OECD(経済協力開発機構)とは?活動内容・加盟諸国をご紹介 - cocoiro(ココイロ) - Page 2

先進諸国の教育についてさまざまな調査を行うOECD

主に経済に関わる活動を行うOECDですが、その一環として先進国の教育についても調査報告を行っています。中には日本の現状について厳しい指摘もあり、ニュースで話題になることもあります。

「図表でみる教育」で指摘された日本の問題点

日本は公的支出が34ヶ国中最低に

OECDの教育分野における報告の1つ、文部科学省によって公表されている「図表でみる教育(Education at a Glance)OECDインディケータ」で日本の評価を見てみましょう。このインディケータ(指標)は毎年公表されています。定量的なデータを扱うことにより、年ごとや国家間での比較ができるようになっています。「図表でみる教育(Education at a Glance)OECDインディケータ」から、毎年の全文(英語)、2010年以降のカントリーノート(国別にまとめた概要:英語・日本語)などをダウンロードすることができます。

2018年の「図表でみる教育」の結果によると、日本は初等から高等教育までへの公的な支出が、比較可能な34ヶ国中最も低くなっています。

(参照元:日本の教育への公的支出、34か国中最下位<国別割合比較表> | リセマム

今回発表された調査結果は2015年のものですが、日本は2012年の調査より最下位をマークし続けているそうです。

参考
教育への公的支出、日本また最下位に 14年のOECD調査| 日本経済新聞

幼児教育・保育の家庭負担も指摘

2018年のカントリーノートでは、初等教育修学以前の幼児教育についても触れられています。

幼児教育および高等教育に対する支出は、その50%以上が家計から捻出され、各家庭にきわめて重い経済的負担を強いている。しかしながら、3歳未満で幼児教育および保育に在籍する子どもの割合は23%にすぎず、これはOECD平均31%を下回る。

(引用元:図表でみる教育2018年版| OECD,1P

昨今の日本国内では、保育園の数が足りないことが1番の問題として認識されていますが、OECD平均から見ると家庭の費用負担も高いということが分かります。

教員の負担が大きいことも特徴

上記カントリーノートの5ページ目には、教員の負担が大きいことも指摘されています。「長時間労働」だけでなく、「1クラスの人数が多いこと」、「授業日数が多いこと」、「教員の初任給が低いこと」などが問題となっています。

学習到達度調査(PISA)での評価

学習到達度は比較的高い日本

もう1つ有名なのは、3年に1度行われる「PISA」という学力調査です。15歳の生徒を対象に、「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の3分野についてテストを行なっています。結果は国立教育政策研究所の「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」よりダウンロードすることができます。

2015年の調査はOECD全加盟国を含む72か国を対象に行われました。調査結果について「OECD生徒の学習到達度調査(PISA2015)について[松野文部科学大臣コメント]で「我が国の学力は引き続き上位に位置し、生徒の科学に対する態度についても改善が見られる」と評価しています。実際に参加国ごとの平均点を順位づけしてみると、日本は「科学的リテラシー」は2位、「読解力」は8位、「数学的リテラシー」は5位という結果となっています。

PISA(学習到達度調査)についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

PISA(OECD生徒の学習到達度調査)で分かる日本の教育問題

コンピュータが使えない子供が多いという指摘も

一方で、テストにともなって実施されたアンケートによると、日本の子供のデジタル環境はあまり良好とは言えないようです。特に、学校の授業や宿題でインターネットを使って調べ事をする割合がかなり低いことが分かっています。日本の学校ではITを上手に教育に取り込めていないと言えるでしょう。

参考
PISA2015年調査国際結果の要約 | 国立教育政策研究所