アクティブ・ラーニングの問題点とは
一方で、アクティブ・ラーニングを学校教育に取り入れることについては早くから問題点も指摘されていました。どのような問題が考えられるのかご紹介します。
授業方法が形骸化しやすい
中央教育審議会では、方法の1つであるアクティブ・ラーニングが目的化してしまい、本来の意義を失うのではないかという懸念がありました。
育成すべき資質・能力を総合的に育むという意義を踏まえた積極的な取組の重要性が指摘される一方で、指導法を一定の型にはめ、教育の質の改善のための取組が、狭い意味での授業の方法や技術の改善に終始するのではないかといった懸念などである。我が国の教育界は極めて真摯に教育技術の改善を模索する教員の意欲や姿勢に支えられていることは確かであるものの、これらの工夫や改善が、ともすると本来の目的を見失い、特定の学習や指導の「型」に拘泥する事態を招きかねないのではないかとの指摘を踏まえての危惧と考えられる。
(引用元:2.新しい学習指導要領等が目指す姿|教育課程企画特別部会 論点整理|文部科学省)
義務教育では、やらなければいけないことが明確に学習指導要領として定められています。そのため、とりあえず授業としてこなさなければいけない、という教育現場の都合で内容が形骸化していくことは十分にありえそうです。
子供によって向き・不向きがある
学習をどのくらい深められるかが、題材や子供1人ひとりの得意・不得意によって大きく左右されるというのも問題の1つです。
一方では,「今日の課題、狙い、これはもう知っているよ」と,先取り学習して知っている子がいる。一方では,既習事項も怪しくてなかなか「そこから考えましょう,学び合いましょう」といっても,それについていけない子がいる。その中で教師がどういう役割を果たしていったらいいのかというような辺り,どうやって個人差に対応するかというのが,これ,探究でも習得でも共通して出てくる問題だと思います
ロバート・キャンベル委員(東京大学大学院総合文化研究科教授)
(引用元:小学校社会科におけるアクティブ・ラーニングの問題点 -中央教育審議会での議論から- | 早稲田大学リポジトリ 27ページ)
評価方法が難しい
アクティブ・ラーニングの成果をどのように評価するのかということも議論になっています。せっかくアクティブ・ラーニングで一生懸命頑張っても、学校の成績がペーパーテストでのみ決まってしまうということが現状で発生しているそうです。そうすると、アクティブ・ラーニングに対する子供の意欲はどうしても減退してしまいます。
上記で紹介した「小学校社会科におけるアクティブ・ラーニングの問題点 -中央教育審議会での議論から- | 早稲田大学リポジトリ」27ページでは、大学のような、レポートやプレゼンテーションによる採点というのも検討するべきなのではないかという議論が行われていました。