までが勝負 子どもの味覚の育て方|Nikkei Style