ピアノは才能ありきなの?子供の力を伸ばし上達するために必要なこと - cocoiro(ココイロ) - Page 2

才能を開花させたピアニストたちのストーリー

ピアノがうまくなるには何が重要なのでしょうか。そのヒントを得るために、ピアニストたちがどんな子供時代を送ってきたのか、いくつかのインタビューを確かめてみましょう。

エピソード1:とにかく好きで好きで仕方なかった

多くのピアニストに共通するのが、ピアノが好きで仕方なかった、というエピソード。好きだという熱い気持ちは、ピアノの上達に欠かせないポイントのようです。

練習が嫌だとか辛いと思ったことは一度もないです。逆に両親が心配して、“やめなさい”と言うくらい(笑)。僕にとってピアノを弾くことは、自分の気持ちを表現する一番の手段なのかなと思います。口で何かをしゃべるより、ピアノで表現する方が楽なんです

(引用元:Pianist Lounge アーティストインタビュー 牛田智大氏|ヤマハ株式会社

【牛田智大氏】

1999年福島県生まれ。生後すぐ上海に移り、2歳10カ月でピアノを始める。2008~12年「ショパン国際ピアノコンクール in ASIA」において5年連続第1位受賞。18年、第10回「浜松国際ピアノコンクール」にて第2位、ワルシャワ市長賞、聴衆賞を受賞。

先生に相談すると、まだあまりにも小さすぎるから、5歳まで待った方がいいといわれました。そして5歳の誕生日に、私は“5歳になりました。ピアノを習いたい”といったのです。それからはピアノにかじりつき、猛練習の日々。親がもうやめてくれ、といったくらいです(笑)

(引用元:Pianist Lounge アーティストインタビュー セドリック・ティベルギアン氏|ヤマハ株式会社

【セドリック・ティベルギアン氏】

1975年フランス生まれ。2歳半の時ピアノに出会い、とりことなる。パリ国立高等音楽院でフレデリック・アゲシーとジェラール・フレミーに師事。98年「ロン=ティボー国際コンクール」で優勝、5つの特別賞も受賞した。

エピソード2:指導者と仲間に囲まれて切磋琢磨

もうひとつ、重要な要素が「環境」。多くのピアニストが、優れた指導者と仲間に囲まれて、音楽のエッセンスを吸収しながら才能を伸ばしていった学生時代を振り返っています。

私は今でも毎日ナウモフ先生のことを思い出します。彼が教えてくれたのは、ピアノの弾き方ではなく、どのように音楽にアプローチすべきかということでした。生徒のイマジネーションを刺激する生き生きとしたレッスンのおかげで、私はピアニストとして成長することができたと感じています

(引用元:Pianist Lounge アーティストインタビュー イリヤ・イーティン氏|ヤマハ株式会社

【イリヤ・イーティン氏】

1967年ロシア・エカテリンブルグ生まれ。モスクワ音楽院で名教授レフ・ナウモフに師事し、最優秀で卒業する。「リーズ国際ピアノコンクール」審査員全員一致の第1位を受賞したほかコンクール実績多数。現在、武蔵野音楽大学客員教授。

ソコロフ先生はピアノ音楽をあらゆる側面から教えてくださる素晴らしい教師でした。毎週新しいバッハの作品1曲、ベートーヴェン、モーツァルトなどの古典ソナタ1曲の譜読みをして聴いていただきました。(中略)この時期に、クラシック作品の精髄を学んだと感じています

(引用元:Pianist Lounge アーティストインタビュー クレア・フアンチ氏|ヤマハ株式会社

【クレア・フアンチ氏】

1990年ニューヨーク生まれ。7歳でピアノを始める。11歳からエレノア・ソコロフの指導を受け、13歳でフィラデルフィアのカーティス音楽学校に入学、エレノア・ソコロフやゲイリー・グラフマンに師事。16歳「浜松国際ピアノコンクール」の奨励賞受賞を契機にハノーファー音楽演劇大学に進み、アリー・ヴァルディに師事。

伝説的なピアニスト、ゲーリー・グラフマン先生のクラスに入れたのは幸運なことでした。(中略)生徒一人ひとりの個性を尊重し、こう弾くべきとは決して言わず、広い視野から適切な助言をしてくださり、ここが足りない、ここをもっと改善できると気づかせてくださいます

(引用元:Pianist Lounge アーティストインタビュー ダニエル・シュー氏|ヤマハ株式会社

【ダニエル・シュー氏】

1997年サンフランシスコ生まれ。6歳で音楽の勉強を始め10歳でカーティス音楽院に入学、ゲイリー・グラフマンとエレノア・ソコロフに10年間師事する。2017年「ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール」第3位、室内楽演奏賞、新曲演奏賞受賞。

日本ではこんな教育環境を整えるのは無理と感じるかもしれません。日本で学んだピアニストたちはどうでしょうか。

(中学生時に在籍したヤマハマスタークラスピアノ演奏研究コースを振り返って)

現在若手ピアニストとして活躍している仲間と出会い、彼らは小さい頃から優秀で、演奏家としての将来をしっかり見据えて学んでいて、すごいなと衝撃を受けました。そして、私も頑張ってみようと思ったのです

(引用元:Pianist Lounge アーティストインタビュー 梅村知世氏|ヤマハ株式会社

【梅村知世氏】

1988年岡山県生まれ。4歳からヤマハ音楽教室で学ぶ。東京藝術大学首席卒業、同大学院修士課程修了。文化庁新進芸術家海外研修生としてベルリン芸術大学に進み、現在は同大学国家演奏家資格課程にて、クラウス・ヘルヴィッヒ氏の下で研鑽を積んでいる。

ピアノはもちろん、楽典やソルフェージュも、周りの子たちがとても優秀だったので刺激を受けて一生懸命勉強しました。みんなみたいにもっと難しい曲が弾けるようになりたいと、がんばって練習しましたね

(10歳でスタートしたヤマハマスタークラスを振り返って)

(引用元:Pianist Lounge アーティストインタビュー 上原彩子氏|ヤマハ株式会社

【上原彩子氏】

1980年香川県生まれ。ヤマハ音楽教室で3歳からピアノを始める。ロシアの名教師ヴェラ・ゴルノスタエヴァの指導を受け、2002年に第12回「チャイコフスキー国際コンクール」ピアノ部門で、女性として日本人として史上初めての第1位を獲得。

ごく一般的なピアノ教室から出発し、仲間たちと切磋琢磨しながら、コンクール、国際的な指導者と出会い……と着実に歩みを進めてきた様子がうかがえます。