梅雨の由来・語源について
ここでは、梅雨の由来や語源についてご紹介します。
梅雨は中国から梅雨(ばいう)として伝わる
梅雨(ばいう)という言葉は、中国から伝わりました。梅雨という言葉が日本に伝わるまでは、梅雨のことを「旧暦5月に降る雨」という意味で「五月雨(さみだれ)」という言葉を使って表現していました。
もともと中国では「梅雨」という漢字を使わず、「霉雨(ばいう)」と表現していました。これは、梅雨の時期は湿度が高く、黴(かび)がすぐに生えることから、黴を意味する霉(ばい)という字が使われていたと伝わっています。
しかし、霉(ばい)という字は「黴」を表すもので印象が悪いため、現在の「梅」という字を使って「梅雨」と表現するようになったといわれています。「梅」という漢字が使われるようになった理由は、下記の2つの説が有力です。
「梅」という漢字が使われる理由
梅雨は「梅」が熟す時期に起こるから説
梅雨は、ちょうど梅が熟し、収穫する時期である6~7月に起こります。そのため、それまで霉雨(ばいう)という漢字で表現されていた「ばい」の部分に、「梅」という漢字が当てられた、という説があります。
毎日雨が降る季節だから説
梅雨の時期は、ほぼ毎日といっていいほど雨が降ります。そのため、「毎日」の「毎」という字が入っている「梅」という漢字を使い、梅雨と表現するようになった、という説があります。
江戸時代ごろから梅雨(つゆ)と呼ばれる
梅雨はもともとは「ばいう」と読まれていましたが、江戸時代のころから「つゆ」と読まれるようになりました。「つゆ」と読まれるようになった時期は、貝原好古(かいばら・よしふる)という人物が書いた「日本歳時記」という本に梅雨(つゆ)と読む一文が出てくることから明らかになっています。
この本が書かれたのは1688年で、第五代将軍徳川綱吉が政権を握った時代です。この本の中に「この月淫雨ふるこれを梅雨(つゆ)と名づく」という文章が出てくることから、このころには梅雨は「つゆ」と読まれていたことが分かっています。
梅雨が「つゆ」と読まれるようになった時期は明らかですが、なぜ「つゆ」と読まれるようになったのかについてはいまだに分かっていません。
梅雨が「つゆ」と読まれるようになった理由は、次にご紹介する3つの説が有力だとされています。
梅雨(つゆ)と呼ばれるようになった理由
「露」から説
葉っぱや花びらについている露(つゆ)から連想して梅雨(つゆ)と読まれるようになった、という説があります。梅雨の雨が降ったあとに、草花につゆが付いている光景はよく見られることから、有力な説だと言われています。
「潰ゆ」から説
梅雨が起こるのは、梅の実が熟して「潰れる」時期である、ということから、「潰ゆ(つゆ)」が「梅雨(つゆ)」という読み方につながった、という説もあります。「潰ゆ(つゆ)」という言葉は、昔の言葉では「潰れる」という意味で使われていたことから、梅雨(つゆ)の読み方になったといわれています。
その他の説
■古語の「つはる」という言葉から説
植物の芽が出ることを古語では「つはる」といいます。この「つはる」という言葉の表現が、つはる→つふ→つゆ、というように変化していき、梅雨(つゆ)という漢字に当てられたという説があります。
■「費ゆ」から説
無駄になってしまうことを表す「費える(ついえる)」という言葉が「費ゆ(つゆ)」と表現されることから、梅雨(つゆ)の読み方につながった、という説もあります。
梅雨の時期は湿度が高く、食べ物が傷んで無駄になりやすいことから、無駄になることを表す「費ゆ(つゆ)」という言葉が当てられたと言われています。