ギフテッド教育とは?アメリカのギフテッド教育プログラムとその意味 - cocoiro(ココイロ) - Page 2

アメリカのギフテッド教育

公立学校のGATEプログラム

ギフテッドは先天的に高い能力を持っていますが、すべてのギフテッドが持てる能力を発揮できるとは限りません。貧困や差別、文化的な障壁、身体的な障害、発達障害や精神障害など、さまざまな原因で能力発達の機会が得られない例は少なくありません。

アメリカでは、さまざまな理由で能力発達の機会を得られないギフテッドがいることを、個人の問題とは捉えず、国家の損失として捉えています。子供の能力を発見しサポートすることは、親や教育機関、コミュニティの責任であり、政府はそのための教育体制を整備しなくてはならないと考えられています。

したがって、アメリカの公立学校では、GATE(Gifted And Talented Education)と呼ばれる、ギフテッドのための特別プログラムが用意されています。公立学校のGATEプログラムには以下のような方式があります。

エンリッチメント方式

ギフテッドの子供は、通常クラスでほかの子供と一緒に過ごしますが、特別な課題を与えられます。具体的には、より難易度の高い宿題が出されたり、数学コンテストやスペル大会へ参加したり、子供の能力が発揮される機会を与えられます。

プルアウト方式

通常学級に通いながら、一定時間をギフテッドの子供ばかりを集めた学校や学級で過ごします。例えば、週に1度学区内のギフテッドの子供が1ヶ所に集まり、学年ごとに難易度の高い授業を受けたり、興味に応じて特別なプロジェクトに取り組んだりします。

アクセルレイト方式

一般にいう「飛び級」や「飛び入学」をします。子供にその能力があると判定された場合、就学年齢前に小学校を開始したり、1学年飛び越して上の学年や学校へ進んだりします。

ギフテッドのための私立学校

ギフテッドの子供は、その特別な能力や特徴のため、周りの子供から孤立してしまうことがあります。そのため、一般の子供と一緒に過ごす公立学校ではなく、ギフテッドの子供のための学校も設立されています。

カリキュラム設計だけでなく、学校の雰囲気作りにも気を使い、“Cool to be Smart”(賢いことは格好いい)をスローガンにするなど、ギフテッドの子供が安心して能力を発揮できる環境を整えています。

ホームスクール

あえて学校へ行かせず、家庭での教育を選ぶ家庭も少なくありません。アメリカはホームスクールのプログラムが充実していて、ギフテッドの子供用に設計されたプログラムもあります。ギフテッドの子供は教えられなくてもどんどん学習していくので、自分のペースで学習を進められる点で、ホームスクールはギフテッドにふさわしい教育方法の1つと言えるでしょう。
参考
(参照元:Home School Programs for Gifted Children | A2Z Home School

サマーキャンプ

夏休みの間に、ギフテッドの子供たちのための集中講義やプログラムが、アメリカ各地で行われます。なかでも、ジョンズ・ホプキンス大学のサマーキャンプは有名で、全米20ヶ所以上で行われます。
参考
(参照元:Top Summer Camps for Gifted Children | Verywell Family

家庭教師やクラブ活動

放課後にチェスクラブや算数クラブに参加したり、個別にインストラクターや家庭教師をつけたりして、子供の能力に磨きをかける人もいます。