新元号はどうやって決める?
元号法を根拠に元号が制定されるのは、平成に続き新元号が2回目。手続き面もまだ習慣化されているとは言えませんが、おおよそのスケジュールは決定しているようです。新元号を制定するための手続きは平成の制定時を踏襲する見込みという報道がされています。平成のときの手続きを参考にしながら、新元号がどうやって決まるのか確認してみましょう。
有識者などによって候補が出される
文化勲章受章者や文化功労者といった有識者から、複数の案が寄せられます。平成の改元の際には、昭和63年(1988年)ごろにはすでに3つの原案にまで絞り込まれていたそうです。
就任以来、極秘に元号の案を複数、用意していました。陛下が体調を崩された’88年の9月ごろには、すでに3つの原案を内示していたのです
的場順三氏(元内閣内政審議室長)
(引用元:安倍総理はもう知ってる…?「新しい元号の決め方」の意外な話(週刊現代)|現代ビジネス)
元号法の条文中には、元号の決め方について特に指定はありません。ただし、1979年に大平内閣が「元号選定手続について」という文書を閣議決定しています。この要件が、今回も適用されるのではないかと考えられているようです。
1.国民の理想としてふさわしいような意味を持つもの
2.漢字2文字であること
3.書きやすいこと
4.読みやすいこと
5.これまでに元号又は諡として用いられていないこと
6.俗用されていないこと
(引用元:元号選定手続について|国立公文書館 デジタルアーカイブ)
「国民の理想としてふさわしいような意味を持つもの」を選ぶのは学識経験者の腕の見せ所と言えるでしょう。明治・大正・昭和・平成と同様に、新元号も漢字2字で、読み書きしやすいものが選ばれるようです。
「これまでに元号又は諡として用いられていないこと」はもちろん、「俗用されていないこと」も重要なポイントになります。ほかの条件をしっかり満たしていても、会社名・屋号・商品名などに使われているものは元号として選ぶことができないということになります。(例:「秀和」など)
システム上の問題から、下記のようなこともポイントとなっているそうです。
その他にも明治、大正、昭和、平成のそれぞれのイニシャルとなるM、T、S、Hが頭文字となる元号は使わない、中国の古典の中から採用する、などというルールも暗黙の了解としてあるという。
また政府はこの1月3日、新元号には1文字15画を上限としたなじみやすい漢字を用いるという方針を発表している。
(引用元:元号選定のルール 漢字2文字で書きやすく読みやすいこと|NEWSポストセブン)
候補から1つを選び閣議決定
候補から最終的に1つの元号を選ぶのは閣議ということになっています。元号法に基づき、閣議決定された元号は政令によって定められます。
平成への改元時は、元号案を中国の古典や漢字の専門家に依頼し、最終的に3案まで絞り込み、それを昭和天皇が崩御された直後、日本新聞協会会長、NHK会長など8人のメンバーからなる『元号に関する懇談会(元号懇)』を経て、閣議で決定しました
鈴木洋仁氏(事業構想大学院大学准教授)
(引用元:新元号の決め方と情報漏れ防ぐための厳し過ぎる掟|NEWSポストセブン)
今回の最終決定は2019年4月1日
今回の新元号は、発表日とされている2019年4月1日に閣議決定されることになっています。「元号に関する懇談会」から政令の決定まで、わずか2時間という短時間で行われる予定だそうです。
新元号は、おそらくすでに最終候補まで絞り込まれていると考えられます。しかし、4月1日までは、その詳細を知っているのはごく一部の関係者のみと言えるでしょう。
参考
菅官房長官が発表=4月1日決定後直ちに|時事ドットコム