獣医学部ってどんな学部?授業内容や取れる資格、卒後の進路をご紹介 - cocoiro career (ココイロ・キャリア)

動物病院に勤めている獣医師の資格が取れる獣医学部ですが、どんなことを勉強するのでしょうか。卒業後は全員獣医師になるしかないのか、など学部についてよく知らない人が多いのではないかと思います。当記事では、獣医学部とはいったい何を学び、6年間の学生生活をどう過ごすのか、また卒業後の進路にはどんな道があるのかご紹介します。

獣医学部ってどんな学部?

獣医師になることをイメージしてしまう獣医学部ですが、何を学ぶための学部なのでしょうか?

人や動物との関係の中での生命科学を学ぶ

獣医学部とは、主に獣医師の育成を目的にし、動物の病気の診断・予防・治療方法などを授業や実習をとおして学んでいく学部です。医学部や歯学部、薬学部と同様に6年制でカリキュラムが組まれており、大学によって「獣医学部」「農学部獣医学科」という名前で設置されています。

かつては、牛・馬・豚・鶏・養殖魚介類の産業動物を守ることで生産性を向上させ、安心安全な食品を消費者に提供することが獣医学の目的でした。しかし、近年では動物とふれあうことで心身が健康になるアニマルセラピーや、ペットの高齢化への対応など、いわゆる人がペットとして飼う動物のケアやそれにともなう人間の心理についての研究も進められています。

6年間の学生生活の様子

獣医学部の6年間とは、どのように過ごしていくものなのでしょうか?

1年次

大学に入学したての1年次は、大学生活に慣れながらも獣医学の専門的な科目に入る前の素地を作る学年です。大学によっては日本国憲法や心理学など、いわゆる一般教養科目の授業を多く受講しながら、獣医学概論などで獣医学の大枠をつかむようなカリキュラムが組まれています。

2年次

2年次から専門科目を学び始める大学が多く、獣医学の科目の中でも動物遺伝学や獣医生理学などの獣医学の基礎となる科目からスタートです。

3・4年次

3・4年次では2年次に学び始めた専門科目から、より詳しい内容に移行していきます。食品の衛生検査および監視・指導、環境衛生についての科目や畜産振興と公衆衛生の向上に関連のある科目、生命の本質とは何かを究明する科目など、獣医学についてより深い学問分野へ細分化されていきます。

また、4年次よりいわゆる「ゼミ」がスタートする大学も多く、獣医学の中でも自分がより興味を持って取り組める分野の研究室へ所属して、研究活動を行います。

5・6年次

5・6年次になると大学の講義はもちろん、実習が本格化してきます。家畜保健衛生所や動物病院、動物園などさまざまな実習地に行き、現場の獣医師からも教わりながらも実際に獣医師の仕事を体験していきます。ゼミも最後の卒業論文を仕上げる大切な時期となってきます。

獣医学部で取れる資格

大学にもよりますが、獣医学部では獣医師以外にも取得できる資格があります。

獣医師

獣医学部で取れる代表的な資格が「獣医師」の資格です。獣医師の資格は医師や薬剤師、歯科医などと共に国家資格となるため、毎年実施される農林水産省の獣医師国家試験を受験し、合格しなければなりません。

獣医師の資格があると動物病院以外にも、国家公務員・地方公務員の仕事や、製薬会社でも働き口があるため、獣医学部へ進学するのであれば絶対に卒業時に取得しておきたい資格となります。

獣医師になるにはどうすればいいのか、気になる年収情報も紹介

参考
獣医師国家試験|農林水産省

ペット栄養管理士

あまり聞きなじみがないかもしれませんが、日本ペット栄養学会が主催している「ペット栄養管理士」はペットの栄養に関する知識の普及と指導ができる資格です。ペットの栄養指導・管理などを実施する際に必要や知識を学ぶことができます。

参考
資格取得方法|日本ペット栄養学会

家畜人工授精師

家畜人工授精師とは、その名のとおり家畜の人工授精を円滑に行うために必要な国家資格です。なお、獣医師の国家試験に合格した場合、獣医師は無条件で同じ業務が行えるため、特別にほかに取得する必要はありません。

認定動物看護師

一般財団法人動物看護師統一認定機構が実施している資格試験に合格すると「認定動物看護師」となれます。動物看護士はほかに民間団体が主催する資格試験もありますが、資格試験の質や技術に差が出てしまうため、動物看護師統一認定機構が実施している試験で合格した者だけが「認定」の動物看護師となります。

主な業務は、動物病院などで獣医師の指示の下で診療補助、カルテの作成、入院している動物の食事や健康管理・世話、血液や糞便などの検体検査、薬の管理、清掃、受付などです。

動物たちの健康を守る!動物看護士になる方法や仕事、適性について

参考
一般財団法人動物看護師統一認定機構

種畜検査員

家畜改良増殖法第4条という法律で、種畜証明書の交付を受けなければ種付け、または家畜人工授精用もしくは家畜体外受精用の精液を採取できないことになっています。そのため牛や馬など政令で定めらている家畜動物の雄は、家畜改良センターで毎年行われる検査を受ける必要があります。この検査を行えるのが種畜検査員です。種畜検査員は獣医師資格があれば行える業務となります。

食品衛生管理者(任用)

獣医師資格があれば行えるのが食品衛生管理者(任用)の業務です。食品衛生法施行令で定めるものの製造や加工を衛生的に管理するため、営業者は施設ごと専任の食品衛生管理者を置かなければならないことになっています。

参考
食品衛生管理者|厚生労働省