ピアノは才能ありきなの?子供の力を伸ばし上達するために必要なこと - cocoiro(ココイロ) - Page 4

【時期別】ピアノを習う子供たちの上達のためにできること

では、子供たちの上達をサポートするために、どのように接したらいいのでしょうか。ピアノ指導者たちのアドバイスから、ヒントを得ていきましょう。

ピアノを始めたばかりのころ

幼児に集中して練習させるにはどうしたらいい?

幼い子供にとっては、ピアノの前にじっと座っているのも難しいものです。練習に集中させるためのポイントとして、指導者の石黒加須美先生は次の2点を挙げています。

①習慣性をつける:1日5分でもよいので、ピアノの前に座って音楽を楽しむ時間を作る

②楽しめる課題を与える:集中力の源は「楽しい!」「面白い!」という気持ち

ピアノを弾く練習だけでなく、保護者と一緒にピアノの前に座り、歌を歌ったり手を叩いたりするだけでもよいそうです。

参考

ピアノ指導者が答えるお悩みQ&A 第2回 幼児が練習に集中する方法 石黒加須美先生|ピティナ)

毎日ピアノに向かう習慣をつけるには?

共働きの家庭や習い事をかけ持ちしている子供では、毎日の練習を習慣づけるのも容易ではないもの。しかしピアノは練習しないと上達は望めません。指導者の丸山京子先生は「レッスンのおさらいを習慣にすることは必須」といいます。

子どもの年齢が幼いほどご両親のご協力が欠かせないので、日々の練習がとても大切だという親御さんの意識も育てることが重要だと思います。

(引用元:ピアノ指導者が答えるお悩みQ&A 第13回 毎日の練習を習慣づけるには? 丸山京子先生|ピティナ

最初は1日5分でいいのです。子供と一緒にピアノを楽しむ時間を作ってみてはどうでしょうか。

ピアノの力がついてきたころ

自立心が強くなってきた子供のレッスン、親の向き合い方は?

子供が成長して自立心が強くなるころには、保護者の干渉に反発をすることもあるでしょう。指導者の重野美樹先生は自身のレッスンに小学生までは保護者に同席してもらうそうですが、その目的を「子供が褒められたときに一緒に喜んでもらうこと」と話しています。

保護者は家庭で先生の代わりに教える必要はなく、子供以上に熱が入って練習に駆り立ててしまっては、かえってよくない結果を生むケースも多いのだとか。「レッスンを受けるのは子供」という原点を大切にしましょう。

参考

ピアノ指導者が答えるお悩みQ&A 第8回 子どものレッスンとのつきあい方 重野美樹先生|ピティナ

マンネリ化防止とモチベーションキープの秘訣は?

レッスンに新鮮味がなくなって、子供が飽きてしまうこともあるでしょう。モチベーションを保つために、指導者の石嶺尚江先生は次のような工夫をしているそうです。

私は、今練習することでもっと弾けるようになると示すために、1年後~数年後に弾いているであろう曲を聴かせています。(中略)実際には1年後に到達できなかったとしても、今の練習の延長上に何があるのかが分かるだけで、生徒さんはその光に向かって進んでいけるのです。

(引用元:ピアノ指導者が答えるお悩みQ&A 第16回 生徒のモチベーションを上げる指導法 石嶺尚江先生|ピティナ

小さい子には「エリーゼのために」、小学校低学年・中学年くらいなら「子犬のワルツ」や「ショパンのノクターン第2番」、小学校の高学年や中学生ならばショパンのエチュードなどを聴かせるそうです。

将来を考えるころ

ピアノを長く続けてもらうには?

熱心な指導にもかかわらず子供が退会してしまう、というケースに悩む指導者も多いようです。長く楽しくピアノを続けてもらうために、指導者の樋口紀美子先生は次の2つの注意点を挙げています。

①双方向のコミュニケーション:一方的に教えるのではなく子供の気持ちをよく聞く。違和感や不満、負担感を放置しない。

②曲選びの工夫:子供に合った曲や好きな曲を中心に。苦手な曲でも納得して取り掛かれるよう話し合う。

参考

ピアノ指導者が答えるお悩みQ&A 第18回 ピアノの楽しさを伝え、長く続けてもらうには 樋口紀美子先生|ピティナ

子供のモヤモヤや悩みを受け止められるよう、普段からよく話を聞いておくといいのではないでしょうか。

受験期、ピアノをやめる?続ける?

どんな子供も、受験とピアノの両立は難しいものです。受験期の指導のポイントとして、指導者の中嶋宏美先生は次の3点を挙げています。

①到達レベル:受験期前に「ここでやめるのはもったいない」というレベルまで。練習再開時のストレスも減る。

②選曲の工夫:受験期でも取り組みたくなる憧れの曲、息抜きになる好きな曲などを渡す。

③受験後のフォロー:以前のようにレッスンできない時、マイペースでよいという安心感を与える。

参考

ピアノ指導者が答えるお悩みQ&A 第21回 受験があってもピアノを続けてもらうには 中嶋宏美先生|ピティナ

保護者の立場で言うなら、受験期には息抜きも含め余裕を持つこと、勉強にピアノの練習にと追い込みすぎないことが大切なのかもしれません。

まとめ

ここまで見てきたことから、最も大事なことを一言で表現すると「好きこそものの上手なれ」ということなのではないでしょうか。ピアノが好き、弾くのが楽しいという気持ちこそが、継続と上達の源泉です。保護者の役割は、子供がピアノの楽しみを追求することを可能にする環境づくりと気持ちのサポートだと言えるのかもしれません。

参考

「社会生活基本調査」における「趣味娯楽=楽器演奏」の行動者率|全国楽器協会事務局

Category:日本のクラシック音楽のピアニスト|ウィキペディア

Category:日本のジャズ・ピアニスト|ウィキペディア

Pianist Lounge アーティストインタビュー|ヤマハ株式会社

ピアノ指導者が答えるお悩みQ&A|ピティナ

この記事をかいた人

菊池とおこ

北海道大学文学部行動科学科卒。行政系広告代理店、医薬系広告代理店、地方自治体の結婚支援事業担当などを経て独立、ライターに。女性のライフイベントと生き方、働き方、ジェンダー教育などが主な関心分野。大学院進学を視野に入れて地元大学のゼミ(ジェンダー・スタディ)に参加中。趣味は音楽、中学より本格的に合唱を始め、現在も合唱団に所属。ネコのおかあさん。子供と接する時は、自由人の叔父ポジション。